📋 この記事の要点
- BtoBのカスタマージャーニーマップとは、複数の関係者が関わる購買プロセスにおける顧客の行動や心理変化を可視化し、最適なマーケティング施策や営業活動につなげるためのフレームワーク。
- BtoBではBtoCとは異なり、担当者・決裁者・関連部署など複数の意思決定者が関わるため、それぞれの役割や比較検討・稟議などのプロセスを踏まえて設計することが重要。
- 効果的なカスタマージャーニーマップを作成するには、適切なペルソナ設定から購買プロセスや顧客心理の整理、施策の設計、継続的な改善までを一連の流れで進める必要がある。
- リコーや日経BPの事例では、顧客の行動や接点を可視化し、マーケティング施策や顧客体験の改善につなげている。
- カスタマージャーニーマップテンプレートを活用すると、購買フェーズ、顧客の行動・感情、タッチポイント、施策などの項目を漏れなく整理しやすくなる。
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カスタマージャーニーマップとは、顧客が商品・サービスを認知し、比較・検討、購入、利用に至るまでの行動や思考、感情、企業との接点を時系列で可視化したものです。どのような企業においても重要なマーケティング要素ですが、BtoCとBtoBでは顧客の購買行動の傾向が異なるため、BtoB企業ではBtoCとの違いも考慮しつつ作成する必要があります。
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- カスタマージャーニーマップ作成の5つのメリット
- カスタマージャーニーマップ作成前の準備
- 7種類のカスタマージャーニーマップ・テンプレート
- カスタマージャーニーアナリティクス機能の活用事例
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本記事ではBtoBカスタマージャーニーの概要から、カスタマージャーニーマップの作成方法、企業によるカスタマージャーニーマップの作成事例を紹介します。自社の営業力・マーケティング力の強化に向けて、ぜひお役立てください。
カスタマージャーニーとは?
カスタマージャーニーとは、冒頭で解説したとおり、購買までの顧客の動きを旅路にたとえたものです。
カスタマージャーニーを想定する最も大きなメリットは、カスタマージャーニーを整理する過程で、顧客に対する部署を超えた共通の理解が生まれることです。近年、顧客目線でのマーケティング施策立案が重視されていますが、部署間による顧客理解のギャップを少なくすることで、施策に一貫性が生まれます。
さらに、施策実行段階でカスタマージャーニーと実態を照らし合わせながら、ペルソナの行動や感情、効果的なタッチポイントなどを探ることで、改善策の立案にも役立ちます。BtoCより多くの関係者が介在するBtoBビジネスでも、カスタマージャーニーという可視化されたツールがあることで、部署を超えて共通理解ができ、状況を把握しながら運用ができるのは大きな利点です。
本記事では、主にBtoB企業におけるカスタマージャーニーの扱い方を解説します。カスタマージャーニーそのものについて知りたい場合は、以下コラムをご覧ください。
ペルソナとは?
ペルソナとは、企業やブランド、商品・サービスを利用してもらいたい理想的な顧客像を、具体的な人物として設定したものです。年齢や性別、職業、役職、所属企業といった基本的な属性だけでなく、抱えている課題や目標、情報収集の方法、購買時に重視するポイントなども含めて設定します。
カスタマージャーニーマップでは、設定したペルソナをもとに、顧客接点ごとの行動や心理状態の変化を整理します。そのため、実効性の高いカスタマージャーニーマップを作成するためには、自社の商品・サービスやターゲットに適したペルソナを設定することが重要です。
特にBtoBでは、商品・サービスを実際に利用する担当者だけでなく、上司や決裁者、関連部署など複数の人物が購買に関わるケースがあります。そのため、役職や業務内容だけでなく、それぞれが抱える課題や意思決定における役割まで考慮してペルソナを設定することが大切です。
BtoBとBtoCのカスタマージャーニーマップの違い
カスタマージャーニーマップの基本的な考え方は、BtoBとBtoCで大きく変わるものではありません。しかし、購買に至るまでの期間や関係者、意思決定のプロセスには違いがあります。そのため、BtoB企業がカスタマージャーニーマップを作成する際は、BtoCとは異なる視点で顧客の行動や心理変化を整理する必要があります。
BtoCでは、商品やサービスを実際に購入・利用する本人を中心に意思決定が行われるケースが比較的多く見られます。そのため、広告やSNS、口コミなどを通じた認知や興味関心の変化、購入時の感情的な動きを把握することが重要です。
一方BtoBでは、課題を感じた担当者が情報収集を開始した後、複数のサービスを比較検討し、社内承認を経て導入に至るケースが一般的です。また、実際にサービスを利用する担当者と、最終的な決裁を行う人物が異なる場合もあります。そのため、担当者だけでなく、関係者ごとのニーズや懸念点を踏まえてカスタマージャーニーを設計することが重要です。
BtoB企業がカスタマージャーニーマップを作成する5つのメリット
まずは、BtoB企業がカスタマージャーニーマップを作成するメリットを5つ紹介します。
ペルソナの購買プロセスを深く考える機会になる
カスタマージャーニーマップを作成することで、ペルソナが商品・サービスを認知してから購入に至るまでの行動や心理変化を具体的に整理できます。
特にBtoBでは、購入に至るまでに複数の関係者が関与するため、単純に「担当者が興味を持つ→問い合わせる→契約する」といった流れではありません。現場担当者が課題を認識した後、情報収集を行い、上司への相談や社内稟議、決裁者による判断など、さまざまなプロセスを経て導入に至ります。
カスタマージャーニーマップでは、各段階でペルソナがどのような課題を抱え、何を判断材料としているのかを整理できます。その結果、顧客が必要とする情報や適切なアプローチ方法を把握しやすくなり、より効果的なマーケティング施策や営業活動の立案につながります。
ペルソナの基本的な作成方法
ペルソナの作成方法に正解はありませんが、例えば以下のような作成方法があります。
まず、ペルソナ設定の必要項目を洗い出します。名前・性別・年齢・居住地・家族構成はもちろん、職業や趣味、休日の過ごし方、情報収集の手段、好みの傾向などがあります。
次に、定量・定性双方の観点で情報収集を行います。ペルソナを作る担当者の主観ができるだけ入らないよう、自社ブランドや商品がターゲットとする属性を探ります。定量調査にはアンケート、SNS分析、Webサイト分析など、定性調査にはインタビューなどがあります。
十分な情報が集まったら、ペルソナを作成します。必要に応じて、複数のペルソナを作成することもあります。
ペルソナを主人公としたカスタマージャーニーマップの作成
ペルソナを主人公としたカスタマージャーニーマップを作成することで、購買までのプロセスを可視化し、実効性の高い施策の実施につながるでしょう。
以下は、カスタマージャーニーマップの例です。まずはBtoCのカスタマージャーニーマップから見てみましょう。

カスタマージャーニーマップは、「認知」「興味・関心」「比較・検討」「行動」といったフェーズごとに作成するのがいいでしょう。フェーズごとにタッチポイントを想定し、そこでの行動や思考を想定しています。
タッチポイントごとに適切な施策を打つことで、フェーズが右へ進んでいきます。
以下は、BtoBのカスタマージャーニーマップの例です。

BtoBでは現場担当者、上司、決裁者、購買部門など複数の関係者が関与する傾向があります。そのため、情報収集、比較検討、社内承認など一定のプロセスを経るケースが多く、各段階の関係者や必要な情報を整理することが重要です。
カスタマージャーニーマップを想定したペルソナ設計については、以下コラムをご覧ください。
部署を越えた共通認識が持てる
企業内には、顧客と直接的な接点がある部署と、ない部署が存在します。
顧客との接点が多い部署の代表例が営業部門ですが、顧客の生の声を部署内だけの問題にとどめてしまい、他部署が知らないケースも少なくありません。
部署を越えてカスタマージャーニーの理解に取り組むことで、顧客に対する共通の理解が得られます。その結果、多面的でありながら一貫性のあるマーケティング施策の立案につながります。
また、顧客の状況によってどんな行動を取るべきか共通認識があると、部署間の連携がうまくいきやすくなります。
例えば、資料閲覧や問い合わせなどの行動から検討度が高まっていると判断できる見込み客について、営業部門が速やかに状況を確認する、といった対応基準を共有できます。
ユーザーの感情や状況に寄り添った施策を実施できる
カスタマージャーニーマップでは、顧客の行動だけでなく、その背景にある思考や感情も整理します。そのため、顧客がどのような課題を抱え、どのタイミングで不安や期待を感じるのかを把握しやすくなり、顧客目線で施策を検討できるようになります。
例えば、見込み客が自社の商品・サービスを認知した段階では「自社の課題を解決できるのか」という疑問を持っているかもしれません。一方、比較検討の段階では「他社との違いは何か」「導入後に成果を出せるのか」といった不安を抱えている可能性があります。
こうした顧客の心理変化を踏まえることで、各段階に適した情報提供やコミュニケーション設計が可能になります。単に商品・サービスの特徴を伝えるのではなく、顧客が必要としている情報を必要なタイミングで届けられるため、より効果的なマーケティング施策や営業活動につながります。
部署間の連携が強化され、適切なタイミングでアプローチできる
BtoBでは、顧客が問い合わせや契約に至るまでに、マーケティング部門、営業部門、カスタマーサクセス部門など複数の部署が関わります。しかし、部署ごとに顧客理解や重視するポイントが異なると、施策やアプローチのタイミングにズレが生じることがあります。
カスタマージャーニーマップを作成する際は、複数の部署が参加し、顧客の行動や心理変化について共通認識を形成します。その結果、「どの段階でどのような情報を提供するべきか」「営業がアプローチすべきタイミングはいつか」といった判断基準を共有できます。
顧客の検討状況に合わせた適切なタイミングでアプローチできるようになることで、機会損失を防ぎ、スムーズな購買プロセスの実現につながります。また、部署間の連携が強まることで、顧客への対応品質も向上します。
継続的な改善によって顧客との長期的な関係構築につながる
カスタマージャーニーマップは、一度作成したら終わりではなく、実際の顧客行動や施策の成果と照らし合わせながら改善していくことが重要です。
例えば、「想定していた段階で問い合わせにつながらない」「特定のコンテンツで離脱が発生している」といった課題を分析することで、顧客がどの部分でつまずいているのかを把握できます。その結果、情報提供の方法やアプローチ内容を改善し、より顧客ニーズに合った体験を提供できます。
また、顧客の状況やニーズを継続的に把握しながらコミュニケーションを最適化することで、契約後の満足度向上にもつながります。特にBtoBでは、契約後も継続的な利用や追加提案が重要になるため、カスタマージャーニーマップを活用した顧客理解は、長期的な関係構築にも役立ちます。
BtoBカスタマージャーニーマップの作成方法
BtoB向けのカスタマージャーニーマップは、BtoC向けと作成方法が異なります。ここでは、BtoBカスタマージャーニーマップの作成方法を4つのステップに分けて解説します。
ペルソナを設定する
BtoCでは、購入者本人を中心に意思決定が行われるケースが多いため、中心となる顧客像をもとにペルソナを設計します。ペルソナは、顧客層や購買行動の違いに応じて必要な数を設定します。
BtoBでは複数の関係者が意思決定に関与するため、中心となるペルソナに加えて、利用者、推進者、決裁者、購買担当者などの役割を整理する必要があります。
BtoBの場合、まずは、入り口となる企業の担当者をペルソナに設定してみましょう。購入の意思決定者は異なる場合がありますが、担当者の興味・関心を引かない限り、次のステップには進めません。担当者の心をつかめば、商品やサービスを上司に推薦してくれる可能性が高まります。
ペルソナを設定する際は、担当者の役職や担当業務、どこまで決済権を持っているかなどを最低限押さえておくことも重要です。また、BtoBでは個人のペルソナに加えて、所属企業の業種、規模、組織体制、意思決定の進め方、導入予算なども整理しましょう。BtoBでは、個人の課題だけでなく、企業側の条件が購買判断に影響するためです。関係が構築できている見込み客であれば、インタビューをしてみるのもよいでしょう。社内の実態などを話してもらうことで、詳細な課題や悩みが見えてくるため、より精度の高いカスタマージャーニーマップを作成できます。
購買までの行動を整理する
時系列に沿って段階ごとに購買フローを設計します。BtoCに比べて、BtoBでは意思決定プロセスが多くなります。購買フローは例えば次のような段階に整理できます。実際には、商材や契約形態、企業の意思決定プロセスに合わせて項目を調整してください。

|
フェーズ |
顧客の悩み |
顧客が取る行動 |
|
認知 |
現在の課題を解決する方法を知りたい |
インターネット広告、展示会などで見かける |
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情報収集 |
具体的に知りたい |
公式サイトや資料請求で詳しく調べる |
|
比較検討 |
他にも同様のサービスがないか知りたい |
他社ツールとの比較一覧を作成し優劣をつける |
|
意思決定 |
取引先として信頼して導入できるか商談を通して確認したい |
商談で詳細を確認する |
|
稟議承認 |
社内で承認を得なければならない |
稟議書を作成し了承を得る |
|
購入 |
契約内容に問題がないか確認したい |
契約条件の詳細を理解した上で契約を締結する |
|
評価 |
実際に使用して期待どおりの成果が得られるか |
実際の業務にツールを導入する |
|
リピート |
継続利用によってさらに業務効率を改善したい |
フォローを受けながら業務効率を図る |
購買プロセスが理解できたら、各フェーズで、顧客が抱える課題や実際の行動を推測します。その際、自社にとって都合の良い行動になっていないか、しっかりと議論するようにしましょう。自社が顧客に「取って欲しい」行動ではなく、顧客が「実際に取っている」行動であることが大切です。
顧客が取る具体的な行動イメージは、キーパーソンのペルソナに従って推測していきます。
ユーザーの思考・感情を想定する
顧客の行動を整理したら、その背景にある疑問、期待、不安、懸念などを書き出します。例えば比較検討の段階では、「自社の要件を満たせるか」「社内で費用対効果を説明できるか」「導入後に定着するか」といった懸念が考えられます。ただし、感情や懸念は企業側の推測だけで決めず、顧客インタビュー、商談記録、問い合わせ内容などをもとに検証することが重要です。
ひとつ例を挙げてみましょう。BtoBの購買プロセスでは、比較検討の段階で複数のツールの違いが分かりにくく、自社に適したものを判断できないことがあります。このとき、見込み客は「自社の要件を満たせるか」「費用対効果を社内に説明できるか」「導入後に現場へ定着するか」といった不安や懸念を抱えている可能性があります。
一方、導入後に期待していた成果が得られた場合は、選択への納得感やサービスに対する信頼が高まり、継続利用や活用範囲の拡大を検討するきっかけになることもあります。
ユーザーの思考・感情を想定する際は、行動を想定する場合と同じように、企業側の想定だけに頼っていないかを確認し、顧客データや実際の声と照らし合わせることが重要です。
そのためにも、カスタマージャーニーを作成する際は、部門をまたいで複数名で議論し、色々な視点を取り入れるようにすると良いでしょう。
具体的な自社の行動を計画する
ユーザーの行動と思考が明確化されたら、それにあわせて自社のマーケティング活動、営業活動を計画していきます。各フェーズでユーザーが抱える悩みや感情に対して、自社がどういった対策をとるべきか検討しましょう。
例えば、比較検討の段階で他社ツールとの違いがわからないという悩みが想定されるなら、比較用の資料を用意するなどの方法が考えられます。ほかにも、稟議を上げやすくするための情報提供や、明確な費用対効果がわかる資料などを提供することで、自社が選ばれる可能性が高まります。
アクションプランを策定し、実際に行動を起こした後は、効果検証を忘れずに行いましょう。カスタマージャーニーは最初に作って終わりではなく、効果検証と改善を繰り返し、施策をブラッシュアップするためのツールです。カスタマージャーニーをもとに改善を重ね、より満足度の高い体験価値を提供しましょう。
施策を洗い出した後は、優先度をつけるようにしましょう。フェーズごとに見込み客の状況を整理していく中で、もっとも売上を下げている要因がわかることがあります。
例えば、サービス導入後のフォローアップが足りず、導入後の定着率が低いことが要因と分かれば、導入後のフォロー体制を強化していくべきだと適切な施策を考えられます。
BtoBでカスタマージャーニーマップを作成する際のポイント
BtoB企業がカスタマージャーニーマップを作成する際には、以下のポイントを押さえておきましょう。
1. 比較検討前提で進める
BtoCとは異なり、BtoBではサービスを認知してから導入に至るまでに、複数の選択肢を比較・検討するケースが多く見られます。担当者1人の権限で決裁するわけではなく、複数の関係者が関わり意思決定を行うためです。
比較検討段階の見込み客の思考や行動をカスタマージャーニーマップの中に組み込んでおくことで、適切なアプローチが可能になります。
例えば、現場担当者は使える機能の種類を気にしているが、決裁者は料金を気にしている場合があります。現場担当者と接触する際は、機能面で競合サービスとの違いを説明しますが、決裁者と接触する際は、競合と比較し料金がお得である点を説明しましょう。
2. ターゲットに合わせて接点や施策を考える
BtoBでは、関わる人が多く、人に合わせてコミュニケーションを考えていく必要があります。認知から比較検討、導入までに関わる人が変わることが多いためです。
比較検討段階で情報を集めている人には無料資料請求や相談会を訴求したり、導入を考えている決裁者には導入後の効果や改善事例、特典などを訴求したりすると効果的です。
どんな訴求内容が商談や受注につながるかは、担当者と担当者のフェーズによって変わるため、使い分けるようにしましょう。
3. 顧客データや顧客の声を反映させる
実際の声を反映させることで、商談や受注につながりやすいカスタマージャーニーマップの作成が可能になります。意外な事実や訴求していくべきポイントが判明するためです。
ただし、作成に時間をかけすぎるのは望ましくないため、各部署の担当者を1人ずつ加えて作成するなど、手間がかからない方法で行いましょう。
4.検索エンジンや生成AIを情報収集の接点として整理する
BtoBの見込み客は、課題を認識した段階から、検索エンジンやSNS、業界メディアなどを利用して情報を収集します。カスタマージャーニーマップを作成する際は、各段階で見込み客がどのような疑問や課題を持ち、どのような情報を探しているのかを整理することが重要です。
例えば、課題を認識した段階では解決方法を理解するための基礎的なコンテンツ、比較検討の段階では製品・サービスの違いや導入効果を確認できるコンテンツが求められます。特にBtoBでは、見込み客が課題を認識した段階で検索を行い、複数の情報を比較しながら導入候補を絞り込むケースが多いため、情報収集段階で接点を持てるようなコンテンツ設計が必要です。
さらに近年では、ChatGPTなどの生成AIもBtoB購買における情報収集や比較検討の接点になっています。HubSpotが実施した「日本の営業に関する意識・実態調査2026」では、買い手の36.7%が購買検討時に生成AIを活用した経験があると回答しました。そのため、BtoBのカスタマージャーニーを設計する際は、従来の検索エンジン経由に加え、生成AIもタッチポイントの一つとして取り入れることが重要です。SEOとともに、生成AIや回答エンジンが参照しやすいコンテンツを最適化するAEO(Answer Engine Optimization:回答エンジン最適化)の観点も取り入れましょう。
SEOやAEOを意識することで、見込み客が情報収集を始める初期段階から接点を持ちやすくなり、認知獲得から比較検討、問い合わせまでのスムーズな導線設計につながります。
カスタマージャーニーマップにSEO・AEOの視点を組み込む具体的な方法については、以下コラムをご覧ください。
5. 複数部門で作成・検証する
顧客の思考と行動を想定し、売上につながるカスタマージャーニーマップを作成するためには、社内の各チームの担当者に協力を仰ぐ必要があります。
各部署が集まって意見を出すことで、新たなアイデアが生まれてきます。また、複数部門が協力するきっかけにもなるためよりよいサービスが提供でき、売上につながるカスタマージャーニーマップを完成させられます。
BtoB企業のカスタマージャーニーマップ作成事例2選
BtoB企業のカスタマージャーニーマップの具体的なイメージが湧かない場合は、他社が作成した事例が参考になります。
特にカスタマージャーニーの作成がはじめての場合は、いきなり複数名で議論をすると論点が広がりやすいため、他社事例の項目や整理方法を参考にしながら、自社の購買プロセスに合わせて設計しましょう。
リコー

出典:BtoB版「刺さるコミュニケーション開発」のPDCA|BtoBマーケ|リコー
OA機器大手のリコーでは、マーケティング支援事業を手掛けており、BtoBマーケティングに役立つコラムを公開しています。その中で、サービス導入前プロセスのカスタマージャーニーの重要性を解説しており、カスタマージャーニーマップの事例を掲載しています。
購買フェーズを4段階に分けたシンプルなマップですが、意思決定権者・購買窓口担当者・ユーザー部門など、役割別に提供すべき体験を設定している点が参考になります。
ターゲットとなる企業のキーパーソンを把握し、担当者ごとに最適なアプローチを図ることの大切さが理解できる事例です。
日経BPコンサルティング

出典:コンテンツマーケティングの教科書 _ 日経BPコンサルティング
日経BPコンサルティングのWebサイトでは、コンテンツマーケティングを解説したコラムを掲載しており、その中でBtoBカスタマージャーニーマップの例を示しています。
この事例では、製品の購入で終わるのではなく、「継続取引」まで設定しているところがポイントです。マップでは、製品購入後に「製品のバージョンアップ情報を知りたい」という顧客の思考に対し、「営業担当者を通じて新しい情報を入手する」といった行動まで設定しています。
アフターサポートまで想定することで、リピーターになってもらえる可能性も高まります。
BtoBカスタマージャーニーマップ作成に役立つ6つのツール
BtoBカスタマージャーニーマップを作成する際は、テンプレートなどのツール活用がおすすめです。テンプレートを活用すると、必要な項目を整理しやすくなり、初めて作成する場合でも進めやすくなります。ここでは、カスタマージャーニー作成に役立つツールを6つご紹介します。
HubSpot

HubSpotでは、7種類のカスタマージャーニーマップ・テンプレートを無料で公開しています。コンテンツ内では、作成手順や作成時の注意点を解説しているので、カスタマージャーニーマップ作成がはじめての方でも実践的なマップ作成が可能です。
ペルソナごとにパーソナライズ化したマーケティング施策の立案や、購買プロセスの確認に役立ちます。
UXPRESSIA(英語)
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出典:UXPRESSIAのカスタマージャーニーマップオンラインツール
UXPRESSIAは、業界・業種ごとに50以上のカスタマージャーニーテンプレートが用意されたクラウドサービスです。無料版では1つのプロジェクトに対し、ペルソナ・カスタマージャーニーマップ・インパクトマップを作成できます。
ペルソナやカスタマージャーニーマップの作成がはじめての方は、無料版から試すことでカスタマージャーニーマップの完成イメージを掴むことができます。
さらに有料版では、複数プロジェクトの作成や、PDFやExcelへのエクスポート、グラフの挿入など、カスタマージャーニーマップ作成に役立つ豊富な機能を活用できるので、チームでのマーケティング活動が効率的になるでしょう。
FlowMapp(英語)
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FlowMappは、直感的な操作だけでペルソナやカスタマージャーニーマップを作成できるオンラインコラボレーションツールです。顧客視点に立ったWebサイト構築や、製品・サービスの開発に役立つ機能が豊富に備わっています。
アカウントを作成すれば、すぐにプロジェクトが開始されます。豊富なテンプレートから目的に合ったデザインを選ぶだけで、短時間でマップの作成が可能です。
FlowMappは、特にUI(ユーザーインターフェース)が優れており、視覚的に見やすく美しいビジュアルにまとめることができます。
Canva

Canvaは、豊富なテンプレートやデザイン素材を活用して、カスタマージャーニーマップを簡単に作成できるデザインツールです。専門的なデザイン知識がなくても、ドラッグ&ドロップの操作で見やすいマップを作成できます。
カスタマージャーニーマップ用のテンプレートが複数用意されており、ペルソナの情報や顧客の行動、感情、タッチポイントなどを整理しながら作成できます。チームメンバーと共有しながらリアルタイムで編集できるため、部署をまたいだカスタマージャーニー設計にも適しています。
また、作成したマップは画像やPDF形式で出力できるため、社内共有やマーケティング施策の検討資料としても活用できます。初めてカスタマージャーニーマップを作成する企業でも、直感的に利用しやすいツールです。
Lucid Chart

出典:【無料テンプレート付】カスタマージャーニーマップ作成ツール | Lucidchart
図を作成することでデータを可視化し、イノベーションの加速につなげられるツールです。ペルソナからカスタマージャーニーマップを作成し、チームでの運用やマーケティング施策の立案に活用できます。
テンプレートから作成することもでき、慣れていない人でも問題なく作図できるでしょう。
Miro

出典:無料のカスタマージャーニマップ作成ツール - Miro
顧客体験をどう提供するかの計画に便利なのが、Miroのカスタマージャーニーマップ作成ツールです。テンプレートは無料で利用でき、チームでの認識合わせに活用できます。
Miroのツールでは、デザイン思考を鍛え、顧客視点でのプロダクト開発などにつながるとしています。
カスタマージャーニーの分析・改善に役立つ2つのツール
カスタマージャーニーマップは、作成後に実際のマーケティング施策や営業活動の改善に活用することが重要です。各タッチポイントでの顧客行動や施策の成果を確認し、想定との違いをもとに、情報提供やアプローチの方法を見直していきます。
ここでは、こうした運用改善に役立つ2つのツールを紹介します。
HubSpot
HubSpotのMarketing Hubは、CRMに蓄積された顧客データを活用しながら、マーケティング施策の実行から効果測定までを一つのプラットフォーム上で進められるツールです。WebサイトやEメール、広告などの各タッチポイントにおける反応を確認し、カスタマージャーニーマップで想定した顧客行動と実際のデータを照らし合わせながら、施策の改善に活用できます。
ダッシュボードやレポート機能を使えば、マーケティングチャネルやコンテンツのパフォーマンスを一か所で確認できます。さらに、Marketing Hub Enterpriseで利用できるカスタマー ジャーニー アナリティクスでは、コンタクトや取引が各ステージをどのように進んだか、どのタッチポイントがコンバージョンに関与したかなどを可視化できます。
KARTE

出典:KARTE
KARTEは、Webサイトやアプリ上でのユーザー行動をリアルタイムに解析し、顧客理解やマーケティング施策の改善に活用できるCXプラットフォームです。顧客一人ひとりの行動データをもとに、属性や興味関心、利用状況などを把握できます。
カスタマージャーニーマップの作成では、顧客の行動や接点を仮説だけでなく、実際のデータをもとに分析できる点が特徴です。Webサイト内でどのページを閲覧したのか、どのような行動を取ったのかを把握することで、顧客が求めている情報や適切なアプローチのタイミングを見極められます。
また、分析結果をもとにユーザーごとに最適化したコミュニケーション施策を実行できるため、見込み客の獲得から顧客との継続的な関係構築まで幅広く活用できます。
【Q&A】BtoBカスタマージャーニーマップについてよくある質問
BtoBカスタマージャーニーマップについてよくある質問をまとめたので、作成時の参考にしてください。
Q1. カスタマージャーニーマップとは何ですか?
カスタマージャーニーマップとは、顧客が商品・サービスを認知してから購買に至るまでの過程を旅路(ジャーニー)にたとえ、顧客接点ごとの行動や心理変化、必要な施策を整理したものです。
BtoBでは、担当者だけでなく上司や決裁者など複数の関係者が購買に関わるため、それぞれの立場や検討プロセスを踏まえて作成することが重要です。
Q2. BtoB企業がカスタマージャーニーマップを作成するメリットは何ですか?
顧客の購買プロセスや心理変化を深く理解し、より効果的なマーケティング施策や営業活動につなげられる点がメリットです。
また、部署を越えて顧客理解の共通認識を持てるため、マーケティング部門と営業部門などの連携強化にも役立ちます。さらに、施策の実行後に実際の顧客行動と照らし合わせることで、継続的な改善や長期的な関係構築にもつながります。
Q3. BtoBとBtoCのカスタマージャーニーマップにはどのような違いがありますか?
BtoCでは、基本的に購入者本人が意思決定を行うため、個人の興味関心や感情の変化を中心に整理します。
一方、BtoBでは、現場担当者や決裁者など複数の関係者が関与し、情報収集・比較検討・社内承認など複数のプロセスを経て購入に至ります。そのため、関係者ごとの課題や判断基準を踏まえて設計する必要があります。
Q4. BtoBカスタマージャーニーマップを作成する際のポイントは何ですか?
BtoBでは、比較検討を前提として顧客の行動を整理することが重要です。担当者と決裁者では重視するポイントが異なるため、それぞれに適した情報提供やアプローチを設計する必要があります。
また、SEOやAEOの視点を取り入れ、見込み客が情報収集を始める段階から接点を持てるようにすることも重要です。
Q5. BtoBカスタマージャーニーマップの作成にはどのようなツールが活用できますか?
カスタマージャーニーマップ作成には、テンプレートや可視化機能を備えたツールを活用できます。
例えば、UXPRESSIA、Canvaなどはテンプレートを利用して効率的にマップを作成できます。また、HubSpotやKARTEのように実際の顧客行動データを分析し、顧客理解や施策改善に活用できるツールもあります。自社の目的に合わせて、作成用ツールと分析・改善用ツールを使い分けることが大切です。
BtoBのカスタマージャーニーを理解して営業やマーケティング施策に活かそう
購買プロセスの多様化の波は、BtoBにも広がっています。見込み客が情報収集を行うプラットフォームは多岐にわたり、購買プロセスのフェーズによっても変化します。
カスタマージャーニーマップは、顧客が購買に至るまでの行動や心理変化を可視化し、顧客理解を深めるための重要なツールです。特にBtoBでは、複数の関係者が購買プロセスに関わるため、以下の点を意識することが大切です。
- ペルソナを明確に設定し、担当者や決裁者それぞれの課題・役割を踏まえて購買プロセスを整理する
- 顧客の行動だけでなく、各段階で抱える感情や不安を把握し、適切なタイミングで施策やアプローチを実施する
- 部署を越えてカスタマージャーニーへの共通認識を持ち、マーケティング部門と営業部門などの連携を強化する
- SEOやAEOの視点を取り入れ、情報収集段階から見込み客との接点を創出する
- 顧客の行動データや施策の成果をもとに継続的な改善を行い、長期的な関係構築につなげる
カスタマージャーニーマップは、一度作成して終わりではなく、実際の顧客の反応や市場環境の変化に合わせて改善を続けることが重要です。本記事で紹介したペルソナ設計・感情の可視化・As-Is/To-Beの整理といったポイントを押さえることで、BtoBの複雑な購買プロセスを実態に即したマップとして描き出せます。
カスタマージャーニー


