日本国内で使用されている検索エンジンにはGoogle やYahoo!などがありますが、それ以外にもBingやDuckDuckGoなど、さまざまな種類の検索エンジンが存在します。
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検索エンジンは重要な集客チャネルのひとつであり、SEOを実施するうえで対象とする検索エンジンを明確にすることは重要です。まずは、それぞれの検索エンジンの特徴を知るところから始めましょう。
本記事では、検索エンジンのシェア率順※に、それぞれの特徴や利用者層、最近の傾向などを解説します。また、今回はSEOのプロである株式会社ウェブライダー代表・松尾茂起氏へ、Google やYahoo!以外にも注目したい検索エンジンについて伺いました。
※ランキングの作成にあたり、Webトラフィック解析サービスを展開する「Statcounter」のデータを参照
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検索エンジンとは
検索エンジンとは、インターネット上に蓄積された情報を探し出すためのシステムです。パソコンからはもちろん、スマホやタブレットからでも検索エンジンを利用できます。
調べたいキーワードを検索窓に入力することで、その回答となるWebサイト・Webページ・画像ファイルなどが画面に表示されます。例えば、「新宿 パスタ」と検索した場合、新宿でおすすめのパスタ店や各店の所在地、メニューの画像などの情報が表示される仕組みです。
インターネットが普及し始めた2000年代前半までは、「ディレクトリ型」の検索エンジンが主流でした。ディレクトリ型は、「スポーツ・ゲーム・ビジネス」といったカテゴリーの中から、ユーザー自身で見つけたい情報を探すタイプの検索エンジンです。サイトの運営者は、各カテゴリーにWebサイトを登録しなければなりません。
時代の進展とともに情報量が増え、人手での作業が難しくなったことから、現在は「ロボット型」の検索エンジンが主流になっています。ロボット型は、プログラムが自動的にWebサイトの情報を収集し、ユーザーの検索キーワードに応じて適切な検索結果を返す仕組みです。
検索エンジンの役割は、ユーザーが正確な情報を短時間で収集できることにあります。その役割を果たせるよう、検索エンジンは時代とともに常に進化しています。
検索エンジンが順位を決める仕組み
ユーザーが検索エンジンで情報を調べるときは、検索結果の上にあるページをクリックすることが多いとされています。そのため、検索エンジンにおいて検索順位をどう決めるかは重要です。
ここではGoogle を例に取りますが、まずは「クローリング」を行います。クローリングではクローラーと呼ばれるロボットがインターネット上を巡回し、既存のページを再度確認したり、新しいページを認識したりします。
次に、ページをデータベースに登録する「インデックス」を行います。インデックスされたページは、検索結果に表示されるようになります。
その後、ユーザーが検索した単語・フレーズにあわせて、最も有益だと思われるページから順に検索結果に表示していきます。
検索結果に出てくる仕組みや、出てこないときの対策については以下コラムにて解説しています。
【2024年版】検索エンジン一覧
検索エンジンの仕組みの変遷に伴い、市場におけるシェア率にも変化が生じています。2023年時点での国内・海外市場におけるシェア率と、各検索エンジンの特徴について解説します。
検索エンジンの国内・海外市場
Webトラフィック解析サービスを展開する「Statcounter」のデータをもとに、検索エンジンの国内・海外市場におけるシェア率をご紹介します。こちらはすべてのデバイスを合わせた数値です。
「Statcounter」のデータをもとに作成(2024年5月時点)
国内と海外で圧倒的なシェア率を誇るのはGoogle です。特に、海外ではGoogle が90%を超える高いシェア率を占めています。一方、国内では2位以下のYahoo!やBingのシェア率が海外よりも高い傾向にあります。つまり、国内でSEOを実施する際は、Google 以外の検索エンジンにも注意を払う必要性が高いということです。
なお2024年5月のデータだとBingがYahoo!を上回っていますが、4月まではYahoo!がずっと上回っており、ちょうど逆転したところです。今後はまた状況が変わるかもしれません。
各検索エンジンの特徴
ここでは、国内シェア率上位の検索エンジンの特徴を解説します。Google やその他の主要な検索エンジンの特徴を把握することで、SEOで狙うべき媒体を決める際に役立つでしょう。
1. Google (グーグル)
<シェア率>78.17%
<特徴>
- 国内・世界ともにシェア率ナンバーワン
- Webページ以外に、画像・動画・地図・ニュースなどの検索が可能
- ページランク呼ばれる独自のアルゴリズムで各Webページをランク付け
Google (グーグル)は、国内・世界ともに圧倒的なシェア率を誇る検索エンジンです。ユーザー数が多いため、SEOによって検索結果の上位を獲得することで、数多くのアクセス数が見込めます。
ただし、競合他社がひしめく検索エンジンだからこそ、上位獲得の難易度が高い傾向にあります。
2023年3月、Google は米国と英国で対話AIサービス「Bard(バード)」を先行公開し、5月には日本語版の試験運用も開始しています。
Bardとは、ユーザーの質問に応じて、人間と会話するようにAIが回答を導いてくれるサービスです。AI開発の競争が過熱化するなか、今後は検索エンジンに人工知能の仕組みが活用されるシーンも増えてくるでしょう。
2024年2月にBardの名称は「Gemini」に変更されました。Geminiは2023年12月に公開された技術の名称で、そのまま対話型生成AIツールの名称にもなった形です。
情報収集やテキスト生成、要約、研究、プログラミングなど幅広い活用を可能としています。
Geminiの登場により、生成AIのサービス競争がさらに激化していくとみられ、各サービス内容や勢力図は今後も目まぐるしく変わっていくと考えられます。
2. Bing(ビング)
<シェア率>10.72%
<特徴>
- 「ユーザーの意思決定を支援」をコンセプトに独自の検索アルゴリズムを構築
- 期間指定による絞り込み検索が可能
- 大型サムネイル表示やプレビュー閲覧など、動画検索の機能が豊富
Bing(ビング)は、Microsoftが開発した検索エンジンで、Microsoft Edgeのデフォルト検索エンジンに設定されています。Microsoft EdgeはWindows 10以降のパソコンに標準搭載されているため、デスクトップのシェア率が国内第2位と高い水準を誇ります。また、前述のように、2024年5月には全デバイスでも2位のシェア率に躍り出ました。
対話AIサービス「Bing AI」が搭載されているのもBingの特徴です。
Bing AIとは、OpenAIが提供するGPT-4をベースに作られた対話型生成AIです。調べたいキーワードやテキストを入力することで、検索結果から最新の情報を反映しつつ、AIが詳細な回答を用意します。なお、検索エンジンとして競合のGoogle と比べるとシェアには大きな差がありますが、検索エンジンへの生成AI導入に関してはBingがリードしており、AI検索の今後の流れによっては大きな存在感を発揮するかもしれません。
対話型をふくむ生成AIについて詳しく知りたい方は、以下コラムをご覧ください。
3. Yahoo!(ヤフー)
<シェア率>9.76%
<特徴>
- Google の検索アルゴリズムを採用
- 辞書検索や知恵袋検索といった独自サービスを提供
- Yahoo!ショッピングやヤフオク!などの関連サービスが豊富
Yahoo!(ヤフー)は、検索エンジンの機能を持つポータルサイトです。情報を検索する以外にも、ワンクリックで主要ニュースの確認やショッピングサイトへのアクセスなどが可能です。
デスクトップにおけるシェア率は低下傾向にあるものの、モバイルでは国内で2番目に高い水準を誇ります。そのため、モバイルユーザーを中心にSEOを実施する場合には、重視したい媒体です。
4. YANDEX(ヤンデックス)
<シェア率>0.34%
<特徴>
- ロシア国内で最も使用されている検索エンジン
- ロシア語・英語・トルコ語・日本語などに対応
- フリーメールやオンラインストレージといった関連サービスが豊富
YANDEX(ヤンデックス)は、ロシアでトラフィックを獲得したい場合におすすめの検索エンジンです。ロシア国内におけるシェアは1位で、2024年5月には67%を超えます。
日本語での検索にも対応しているほか、ロシア語・トルコ語といったキリル文字圏の諸言語での検索も可能です。そのため、多言語対応が求められる訪日旅行客向けのインバウンドマーケティングとしても活用できるでしょう。
5. DuckDuckGo(ダックダックゴー)
<シェア率>0.32%
<特徴>
- ユーザーの個人情報や検索履歴が保存されない安心設計
- 1ページ内にすべての検索結果が表示されるシンプルなインターフェース
- サイト内検索を容易に行える「bang」機能
DuckDuckGo(ダックダックゴー)は、米国ペンシルバニア州に拠点を構える「 DuckDuckGo, Inc.」が運営する検索エンジンです。ユーザーのプライバシー保護を重視する検索エンジンとして、近年注目を集めています。
一般的な検索エンジンでは、検索結果や広告表示をユーザーごとに最適化するためにCookieやIPアドレスで個人情報を収集しますが、DuckDuckGoにはユーザーの個人情報や検索履歴はいっさい記録されません。そのため、個人情報の流出リスクを懸念するユーザーの利用が見込まれます。
Google ・Yahoo!以外にチェックすべき検索エンジン
ここまで見てきたように、直近はGoogle ・Yahoo!以外にも重視するべき検索プラットフォームが存在します。ウェブライダーの松尾氏は、まず日本の場合は「Bing」も見ておくと良いと話します。
【松尾茂起プロフィール】
関西学院大学を卒業後、音楽系の制作会社に勤務し、2005年にフリーランスとして独立。2010年に京都にて株式会社ウェブライダーを設立。検索集客を軸としたWebブランディングやマーケティングのコンサルティング、コンテンツ制作を手がける。
これまでにプロデュースした主なコンテンツは『沈黙のWebマーケティング』『沈黙のWebライティング』、メディアには「美味しいワイン」「美味い居酒屋」「Betters」「素敵なギフト」などがある。沈黙シリーズは書籍化され、電子含めて18万部を超えるベストセラーに。
また、文章作成アドバイスツール「文賢(ブンケン)」をはじめとしたSaaSもプロデュース。
ピアノ弾き・作曲家としての顔ももち「国民文化祭 京都2011」などのイベントや京都の貴船神社などに楽曲を提供。
「Windowsを購入して、デフォルトのWebブラウザ・Edgeを使用している方は、Bingを使用しているケースが多いです。そのため、シェアも高くなっている傾向があります」(松尾氏)
加えて、検索エンジン以外のプラットフォームも注視しておく必要があるようです。特に「SNS内における検索結果は、注視する必要があるでしょう」と松尾氏は語ります。
「Twitterやインスタグラム、YouTubeやAmazonでもユーザーは検索を行っています。その結果、自社のサービスや狙っているキーワードがどれだけ検索され、上位表示されているか確認しておきたいところです。情報を調べる場は、検索エンジン以外にも広まりつつあります。メディア運営者は検索エンジンのSEOだけにとらわれず、「検索エンジン以外の検索の場」での検索回数を調べられるツールを利用するなどし、SNSをはじめとした様々な場所での検索状況を知っておくとよいでしょう」(松尾氏)
検索エンジンの種類によってSEOの対策方法は異なる?
大多数の検索エンジンは、ユーザーの検索ニーズに合ったコンテンツを上位表示するという理念のもと、Webページの順位付けを行っています。ユーザーの利便性を高めてスムーズな課題解決に導くことで、その検索エンジンの利用機会が増え、広告などによる収益アップにつながると考えられるためです。
ただし、検索意図に応じて順位を変動させる検索アルゴリズムの仕組みは、検索エンジンによって大きな違いがあります。そのため、検索エンジンの仕様に合わせてSEOの対策方法を変える必要があるでしょう。
Google の検索アルゴリズムを採用しているYahoo!を除くと主要な検索エンジンはGoogle とBingの2つです。ここでは、Google とBingにおけるSEOの対策方法の違いを解説します。
Google はドメインパワー重視
Google はBingに比べ、個別のページよりもWebサイト全体を評価する傾向にあります。仮に、個別ページの評価が高いとしても、Webサイトのなかに低品質なページがあった場合には、検索順位が伸びにくくなります。このようなケースでは、Webサイト全体の品質の見直しや評価の低いページを削除するなどの対策が必要です。
また、個人が運営するブログなどと比較すると、企業や公的機関が運営するWebサイトのほうがドメインの信頼性を評価した「ドメインパワー」が強く、上位表示の可能性が高くなるといわれています。特に、人々の幸福や健康、生活に影響するYMYL(Your Money or Your Life)の分野では、その傾向が顕著に現れます。このような分野では、高い専門性や権威性が重視されるからです。
ただし、一部の地域を除きGoogle は圧倒的なシェア率を誇るため、ほかの検索エンジンをターゲットにする場合であっても、SEOにおける最低限の対策は行うと良いでしょう。
Bingは個別のコンテンツを重視
Bingは、Google よりも個別のページやコンテンツを重視する傾向にあります。特にタイトルが重要な要素で、ページごとに検索キーワードとの一致率を優先して順位を決定するといわれています。
ドメインパワーや被リンクの評価が高まっていない新規メディアであっても、個別ページに対する適切なSEOを実施することで、上位表示の可能性が高まるでしょう。例えば、複数のキーワードを組みあわせたロングテールキーワードを狙うといった方法です。
ユーザーの求めるコンテンツを作成することが重要
ここまで、主要な検索エンジンについて紹介してきました。検索エンジンの特徴を押さえることは重要ですが、実際にコンテンツを作成する際には、検索エンジンばかりを見るのではなくユーザー目線になることが重要です。
検索エンジンのアルゴリズムを意識したコンテンツを作成すると、そのときは良い結果が出るかもしれませんが、ユーザーを置き去りにしてしまい中長期的には尻すぼみになるでしょう。コンテンツはユーザーの課題を解決するためにあるべきで、その結果、検索エンジンにも評価されていきます。
このように、ユーザーにとって有益な情報を提供することを通じてユーザーとの間に信頼関係を構築していくことをコンテンツマーケティングと呼びます。
なぜコンテンツマーケティングが重要なのか
企業が成長していくためには、商品・サービスの魅力を見込み客に伝え、顧客になってもらう必要があります。しかし、ユーザーの多くはよく知らない企業の商品・サービスを購入することはありません。
コンテンツマーケティングは、ユーザーに有益なコンテンツを提供することで信頼関係を築き、ユーザーが購入を検討するときに選んでもらえるように目指すマーケティング手法です。
コンテンツにはさまざまなものがあり、Webコンテンツはもちろん、フリーペーパーやセミナー、SNSでの情報発信も含まれます。
コンテンツSEOについて
コンテンツSEOとは、コンテンツマーケティングのうち、検索エンジンからの流入を増やす施策を指します。SEOを意識したコンテンツを作成することで、検索エンジンからの評価を高め、Webサイトへの流入を増加させます。
一方で、コンテンツはユーザーにとって有益なものである必要があります。
コンテンツマーケティングやコンテンツSEOについては、以下コラムに詳しくまとめています。
コンテンツ作成におすすめの「ブログアイデア生成ツール」
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Google 以外の検索エンジンもチェックしておこう
SEOを実施するうえで、どの検索エンジンを対象に対策を行うかは非常に重要です。狙い目は国内・海外ともに圧倒的なシェア率を誇るGoogle ですが、自社でSEOを強化したい特定の国・地域がある場合や、利用したい機能がある場合は、そのほかの検索エンジンに関する情報収集も行っておくことが大切です。
特に、海外向けサービスなどを展開する場合は、ターゲットとする国・地域でのシェア率の高い検索エンジンに対するSEOを実施することで効果が高まり、ユーザーに自社コンテンツを見つけてもらいやすくなるでしょう。
結果としてアクセスアップや売上増に寄与するため、本記事を参考にGoogle 以外の検索エンジンにも着目してください。