ビジネスの成長には、新規顧客の創出のみならず、既存顧客との関係を深める活動が欠かせません。

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特にサブスクリプションでは、既存顧客との関係維持は重要なテーマです

本記事では「既存顧客の関係維持」に力点をおいた「リテンション・マーケティング」 について、その意味や実施する上でのポイントを解説します。顧客の満足度を高め、自社を選び続けてもらうための方法を知り、業務に活かしていきましょう。

カスタマーサクセス部門を成功に導くKPIテンプレート

リテンションとは?

「保持・維持」を表すリテンション(retention)は、ビジネスシーンによって異なる意味で使われます。
 

マーケティングにおけるリテンション

マーケティングにおいては顧客関係性を維持するための一連の活動を意味します。

また、既存顧客のリピート購入の促進に特化したマーケティング手法をリテンション・マーケティングと呼びます。
 

人事におけるリテンション

人事担当者がリテンションと言う場合には「人材の維持あるいは確保」を指します。
 

リテンションが向上すると得られる3つのメリット

リテンションが向上すると得られる3つのメリット

リテンションの向上はビジネスの成長において、3つの大きなメリットをもたらします。
 

【メリット1】長期間にわたって利益を生み出す

リテンション・マーケティングは、一度でも自社の商品やサービスを購入してくれた既存顧客に対し、更なる信頼関係を構築する活動です。結果としてサービスや製品を長く使い続けてもらうことにより、長期に渡って大きな利益を生み出すことが期待できます。
 

【メリット2】紹介が広がり、フィードバックを活用できる

既存顧客との関係性が高まることで、既存顧客の紹介によって見込み客が醸成されていきます。加えて、既存顧客から商品やサービスの感想・要望などのリアルな意見を活用すれば、今後の改善につなげることができるでしょう。
 

【メリット3】休眠顧客の掘り起こしができる

既存顧客の中には、以前は商品を購入していたものの、今は利用していない休眠顧客も多く存在します。そうした顧客へのアプローチとしても、リテンション・マーケティングは効果的です。
 

【メリット4】クロスセル・アップセルにつながる

顧客が商品やサービスを継続して購入してくれるようになれば、ワンランクアップした商品や別の商品を購入するといったアップセル・クロスセルにもつなげやすくなるため、結果として客単価の向上の可能性も高まります。
 

リテンションレートで「定着率」「継続率」を見よう

リテンション・マーケティングで追うべき指標として、リテンションレート(リテンション率)があります。リテンションレートは「定着率」「継続率」とも呼ばれます。
 

リテンションレートを測定すべき理由

リテンションレートとは「新規顧客の中で一定期間内にサービスを再利用した顧客の割合」を表します。測定する目的は「新規顧客の利用継続期間を測るため」で、「新規顧客創出のために必要とする予算が適切かどうか」「新規顧客創出の施策が成功しているかどうか」の判断材料になります。

リテンションレートの数値を定点観測することで、離脱リスクが高まっている顧客に離脱を踏み止まらせる施策を打つことも可能になるため、カスタマーサクセスの指標の1つとなっています。

既存顧客を大切に育て、機会損失を最小限に留めるためにも、リテンションレートの計測と分析が重要です。
 

リテンションレートの計算方法

リテンションレートは一定期間における「継続顧客数÷新規顧客数」で算出します。例えば、ある月に新規顧客が100人増え、30日後に80人の継続利用があった場合、30日後のリテンションレート は80%です。

リテンションレートの計算は、顧客数の維持率を求めるアカウント(顧客数)ベースの方法と、収益の維持率を求める収益ベースの方法の2種類があります。

  1. カスタマーリテンションレート(アカウントベース){(期間終了時の顧客数 - 期間中に増えた顧客数)÷ 期間開始時の顧客}× 100
  2. レベニューリテンションレート(収益ベース)
    {(期間終了時の収益 - 期間中に増えた収益)÷ 期間開始時の収益}× 100

定額のサブスクリプションサービスなどで顧客単価が均一の場合は、アカウントベースの計算式が多く用いられます。

一方、顧客の要望に合わせて複数サービスを提供していたり、顧客ごとで単価が異なる場合は、収益ベースで換算するのが一般的です。

広告効果により一時的に新規顧客が増えたとしても、その後多くの顧客が退会すれば、全体の顧客数はほとんど伸びません。こうした事態を防ぐためにも、日頃からリテンションレートを計測し、改善策を打っていくことが必要です。
 

リテンション・マーケティングの基本施策

リテンション・マーケティングの基本施策

リテンション・マーケティングを行う際に打つべき施策は企業ごとに異なりますが、ここではまず基本的な取り組みを紹介します。
 

1.CRM ツールの導入

顧客管理の最適化がリテンション・マーケティング成功の鍵です。

CRMは顧客データの管理・分析を行うシステムで、顧客に関連したさまざまなデータを蓄積することが可能なツールです。

これにより、LTV(顧客生涯価値)を算出したり、優良顧客をセグメンテーションしたりできるようになります。

CRMについては以下の記事でも詳しく解説しています。ご興味のある方はぜひご覧ください。

2. 顧客ロイヤルティプログラムの導入

顧客ロイヤルティプログラムとは、ブランドに愛着を抱き、継続利用するロイヤルカスタマーを醸成・維持するための仕組みです。一定以上サービスを利用している顧客に特別なサービスを行うことで、さらに信頼関係を高めていきます。

手法としては、個別のクーポンメール送付、会員ランク制度による利用促進などがあります。

顧客ロイヤルティについては以下の記事でも詳しく解説しています。ご興味のある方はぜひご覧ください。

3. カスタマーサポートの充実

顧客満足度の向上には、カスタマーサポートの充実は欠かせません。優れた商品やサービスを提供していても、その後のサポートがしっかりしていなければ、顧客が離れは進み、逆に、サポートがしっかりしていれば自社やブランドのファンになってくれる可能性は高まります。

カスタマーサクセスについては以下の記事でも詳しく解説しています。ご興味のある方はぜひご覧ください。

ステップに応じた取り組みでリテンションを向上させよう

ステップに応じた取り組みでリテンションを向上させよう

リテンションの向上には、ステップに応じた取り組みも欠かせません。段階的な投資をしていくことも検討しましょう。
 

【ステップ1】NPS®(顧客ロイヤルティ指標)を計測する

「顧客が自社のことをどのように感じているか?」「今後も取引を続ける意思があるかどうか?」を示す指標としてNPS®(ネットプロモータースコア)があります。NPS®を計測することで、自社の顧客ロイヤルティの現状を知ることができます。

計算方法は以下です。

NPS® = 推奨者の割合 (推奨者の数 ÷ 回答者全員の数)- 批判者の割合(批判者の数 ÷ 回答者全員の数)

具体的には「企業・サービスを友人・同僚に薦める可能性はどのくらいありますか」と質問をし、その回答を0~10の11段階で評価してもらいます。その上で、9〜10「推奨者」、7〜8を「中立者」、6以下を「批判者」と分類し、NPS®を算出します。

例えば100人に回答してもらい、30人が推奨者で、批判者が25人いたとします。その場合は、推奨者が30%、批判者が25%でNPS®の数値は「30 - 25= 5」です。
 

【ステップ2】 カスタマーサポートへ投資する

カスタマーサポートは顧客と直接対話や交流を行う顧客体験の最前線のためNPS®を計測する窓口として有効。

カスタマーサポートで満足のいく対応や期待以上の対応が得られれば、返品あるいは解約を検討していた顧客が優良顧客に変わるかもしれません。

充実したサポート体制を構築するためには、効率化を求めるだけではなく、サービス向上のための組織体制強化・担当者の教育など必要に応じた投資が必要です。担当者の教育では実際の会話を想定したロールプレイングなど、実践トレーニングも重要でしょう。
 

【ステップ3】カスタマーサクセスを強化する

さらに顧客満足度を高めるために、カスタマーサクセスを強化しましょう。カスタマーサクセス部門は、まずは顧客の成功にコミットし、その結果、顧客と自社双方にとって利益のある状態を目指すべきです。当然、顧客の成功に対して中長期的に寄り添う姿勢が前提となってきます。

受動的に顧客からの要望を待つのではなく、能動的に改善提案して顧客を成功に導く伴奏相手としての役割を意識しましょう。
 

顧客の期待を超える体験を届けよう

サブスクリプションビジネスに限らず、リテンション・マーケティングマーケティングは事業成長のために益々重要な要素となってきています。リテンション・マーケティングにおいて、1つの鍵となるのは、顧客体験の向上です。

顧客体験の向上を目指すうえで、リテンションレートの計測、CRMツールや顧客ロイヤルティプログラムの導入、カスタマーサポートの強化といった1つ1つの手順をしっかり押さえて取り組むことが成功に繋がってきます。

これらの手順を踏まえたうえで、計測した数値から顧客のニーズを理解し、顧客ロイヤルティを高める施策を打ち続けることが重要です。既存顧客との関係を深める「リテンション・マーケティング」の活動を通じて、顧客の期待を超える体験を届けてみてはいかがでしょうか。

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カスタマーサクセス部門を成功に導くKPIテンプレート

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元記事発行日: 2019年9月11日、最終更新日: 2022年6月28日

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