成約率とは、全体の商談数に対して成約(受注)に至った件数の割合のことで、営業の成果を測る重要な指標のひとつです。
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成約率を上げるには、徹底的な顧客理解とヒアリングが重要です。なぜなら、購買行動は顧客の中で起きているからです。また、営業活動の改善のためには、成約率の重要性をしっかりと理解し、なぜ成約率が低下しているのか、原因を把握することも大切です。
この記事では、成約率の定義や計算方法、目安に加え、成約率が低くなる原因と原因別の対応策、成約率を上げる方法を詳しくご紹介しています。
顧客理解を深め、成約率を向上させて営業成績を上げたい方は、ぜひ参考にしてください。
成約率とは
成約率とは、商談数に対して成約(受注)に至った件数の割合を示す指標です。似た表現に「受注率」という用語があり、成約率と同じ意味で用いられています。
成約率は営業プロセス全体で考えることが大切です。ターゲットへの営業は次の図のようなプロセスをたどります。
営業プロセス全体で考えた場合、成約率は、商談数に対して受注に至った件数の割合で算出されますが、前段階の割合も重要になってきます。
ターゲットへのコンタクトがすべて受注に至るとは限りません。コンタクトから商談につながる顧客もいれば、そうでない顧客もいます。商談から受注に至る顧客もいれば、そうでない顧客もいるでしょう。
補足となりますが、ターゲットの全体数からコンタクトに成功した件数の割合をコンタクト率、コンタクトから商談に至った件数の割合を商談化率と呼びます。
成約率の計算式
成約率は、次の計算式で求められます。
【成約率の計算式】
成約率(%)=成約件数÷商談数の合計×100 (例)
- 成約件数10件・案件数の合計50件の場合、10÷50×100で20%となる
- 成約件数20件・案件数の合計40件の場合、20÷40×100で50%となる
成約率の目安
成約率の算出には商材の内容や価格、市場内での優位性、営業手法など多くの要素が絡むため、一概に何%あれば良いとはいえません。自社でデータを蓄積し、目安を定めていくと良いでしょう。目安が決まることで、マネージャー・営業メンバーの双方がパフォーマンスを客観的に分析できるようになります。トップセールスの成約率と他のメンバーの成約率の比較も効果的です。
成約率を計測する重要性
成約率は、各営業メンバーの成績を評価するために用いられるイメージがあるかもしれません。しかし、自社の業績だけではなく、顧客にとっても成約率は重要な指標です。
ここからは、成約率を計測する重要性を3つご紹介します。
1. ニーズの高い層を見極められる
成約率自体はただの数字ですが、その先には顧客が存在します。
商材ごとに成約率を算出し、さらに受注に至った顧客を分析すると、顧客の傾向が見えてくるでしょう。自社商材と相性が良い顧客層を見極められれば、ニーズの高い顧客に的確にアプローチできます。
ニーズの高い顧客であれば喜んで契約してくれる可能性は高くなり、自然と成約率も向上するでしょう。また、成約率から顧客が好む商材の傾向を導き出せれば、今後、新たな提案をする際にも効率的に進められます。
2. 課題のあるプロセスを見つけられる
成約率はコンタクトから商談、受注という営業プロセス全体で考えることが大切です。
成約率だけでなく、コンタクト率と商談化率も同じように計測すれば、どのプロセスの転換率が低いのかを分析でき、戦略の改善に活かせます。
例えば、成約率の向上ばかりに注目していたが、実際に改善すべきは商談化率だったというように、具体的な改善点が発見でき、営業成績の向上につなげられるでしょう。
3. パフォーマンスの高い営業メンバーを見つけられる
担当者ごとに成約率や転換率を計測することで、プロセスごとにパフォーマンスの高い営業メンバーがわかります。
同じ成約件数10件でも、Aさんは「商談化率は低いが成約率が高い」、逆にBさんは「成約率は低いが商談化率が高い」など、営業メンバーの強みを見つけられるでしょう。
次の例のように、それぞれの強みをノウハウとして営業メンバー内で共有すれば、全体の営業成績の向上につなげることも可能です。
(例)
●Aさん:商談化率25%、成約率40%
コンタクト:100件
商談:25件(商談化率:25%)
受注:10件(成約率:40%)
●Bさん:商談化率50%、成約率20%
コンタクト:100件
商談:50件(商談化率:50%)
受注:10件(成約率:20%)
●お互いのノウハウを共有後のAさんとBさん:商談化率50%、成約率40%
コンタクト:100件
商談:50件(商談化率:50%)
受注:20件(成約率:40%)
成約率が低くなる原因とは?原因別の対応策
営業活動に注力しても、一向に成約率が上がらないという悩みを抱えている方もいるのではないでしょうか。成約率が低くなる原因は、主に次の4点が考えられます。
- 顧客理解が甘い
- 顧客情報(BANT)をヒアリングできていない
- 先度を明確化せずに営業活動をしている
- 顧客情報が十分に社内共有できていない
ここからはそれぞれの原因と原因別の対応策をご紹介します。成約率を上げるために、まずは成約率が低くなる原因を見極め、必要な対応策を講じましょう。
1. 顧客理解が甘い
顧客が何を軸に商材の購入を考えているか、根本的な課題はなにか、どのような情報をどのタイミングで求めているかなどが見えていないと、提案が顧客に響かず成約に至りません。
売りたい商材に対して、どうすれば売れるかという営業側の視点しかなく、顧客側の視点に欠けているのが原因です。
対応策としては、顧客理解を深めることが重要です。ペルソナの再確認や、顧客の購買プロセスを見える化するためのカスタマージャーニーを今一度見直しましょう。顧客を理解するために、既存顧客に対して、商材購入に至った経緯や使った感想をヒアリングするのも良いでしょう。
2. 顧客情報(BANT)をヒアリングできていない
BANTとは、法人営業のフレームワークのひとつで、ヒアリングを行う際に押さえておくべき要素の頭文字を取ったものです。各要素の詳細を順に見ていきましょう。
1. Budget(予算)
予算の折り合いがつかない場合や顧客が予算の目処を提示できない状態では、商談が先延ばしにされてしまうか、その場ですぐに失注することも起こりえます。ただし、予算は時期や担当者で変わることもあるので、単純に「あり・なし」では判断できません。
そのため、たとえ予算がないと断られてしまっても、すぐには諦めずに、顧客の会社がどのようなプロセスで予算が確保されるのかをヒアリングしましょう。今期の予算が残っていないなどの理由であれば、来期に再度アプローチできます。
2. Authority(決済権を持つ人)
BtoBの場合、意思決定がボトムアップで行われる場合が多いです。窓口となっている担当者が前向きであっても、決済権を持つ上司に断られて白紙になることがあります。
このような事態に備えて、担当者との商談の中で、最終的な意思決定権を持っているキーパーソンをヒアリングしておきましょう。会社によっては金額で決済権者が変わることもあるため、商談ごとに確認が必要です。
そのうえで、担当者が決済権者に説明しやすいように自社で資料をまとめ、場合によっては決済権者にも商談に出席してもらうのも良いでしょう。
商談に顧客側の決済権者が出席する場合は、こちらも上司に同席してもらうと受注につながりやすくなります。
3. Need(ニーズ)
顧客の根本的な課題に気づけていなければ、顧客が求めている通りの商材を提案しても、それが顧客にとってのベストな解決策にならない場合があります。仮に受注できても顧客満足度は上がらず、今後の商談にも影響が出るかもしれません。
顧客ニーズの把握は、顧客が求めている商品に対する要件だけでなく、なぜその商品を希望しているのかも含めて確認する必要があります。
顧客の希望が、組織、部署、個人など、どのニーズによるものなのか、根本的な課題を掴んで、課題の解決策として商品を提案しましょう。商品ではなく、課題解決を売るという意識が大切です。
4. Timing(導入時期)
導入時期をヒアリングしなかったため、実は顧客が急いでいたことに気づかず、競合に先を越されてしまい失注という事態は避けなければなりません。
そのためにも、具体的な検討時期をできるだけヒアリングし、適切なタイミングで再度アプローチできる体制を整えましょう。
特にBtoBの場合は、ボトムアップで意思決定が行われる場合が多い背景から、即決されるケースはあまりありません。一度持ち帰りになっても見込みなしと判断せず、適切なヒアリングのもとにフォローを継続することが重要です。
なお、導入時期が決まっている場合は優先度が高いため、こまめなフォローが必要です。導入時期から逆算してスケジュールを提案すれば、スムーズな導入が期待でき、顧客満足度の向上にもつながります。
導入時期が未定の場合はすぐに受注につながらないかもしれませんが、案件として管理し、定期的にフォローを行いましょう。
3. 優先度を明確化せずに営業活動をしている
ホットリードが見極められておらず、受注確度が読めない状態でやみくもに営業活動をすることも、成約率が低くなる原因のひとつです。
ホットリードとは、自社の商材に強い興味を抱く見込み客のことです。ホットリードに対して、購入意欲の低い見込み客をコールドリードといいます。
対応策として、まずはカスタマージャーニーマップをもとに顧客の購買プロセスを理解し、ホットリードとコールドリードを見極められるようになることが重要です。そして、マーケティング部門などと連携して見込み客を細分化し、ホットリードに積極的なアプローチをしましょう。
4. 顧客情報が十分に社内共有できていない
事業部ごとに顧客情報を管理している場合、同一の見込み客に対し、各事業部から重複してアプローチしてしまうケースがあります。無駄な工数が生じるだけでなく、顧客との信頼関係が崩れ、成約率を下げる要因になるため、避けなければなりません。
こういったケースの場合は、営業メンバー個人で対応するのではなく、会社として対応する必要があります。具体的には、CRM(顧客関係管理)やSFA(営業支援システム)を導入し、部門を横断して顧客情報を管理する方法が考えられます。
複数サービスの顧客情報を統合|工数削減&顧客と良好な関係を築けるように
複数事業部で顧客情報を共有できず、コミュニケーションミスが生じていた企業がCRM/SFAを導入して、改善に至った成功事例があります。
CRM/SFA導入により、複数事業部の顧客情報統合を実現した結果、コミュニケーションミスが激減し、顧客との関係性を構築しやすくなりました。
マーケから営業、ヘルプセンターまでの顧客情報を一元化|業務の効率化やお客様対応時間の削減に
マーケティングと営業とのシステムの分断により、既存顧客への一貫したアプローチを実施できていなかった課題がCRM/SFAの導入によって改善された事例です。
CRM/SFA導入により、顧客情報を一元管理することで、各部門で連携が取れるようになり、顧客体験が向上しました。ヘルプセンターでも問題解決方法をスムーズに案内できるようになり、顧客満足度の向上や見込み客の醸成につながっています。
顧客体験を向上させ「徹底的にお客様とつながる」|リアルタイム衆知経営の実現へと導く第一歩
顧客情報や受発注データが事業部ごとに管理され、一元管理できていなかった結果、既に別の事業部で取引のある顧客へのアプローチやスムーズなクロスセル提案ができず受注の機会を逃していた課題が改善された成功事例です。
CRM/SFAの導入により、カスタマージャーニーに沿った営業プロセスを一括管理できるようになりました。顧客とのコミュニケーション体制が整い、適切なタイミングでのアプローチが実現し、顧客体験の向上にも寄与しています。
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成約率は適切な営業活動ができているかを知る重要な指標
成約率を上げるには、徹底的な顧客理解とヒアリングが重要です。顧客理解とヒアリングに基づいた適切な営業活動ができていれば、成約率は自然と向上します。
成約率が低くなる原因を突き詰めると、顧客起点の営業ができていない点に尽きるでしょう。購買行動は顧客の中で起きています。顧客理解を深めることが成約率を向上させ、顧客との良好な関係の構築にもつながります。
顧客との信頼関係を構築し、成約率を上げるためには、顧客層を見極め、顧客ニーズを把握し、適切なタイミングでアプローチをすることが大切です。そのためには、部門間において、顧客起点の営業を実現しうる情報連携が効果的です。
営業メンバー全体の成約率を向上させ、各事業部または会社全体での営業成績を上げたい方は、CRM/SFAの活用も検討してみてはいかがでしょうか。