SFA(営業支援システム)とは、営業活動に関するあらゆる情報を一元管理するためのツールです。案件情報や業務に関する情報、顧客情報など、幅広い情報がシステム内に蓄積されますが、どのデータをどのように活用するかによって、SFAを導入する効果が大きく変わります。
SFA (営業支援システム) 導入の基礎ガイドと実践用チェックリスト
SFA導入を成功させるためのポイントを徹底解説!
- SFAの導入を成功させる方法
- スムーズな社内導入5つのチェックポイント
- SFAツールのご紹介
- SFA導入「実践用チェックリスト」
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全てのフィールドが必須です。
そこで本記事では、SFAを用いたデータ分析の重要性や具体的な分析方法を解説します。KPI分析・商談分析・行動分析・営業パイプライン分析・リード分析の5種類に分けて、それぞれの特徴や活用方法をわかりやすく紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
SFAのデータ分析とは
SFA(営業支援システム)のデータ分析とは、SFAのシステム内に蓄積された営業活動に関するデータを分析することです。受注率や受注金額、失注理由といったデータをもとに、営業プロセスにおける問題点の抽出や改善を行います。
SFAには、さまざまなデータが蓄積されていくため、目的を明確にしたうえで必要なデータを抽出・分析することが大切です。
SFAのデータ分析が重要な理由
SFAに蓄積されたデータは、データドリブンな意思決定や顧客ニーズの理解に役立ちます。ここでは、SFAのデータ分析が重要な理由を見ていきましょう。
データドリブンな意思決定が可能になる
営業活動は、経験や勘といった言語化されていないスキルをもとに行われることがあります。営業担当者が持つ定性的な情報は企業にとって重要な資産ですが、そのままでは分析できないのがデメリットです。また、業務が属人化する原因にもなります。
SFAに営業活動に関する情報を登録し、蓄積されたデータを分析することで、客観的な意思決定を行うことが可能です。意思決定のスピードも向上するでしょう。
人間が持つ定性的な情報と、SFAに蓄積された定量的な情報を組み合わせることで、意思決定の質が向上する効果も期待できます。
顧客ニーズの変化を迅速に察知できる
常に変化し続ける顧客ニーズを捉えるには、リアルタイムの情報収集が必要です。
SFAを導入している組織では、アプローチに対する反応や商談の内容といった最新情報を、逐一システム上に記録します。更新された情報は自動的にレポートとして出力されるため、常に見込み客や顧客の現状を把握することが可能です。SFAによるリアルタイム分析を実施することで状況の変化に気付きやすくなり、迅速かつ的確な対応につながるでしょう。
組織内での円滑な情報共有を行える
SFAのシステム内に蓄積されたデータを分析することで、現場で慢性的に発生している課題や、理想的な営業活動を実現するために不足している要素などが把握できます。分析結果は表やグラフといった形で可視化できるため、チーム全体で現状の問題点を共有できるのが利点です。情報共有が進めば問題解決に向けた提案も出やすくなるでしょう。
同時に成功法則を見出せるのもポイントです。営業成績の良い担当者のノウハウをチーム全体で共有することで、パフォーマンスが底上げされ、受注率や受注金額の向上が見込めます。
分析対象となるSFAのデータ
SFAにはさまざまな情報を蓄積できますが、そのなかでも分析対象となるのは次のようなデータ群です。
- 案件情報
- 活動情報
- 顧客情報
各データの性質や特徴を解説します。
1. 案件情報
SFAには案件管理機能が備わっており、見積金額や進捗率、失注率といった幅広い情報が案件ごとに蓄積されます。
例えば、失注案件のみをグルーピングし、それぞれの失注理由やアプローチ方法から失注原因を探るなどの活用方法があります。「失注した」という事実だけでなく、見込み客からのフィードバックや提案した商材、コンタクト登録から商談までに要した期間といったデータを詳細に記録しておきましょう。
2. 活動情報
活動情報とは、各営業担当者がどのようにアプローチを行ったのかを表す行動記録です。アポイント数や訪問履歴、商材の提案履歴などのデータが含まれています。
このような活動情報は結果とともに分析するのが一般的です。例えば、特定の営業担当者の活動内容と、それに付随する案件情報(結果)を紐づけることで、はじめて問題点や成功法則の特定が可能になります。
3. 顧客情報
最近はSFAの機能が多様化しており、CRM(顧客関係管理)の機能を兼ね備えた製品も数多く存在します。CRMの機能が付随していれば、見込み客や顧客の情報を一元管理できます。
管理できる情報は見込み客や顧客の属性だけでなく、行動履歴(Webサイトのアクセス履歴や購買履歴など)も含まれます。そのため、属性と行動傾向から見込み客・顧客をグループ分けしたり、自社への貢献具合から営業の優先度を振り分けたりといった分析が可能です。
SFAのデータを駆使した分析手法5選
SFAに蓄積された案件情報や活動情報などを活用することで、次のような分析が可能です。
- KPI分析
- 商談分析
- 行動分析
- 営業パイプライン分析
- リード分析
それぞれ異なる分析結果が現れるため、目的を明らかにしたうえで適切な手法を選択することが重要です。各手法の詳細について詳しく解説します。
1. KPI分析
KPI分析とは、あらかじめ定めた達成度の評価基準をもとに予実を検証する手法です。その評価基準にKPI(重要業績評価指標)という数値目標が用いられます。
例えば、特定の期間において商談化率70%という数値をKPIに設定すれば、目標と期間中の実績との差を比較しつつ目標達成度を割り出せます。仮に目標よりも実績が低い場合、何らかの課題が発生していると仮定し、仮説検証や施策の改善へとつなげられます。
SFAで取り扱うデータは定量情報が中心なので、数値目標を設定しやすく、KPI分析と相性が良いといえるでしょう。
2. 商談分析
商談分析は、案件ごとの商談内容を見直して最適解を割り出す手法です。
商談時の会話内容や提案資料などを振り返ると、提案に対する見込み客の反応がわかります。そのほか、「価格と品質のどちらを重視して提案を行うことが多いのか」、「見込み客の反応に対してどのようにフォローを行ったか」といった点も明らかになります。SFAでは商談時のコミュニケーション履歴を蓄積できるため、商談内容を見直すのに効果的です。
また、SFAの機能を駆使して、分析結果を踏まえた最適なトークスクリプトを作成することも可能です。作成したトークスクリプトをシステム内で共有すれば、SFAがナレッジベースとしても機能します。
3. 行動分析
行動分析とは、担当者一人ひとりの活動内容をもとに、より適切な行動パターンを割り出すための手法です。SFAなら活動管理機能によって各担当者の行動傾向がつかめます。成績優秀な担当者をグルーピングし、行動の癖や提案方法、商談中の話し方などの関連性を発見することで、成功法則を見出すことが可能です。
営業活動の成否は各担当者の対応に大きく依存します。担当者ごとの行動傾向を割り出して業務全体の均質化を図れる行動分析は、営業分析のなかでも特に欠かせない手法です。
4. 営業パイプライン分析
営業パイプラインは、アプローチ開始からクローズまでの流れを可視化した図を表します。一連の営業プロセスのなかで発生した事象を分析することで、ボトルネックの特定や問題の早期発見につながります。
例えば、ヒアリングから商材提案に至るまでのフェーズで見込み客が大幅に減少しているなら、「見込み客の課題に対して適切な解決策を提案できていない」といった仮説を立てられます。
これは営業プロセスを細分化してはじめて把握できることで、全体を俯瞰的に眺めているだけでは問題を特定しにくいでしょう。各フェーズで発生している問題を解消することで、全体最適化が進み、組織全体の営業成績の底上げに寄与します。
5. リード分析
リード分析とは、見込み客の属性や行動履歴から傾向をつかむ手法です。分析により見込み客の解像度が高まるため、本質的なニーズを探ったり、自社にとっての重要度を評価したりする際に効果を発揮します。リード分析には、属性によって見込み客をグルーピングする「セグメンテーション分析」や、購買履歴から優先度を割り出す「RFM分析」などの種類があります。
ただし、SFAは製品によってどの程度のリード情報を扱えるかが大きく異なります。場合によってはリード管理に強みを持つMA(マーケティングオートメーション)ツールや、顧客情報を総合的に管理できるCRMツールと組み合わせて活用するのも効果的です。
SFAでデータ分析をする際のポイント
SFAのデータ分析を成功させるには、いくつか押さえておくべきポイントがあります。ここでは、3つの観点から分析時のポイントを解説します。
仮説検証・改善を繰り返す
SFAの分析結果が現れた状態は、データ活用のゴールに到達するための通過点に過ぎません。データを最大限に活用するには、現れた分析結果から仮説検証を行い、施策を改善して目標を達成する必要があります。
つまり、データ分析が完了したからといって満足せず、PDCAを繰り返し実行しましょう。施策を改善して良い成果が現れると、立案した仮説の正しさが立証され、その結果を成功法則として活かせます。
SFA以外のデータも活用する
SFAには主にファーストパーティデータ(自社独自に取得したデータ)を保存します。しかし、営業分析ではファーストパーティデータ以外に、セカンドパーティデータ(パートナー企業から得られるデータ)やサードパーティデータ(一般公開されているデータ)も使用します。
例えば、ファーストパーティデータのみを活用する場合、自社のなかで起きている事象や問題点は把握できるものの、外部環境要因や市場動向などの情報は分析できません。営業分析では一般的に、業界のトレンドを把握する「動向分析」や、その要因を明らかにする「要因分析」などを実施し、市場全体の大まかな流れをつかんでから個別の分析へと移行します。
そのため、最初からSFAを用いて個別分析に入るのではなく、まずはSFA以外のデータを活用しつつ、俯瞰的な分析から進めていくのが良いでしょう。
BIツールと組み合わせる
SFAのなかには分析機能を標準搭載した製品もありますが、データ分析に特化した「BIツール」を活用するのも方法のひとつです。事実、BIツールとデータ連携が可能なSFAも少なくありません。
BIツールはデータ分析専用のツールだけあり、幅広い種類のチャートが用意されており、自由自在に分析結果やレポートをカスタマイズできます。SFAの定型化されたフォーマットに依存する必要がなく、ユーザーインターフェースの視認性向上につながるのが利点です。
また、API連携やシングルサインオン(ひとつのログイン情報のみで複数のシステムにアクセスできる技術)の機能を活用すると、管理すべきシステムが増えても利便性を損なわずに済みます。
SFAのデータ分析で営業活動の最適化を図ろう
SFAには、営業活動に関するあらゆるデータが蓄積されます。目的に合わせてSFA上のデータを分析することで、営業プロセスにおけるボトルネックの特定や、課題解決に向けたアクションプランの策定が可能です。
繰り返し分析を行い、PDCAサイクルを回して自社に合った分析方法を導き出しましょう。
HubSpotが提供するSFA「Sales Hub」には、さまざまな分析機能が搭載されています。
例えば、リードレポートや見込み分析アナリティクスにより、リード創出から受注に至るまでの効果分析が可能です。有望なリードに対して担当者がどうアプローチし、なぜコンバージョンに至ったかなどを可視化できます。無料で使用できるプランもご用意していますので、まずはSFAを試してみたいという方は、ぜひご利用ください。