テレアポは古くからある営業手法の1つですが、近年注目されているインサイドセールスとどのように違うのか疑問に感じたことはないでしょうか。実は、テレアポとインサイドセールスは目的・成果指標・時間軸の面で大きく異なる施策です。
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今回は、テレアポとインサイドセールスの違いや、現代に求められるテレアポの特徴、インサイドセールスの一環としてテレアポを捉える考え方について解説します。テレアポをインサイドセールスに取り入れる際のポイントもまとめていますので、ぜひ参考にしてください。
テレアポとインサイドセールスの3つの違い
テレアポとインサイドセールスはどちらも非対面による営業手法のため、しばしば混同されがちです。しかし、両者は本質的に異なる営業手法であり、テレアポ=インサイドセールスではありません。テレアポとインサイドセールスの主な違いは下記の3点です。
目的の違い
テレアポを実施する主な目的は、アポイントを獲得することです。一方、インサイドセールスの目的は顧客との関係性を構築し、顧客を育成することにあります。アポイントが取得できただけで、インサイドセールスの目的を達成できているとはいえない点に注意してください。顧客のニーズをヒアリングし、相手が求める情報を提供した上で、購買意欲が高まったタイミングで商談を設定することが、インサイドセールスの主な目的です。
成果指標の違い
テレアポの評価指標は、主にアポイント獲得件数です。前述のとおり、テレアポの目的はアポイント獲得であることから、実際にアポイントを取得できた件数が評価指標となるのは必然でしょう。
これに対して、インサイドセールスでは成果につながった商談の設定件数や成約数などが評価指標となります。顧客育成がインサイドセールスの目的であることから、アポイント取得後の商談がスムーズに進むかどうかは、インサイドセールスでの情報収集にかかっているといっても過言ではありません。
時間軸の違い
テレアポではできるだけ多くのアポイントを取得することが求められているため、短期間で成果をあげる必要があります。一方、インサイドセールスは見込み客との関係構築が主眼に置かれるため、中長期的にわたる施策と捉えるのが一般的です。インサイドセールス施策において、テレアポのように短期的な成果を求めることがないよう注意する必要があります。
現代に求められるテレアポとは?
従来のテレアポの手法には、さまざまな問題点が指摘されていました。テレアポを受ける側は望んでいない電話を受けなくてはならず、テレアポを実施する側はノルマに追われて追い詰められるなど、双方にとってデメリットが山積していたのが実情です。現代に求められるテレアポについて解説します。
従来のテレアポと現代に求められるテレアポの違い
従来のテレアポ施策は、架電する相手が多数存在することが前提になっていました。しかし、人口減・労働人口減に伴い、アプローチ可能な対象は限られつつあります。営業活動の効率を高めていくには、テレアポが顧客・自社の双方にとってメリットのあるものに変えていく必要があるでしょう。
従来、テレアポは「見込み客リストを作成する」「リストを元に架電する」といった手順で進められてきました。この手法では、テレアポ担当者・見込み客・営業担当者のそれぞれの立場で次のような問題が生じがちです。
- テレアポ担当者:ノルマ達成が優先事項となり、ヒアリングよりも件数達成が目的化しやすい。ノルマの厳しさから離職率が高くなりがち。
- 見込み顧客:予期していなかった電話のため、購買担当者や決裁者に取り次ぐ必要性を感じない。検討する時間がないため、アポイントは不要との判断を下しがち。
- 営業担当者:ニーズや購買意欲が不明の状態で商談に臨まなければならない。見込み客を訪問しても、商談に入れる状態ではないことも多い。
こうした問題を解消するには、外勤営業(フィールドセールス)との連携を重視した戦略へと切り替えていく必要があります。
見込み客はテレアポを求めていない
インターネットが普及した現代においては、見込み客が自社で情報収集や事前調査を実施できる範囲が広がっていることから、そもそもテレアポでの情報提供を求めていないという問題もあります。多くの企業は新たな製品・サービスを導入するにあたって、社内で情報収集をした上で検討を重ね、最終段階で営業担当者との商談に臨みたいと考えているのです。
下図は、アメリカのガートナー社が実施した「企業が購買活動に充てる時間の配分」に関する調査結果を示しています。企業は購買検討に関する時間のうち67%をオンラインやオフラインでの調査や社内検討に費やしており、商談そのものの時間はわずか17%に過ぎません。
Gartner: Distribution of buying groups’ time by key buying activities の統計を元に作成
テレアポは営業職としての基礎訓練の場でもある
テレアポに求められる役割が変化しているとはいえ、テレアポ自体が無意味になったわけではありません。テレアポは営業職にとって、セールスの基本を学ぶための貴重な訓練の場でもあるからです。自社の商品やサービスについて繰り返し説明し、どうすれば相手に興味をもってもらえるのか試行錯誤を重ねることによって、営業職として独り立ちするための基礎を築けます。
ただし、単に件数をこなすだけのテレアポでは、基礎訓練としての意味合いが薄れてしまいかねません。営業活動の全体像を見える化した上で、組織全体の中で自身がどのような役割を担っているのかを理解してもらうことが重要です。営業ロープレを取り入れるなどして、トークスキルを研鑽していく必要があるでしょう。
インサイドセールスの一環としてのテレアポ
テレアポのメリットを引き出し、現代のビジネスシーンに合った施策へと進化させていくには、テレアポをインサイドセールスの一部として組み込んでいくことをおすすめします。インサイドセールスにおけるテレアポの役割と、適したKPI設定は次のとおりです。
インサイドセールスにおけるテレアポの役割
インサイドセールスの一環としてテレアポ施策を捉えるとすれば、「見込み客のニーズを引き出すための手段」と位置づけるのが適切でしょう。テレアポが果たすべき主な役割として、下記の3点が挙げられます。
【インサイドセールスにおけるテレアポの主な役割】
- 有望な見込み客リストの作成
- 信頼関係の構築と顧客ニーズの発掘
- 円滑な営業活動の促進
アポイント獲得だけを目的とした短期的な視点でテレアポを捉えるのではなく、見込み客との接点を創出し、相手に合わせた営業活動を展開していくための出発点と捉えることが大切です。
インサイドセールスにおけるテレアポのKPI設定
従来のテレアポで成果を測定するためのKPI(Key Performance Indicator=重要業績評価指標)は、架電数とアポイント件数でした。
インサイドセールスとしてのテレアポは、マーケティングやフィールドセールスとあわせたトータルな営業戦略の中に位置づけられます。そこでKPIとなるのは、以下の指標です。
- 架電数
- 見込み客につながった件数
- 継続してコミュニケーションを取っている見込み客の人数
- フィールドセールスにつなげた見込み客数
- 最終的な受注数
- 受注金額
これらの数字を意識して、自社独自のテレアポにおけるKPIを設定しましょう。
テレアポをインサイドセールスに取り入れる際のポイント
テレアポをインサイドセールスに取り入れ、効果的な営業活動へとつなげるには、どのような点を意識すればよいのでしょうか。注力しておきたいポイントを紹介します。
1. 見込み客に興味をもたせるトークスクリプトを作成する
HubSpotでは、インサイドセールスのヒアリングにおいて「GPCT」というフレームワークを活用しています。GPCTとは、以下の4項目の頭文字を取ったものです。
1. Goal(目標) |
見込み客は何を目標としているのか |
2. Plans(計画) |
目標を達成するためにどのような計画を立てているのか |
3. Challenges(解決すべき課題) |
どのような点に課題を感じているのか |
4. Timeline(タイムライン) |
いつまでに目標を達成したいか、計画のスパンはどの程度か |
さらに、Budget(予算)とAuthority(権限)についてもヒアリングしておくとよいでしょう。Budgetは目標を達成するためにどの程度の予算を想定しているのか、Authorityは決裁権や決定権を誰が握っているのかを、それぞれ表しています。
こうしたカギとなる質問を元に、見込み客から効果的に答えを引き出すためのトークスクリプトを作成します。立て続けに質問を並べるような流れにならないよう、相手に興味をもたせるトークスクリプトにしていくことが重要です。
2. 結果の見える化と情報共有の仕組みを構築する
営業活動全体を通じた結果の見える化と、社内における情報共有の仕組みを構築しておくことも重要なポイントです。部門間共通の目標を設定し、その中からテレアポの目標を割り出していく必要があります。
一例として、新規開拓で年間〇万円の売上を上げるというKGI(Key Goal Indicator:最重要目標達成指標)を設定したと仮定します。
⇒KGIを達成するための受注数をKPIに
⇒受注数を達成するための商談数を営業部のKPIに
⇒商談数を達成するための架電数をテレアポのKPIに
⇒架電数を達成するためのリード数をマーケティング部のKPIに
各部門でのKPIを協働で設定することにより、営業戦略全体における目標を各部門の具体的な行動にまで落とし込めます。
3. データを残すためにCRMを活用する
KPIを指標に据えることで、仮に成約に至らなかった場合もどのプロセスに原因があるのかを分析しやすくなります。よって、データは部門ごとに管理するのではなく、全体で共有することが重要です。テレアポによる接触回数やヒアリングの内容、案件化までの架電回数、営業担当者のリードタイムや見積書の提出回数などをCRM(顧客関係管理システム)に記録していくことによって、統計的な視点から営業活動を分析できます。
CRMは、見込み客および顧客との長期的な関係を構築することを目的としたツールです。CRMを活用し、見込み客とのコンタクトごとに情報を記録することで、適切なコミュニケーションが可能になります。
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インサイドセールスの手法をテレアポに取り入れて効果を高めよう
テレアポは従来のように短期的なアポイント取得のための施策ではなく、見込み客との関係構築のための入り口として捉えることが大切です。見込み客の信頼を得るためにも、他部署との協働を前提としたテレアポ施策へと切り替えていく必要があります。
本記事で紹介した、自社や自社製品に興味や関心をもつ見込み客へのヒアリングに重きを置く新しい手法を通じて、信頼関係の構築に寄与するテレアポ施策を実践してみてはいかがでしょうか。
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