この記事の要点
- カスタマーサポートは、問い合わせ対応だけでなく、VOC(顧客の声)の収集やCX(顧客体験)向上を通じて、顧客満足度やLTV向上にも貢献する重要な部門。
- 電話・メール・チャット・AIチャットボット・SNS・FAQなど、顧客接点ごとの特性を理解し、適切に組み合わせることが、効果的なカスタマーサポート運営につながる。
- 一次応答時間、一次解決率、自己解決率、NPS、解約率などのKPIを継続的に分析・改善することで、対応品質や顧客体験を定量的に向上できる。
- 近年は、CRM(顧客関係管理システム)と連携したAIエージェントの活用により、顧客ごとの文脈を理解したサポートや自己解決支援が可能となり、業務効率化と顧客満足度向上の両立が進んでいる。
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顧客からの疑問・問い合わせ・クレームを受け付け、商品・サービスの品質向上にも重要な役割を持つのが、「カスタマーサポート」です。顧客の意見を直に聞き、さまざまなVOC(Voice of Customer:顧客の声)を収集するカスタマーサポートは、企業・ブランド・商品・サービスの顧客満足度を向上させるために重要な役割を果たします。
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近年はテクノロジーの発展により、カスタマーサポートの業務内容に大きな変化が訪れていますが、カスタマーサポートが果たすべき役割は変わりません。一方で、インターネットの普及によるVOCの変化、生成AIの発展によるテクノロジーの変化に対応し、これまで以上の価値を創出することも求められています。
本記事では、カスタマーサポートの基本的な業務内容から役割、対応するチャネル、成功のポイント、主なKPIなど、カスタマーサポート運営において基本となる内容を詳しくまとめています。
カスタマーサポートの業務内容を改善したい、より高い生産性を目指したい場合は、ぜひ参考にしてください。
カスタマーサポートとは
カスタマーサポートとは、顧客からの問い合わせに対応し、顧客の疑問や不満を解消、課題解決へと導く仕事です。
商品やサービスの使い方など、カスタマーサポートに寄せられる問い合わせ内容は多岐に渡ります。カスタマーサポートは企業の窓口として顧客の生の声を受けるため、そこで得た要望や意見を活用し、顧客満足度の向上につなげる効果が期待されています。
また、カスタマーサポートの重要な役割にクレーム対応があります。顧客の怒りや苦情を直接受けることは精神的負荷が大きいですが、その反面、カスタマーサポートで適切なクレーム対応ができれば、その顧客をリピーターにできる可能性もあります。
つまり、カスタマーサポートには、顧客の課題解決はもちろんのこと、臨機応変な対応で購買体験をより充実させ、自社のファンに転換させることも期待されているのです。
カスタマーサポートの業務内容
カスタマーサポートの業務内容は、「顧客からの問い合わせ対応」と「社内業務」の2つに大別されます。
顧客からの問い合わせ対応
カスタマーサポートはその名が示すとおり、顧客をサポートするために存在する部門です。
主な業務は顧客からの問い合わせ対応であり、電話やメール、チャットなどから受け付けた問い合わせに回答したり解決策を提示したりします。
また、SNSを活用して能動的にサポートを行うこともあり、顧客と接するあらゆるセクションを担当・統括するといっていいでしょう。
社内業務
カスタマーサポートにおける社内業務は、問い合わせ対応に関連するものと、VOC(Voice of Customer:顧客の声)を一元管理するものに分けられます。
問い合わせ対応に関連するものとは、問い合わせ対応の結果をまとめ、システムへ記入する作業を指します。近年はCRM(顧客関係管理)システムを利用することが多く、効率よく記入を終わらせることが求められます。この業務は、顧客対応にあたる各オペレーターが担当します。
VOCの一元管理は、顧客情報の管理や問い合わせ内容の蓄積、データの分析、それらをもとにしたFAQの整備、マニュアルの更新、各部門へのフィードバックなどを含みます。
カスタマーサポートとコールセンターの違い
コールセンターとは、電話対応とそれに伴う事務処理に特化して設置される組織のことをいいます。顧客からの問い合わせを受けるだけではなく、顧客への案内や連絡を能動的に行うこともあり、潜在顧客を創出する役割も担っています。
コールセンターは内製組織化することもあれば、外部のコールセンターに業務を委託することもあります。
また、近年はコールセンターがメールやチャットなどさまざまなチャネルを担当することも増え、電話対応に限らないことから、「コンタクトセンター」と呼ばれることも増えています。これに合わせて、電話対応を行う職業として「オペレーター」がありますが、顧客とのコミュニケーションを包括的に行う職業として「コミュニケーター」と呼ばれることも増えています。
一方のカスタマーサポートは、顧客の課題解決を通じた中長期的な顧客満足度の向上を目指す部門であり、基本的には社内に構成されます。顧客対応に関する一切を統括する部門と考えることができ、コールセンター(コンタクトセンター)は顧客とのコミュニケーションの実務を担当するカスタマーサポートの一部と捉えることができます。
カスタマーサポート テクニカルサポートの違い
テクニカルサポートとは、文字通りテクニカル(IT・技術的)な面で顧客をサポートする仕事です。パソコンやプリンター、電化製品などの操作方法を案内したり、機器にトラブルが発生した場合に出向いてサポートしたりします。
カスタマーサポートと同様、商品やサービスを購入した既存顧客をターゲットとしており、チャネルは電話やメール、チャットに加え、パソコンなどで遠隔操作をしながらサポートする場合もあります。
その他、目的と効果におけるカスタマーサポートとの違いは次の通りです。
- カスタマーサポート:顧客の疑問や不満を解決
- テクニカルサポート:商品の操作方法に関する疑問を解決
カスタマーサポートとカスタマーサクセスの違い
カスタマーサポートとカスタマーサクセスの最大の違いは、顧客対応の性質にあります。カスタマーサポートは顧客からの問い合わせに応じる「受動的(リアクティブ)」な支援、カスタマーサクセスは顧客が成果を得られるよう企業側から「能動的(プロアクティブ)」に支援します。
SaaSをはじめとするサブスクリプション型ビジネスの普及に伴い、近年特に重要視されるようになりました。両者の違いを整理すると、次のようになります。
- カスタマーサポート:問い合わせ対応を通じて顧客の問題を解決する
- カスタマーサクセス:顧客の成功や成果創出を能動的に支援する
カスタマーサポートは、顧客から寄せられる問い合わせやトラブルに対応し、不満や疑問を解消することが主な役割です。顧客からのアクションを受けて対応する「受動的(リアクティブ)」な性質が強く、問題解決を通じて顧客満足度を維持・向上させることを目的としています。
一方、カスタマーサクセスは、顧客がつまずく前に活用方法を提案したり、利用状況を分析して改善策を案内したりするなど、企業側から積極的に働きかける「能動的(プロアクティブ)」な支援を行います。顧客の成功体験を支えることで、継続利用やアップセル、LTV(顧客生涯価値)の向上につなげる役割を担っています。
近年は、顧客体験(CX)の向上を重視する企業が増えており、カスタマーサポートとカスタマーサクセスが連携しながら顧客対応を行うケースも一般的になっています。
カスタマーサポートの役割
カスタマーサポートを強化するためには、その役割と重要性を把握しておくことが重要です。ここではカスタマーサポートの4つの役割を紹介します。
顧客の疑問や不安の解消
顧客が抱える悩みや疑問を解消し、課題解決へと導くことが、カスタマーサポートの重要な役割です。迅速かつ適切な対応を通して、顧客満足度を高めることも求められています。
顧客ニーズを反映した商品やサービスの改善・開発
カスタマーサポートでは、顧客の生の声を聞くことができます。そのなかには疑問や質問だけではなく、要望や不満、陳情なども含まれており、それらを活用することで、顧客ニーズに合ったより良い商品やサービスの開発・改善が可能です。
顧客満足度の向上によるリピート率アップ
競争が激化する市場では、商品やサービスの品質だけでは差異化が難しくなっており、CX(顧客体験)による顧客満足度の向上が重要視されています。
CXとは「顧客体験」と訳される、顧客が商品やサービスを見つけてから、実際に利用するまでの一連の体験のことです。カスタマーサポートは、購入後のフォローにより顧客との信頼関係を築き、既存顧客のリピート率を上げる役割も担っています。
企業イメージの向上
インターネットやSNSの普及により、企業や商品に対する評価が広まりやすくなっています。そのため、顧客と直接関わるカスタマーサポートの対応の良し悪しが、企業イメージに大きな影響を与えるようになりました。
丁寧で適切なサポートにより顧客の満足度を高めることが、結果的に企業のイメージ向上につながります。
カスタマーサポートで対応するチャネル
カスタマーサポートで思うような成果が見られない、顧客の利便性をより向上させたいと感じるのであれば、カスタマーサポートのチャネル(顧客との接点)を見直してみるのも良いでしょう。ビジネスの内容や顧客層により、適切なチャネルは異なります。この章では、カスタマーサポートにおける主なチャネルの特徴やメリットを紹介します。
カスタマーサポートにおいては、顧客とコミュニケーションを行うことのできる接点を「チャネル」と呼びます。顧客満足度の向上やLTVの向上、売上の向上、ロイヤルカスタマーの醸成のためには、チャネルについて理解することが非常に重要です。
チャネルを理解するには、企業側から見た視点と顧客側から見た視点の双方を考慮する必要があります。
企業側から見た場合は、顧客と接するポイントすべてがチャネルであり、それぞれで対応品質を上げていくことが重要になります。電話、メール、チャットなどがあり、それぞれの特徴についてはこのあと解説します。
顧客側から見た場合を理解するには、「カスタマージャーニーマップ」について知る必要があります。カスタマージャーニーマップとは、顧客の行動や感情の変化を旅(ジャーニー)にたとえ、マップとしてまとめたものです。顧客がたどるジャーニーによっては、すべてのチャネルを通るわけではなく、どのチャネルがどのような意味を持つのかを捉えることが非常に重要となります。
例えば、電話は企業からするとチャネルの一つですが、ある顧客からすれば唯一頼れる最後の砦かもしれません。
電話
高齢者やインターネットを使えない顧客が多い場合は、電話がメインチャネルとなります。顧客とサポート担当者の1対1の対応となるため、丁寧な対応が可能です。
しかし、問い合わせが混雑すると電話がつながりにくくなり、顧客を待たせてしまうことがあります。
メール
顧客から見たメールのメリットは、受付時間や曜日を気にすることなく問い合わせできることです。また、電話では説明が難しい内容でも、メールに詳しく記載してカスタマーサポートに伝えられます。
相談されるカスタマーサポート側も状況を正確に把握できるため、電話よりもスムーズに問題解決できる場合もあります。
BtoBにおいては、特に重要なチャネルの一つとなります。BtoBにおける顧客とのやり取りはメールが中心になることが多く、どれだけ早く正確に解決できるかが重要となります。また、顧客のステータスによっては、こちらからオファーメールを送るアウトバウンド的なアプローチを行うこともできます。
チャット
チャット機能を利用すれば、サポート担当者がWebサイトページのインスタントメッセージを介して顧客からの問い合わせに対応できます。サポート担当者1人で複数の問い合わせに対応することも可能です。
問い合わせ内容によりますが、問い合わせを行っている顧客はすぐに解決策を得られるメリットがあります。
AIチャットボット
同じチャット機能でも、近年はAIチャットボットの活用が広がってきました。有人対応のチャットと比べて、即応性に優れており、顧客からはいつでも質問ができるというメリットがあります。
かつては決まった質問に対して決まった回答を返すルールベースのチャットボットが主流でしたが、AIの発達により、ある程度複雑な質問に対してもその意図を解説し、データベースから適切な回答を引っ張ってくることが可能になっています。
それでも解決が難しい場合は有人オペレーターに引き継ぐことができ、よくある定型的な質問はAIが解決しつつ、複雑な課題については人が解決するという体制を作ることが可能です。
SNS(ソーシャルメディア)
X(旧Twitter)、Instagram、Facebook(またはその他のSNS)を介した問い合わせやサポート対応を行うチャネルです。サポート担当者がSNSのダイレクトメッセージ、コメント、通知をチェックして、応答が必要な問い合わせの有無を確認します。
Xでは、問い合わせにはなかなか来ない意見が投稿されていることもあり、そういった意見を収集したり、必要そうならサポートを申し出たりといった活用ができます。Instagramでは、投稿を通してユーザーとのインタラクティブなコミュニケーションを仕掛けることが可能です。
このように、SNSの特徴を活かしたアプローチを行うことが重要となります。
FAQ
問い合わせの多い項目をWebサイトのFAQページに記載することにより、顧客はすぐに問題を解決できる可能性があります。
企業にとっても、FAQの構築は企業側の問い合わせ作業を軽減する有効な手段です。
コミュニティ
Webサイト上のコミュニティに参加してもらうことにより、顧客は他の顧客のQ&Aから知識や経験が共有できます。サポート担当者はコミュニティへの問い合わせを適宜確認し、解決策を回答します。
カスタマーサポートを担当してもらいたい人物像
カスタマーサポートでは、丁寧で迅速な対応ができる人物が求められます。しかし、それだけでは十分とはいえません。カスタマーサポートには、顧客の心情や状況を読み取る想像力も必要です。
ここでは、カスタマーサポートを担当してもらいたい人物像を紹介します。
傾聴力がある
人の話を遮らずじっくり聞けて、相手が伝えたいことを正確に汲み取れる人が、カスタマーサポートに適性があります。
特に電話など口頭でのやり取りでは、顧客自身も伝えたいことの要点を整理できていない場合も多いです。しかし、むやみに質問を返したり途中で話を止めたりすれば、顧客を怒らせてしまう可能性があります。
じっくりと話を聞いて、相手の伝えたい内容を理解しようとする姿勢が重要です。
冷静な対応ができる
製品の不具合やサービスへの不満があり問い合わせをしてくる顧客のなかには、感情的になって電話をしてくる人もいます。そのような場合でも、焦ることなく冷静に対応ができる人が向いています。
正確かつ迅速な対応ができる
カスタマーサポートは顧客の個人情報を扱う業務のため、小さなミスや見落としが大きな問題に発展する可能性があります。そのため、どんな時でも正確で適切な対応が求められます。
また、問い合わせ対応で時間をかけすぎて待たせてしまうと、顧客満足度の低下につながります。複数案件でもスピードを持って対応できる人が良いでしょう。
臨機応変な対応ができる
カスタマーサポートの業務は、基本的にはマニュアルに沿って行われますが、マニュアルにない対応を求められることもあります。そのような時でも、相手の気持ちや状況を汲み取り臨機応変な対応ができることが要求されます。
想像力がある
顧客のなかには、商品の状態や困っていること、疑問に感じていることを的確に伝えられない方もいます。そうした場合でも、顧客の言葉から状況を推測して、カスタマーサポート側でも言語化をサポートする必要があります。
顧客がどのような状況なのか、何に困っているのかを顧客の立場に立って想像することで、スピーディな解決につながるでしょう。
顧客満足度に貢献できるカスタマーサポートチームを作るには
カスタマーサポートに従事してほしい人物像について解説しましたが、カスタマーサポートが顧客満足度に貢献していくためには、担当者全員でコミットできるチームを作ることが重要です。
マニュアルを整備する
カスタマーサポート、特に各チャネルにおける顧客対応では、マニュアルの整備が欠かせません。マニュアルがなければ担当者ごとに対応の内容や品質がバラけてしまい、顧客満足度は向上しにくく、かえって評判を大きく落としてしまうリスクもあります。
マニュアル作成のポイントについては、以下コラムをあわせてご覧ください。
クレーム対応フローチャートを整備する
カスタマーサポートの重要な業務の一つにクレーム対応がありますが、クレームには企業・ブランドの価値を上げる重要なヒントが含まれている一方で、顧客が感情的になっていることも多く対応するオペレーターの負担が大きくなります。
オペレーターの負担を軽減しつつ、トラブルを避け、ケースごとに適切な対応を行うには「フローチャート」の整備が効果的です。
フローチャート作成のポイントについては、以下コラムをあわせてご覧ください。
適切なトレーニング体制をつくる
顧客対応の品質を向上させるためには、トレーニング体制を充実させることも必要です。
新人オペレーターを現場業務にて教育するOJTは、コールセンター(コンタクトセンター)のトレーニングにおいて一般的に行われています。そのトレーニング内容については、商品・サービスの更新やVOCの増加にあわせて定期的に更新することが重要です。
また、定期的に勉強会を開催したり、外部の研修を斡旋したりすることも効果的です。
実践的なトレーニングとしては、ロールプレイングがあります。数人でチームとなり、顧客役・オペレーター役となってロールプレイングを行い、それぞれでフィードバックを行います。
適切なツールを導入する
カスタマーサポートの品質を高めるためには、業務内容や顧客対応フローに適したツールを導入することが重要です。問い合わせ対応を効率化するだけでなく、顧客情報を適切に蓄積・共有できる環境を整えることで、対応スピードや顧客満足度の向上につながります。
代表的な関連ツールとしては、次のようなものがあります。
- MA(マーケティングオートメーション):見込み客へのメール配信やスコアリングなど、マーケティング活動を自動化・効率化するツール
- SFA(営業支援システム):営業活動や商談状況を管理し、営業プロセスを可視化するツール
- CRM:顧客情報や対応履歴を一元管理し、顧客関係を最適化するツール
カスタマーサポートツールを選ぶ際には、単体の機能だけでなく、マーケティングや営業との情報連携まで視野に入れることが大切です。
たとえば、MA・SFA・CRMが分断されている場合、「どの資料をダウンロードした顧客なのか」「どのような営業提案を受けているのか」といった背景情報を把握できず、サポート対応の品質低下につながる可能性があります。顧客側からすると、企業内で情報共有ができていないように感じられ、不満につながるケースも少なくありません。
その点、HubSpot Service Hub は、Marketing Hub や Sales Hub と同一のCRM基盤上で動作します。そのため、顧客のマーケティング接触履歴や営業活動、過去の問い合わせ内容までを一元的に把握しながらサポート対応を行うことが可能です。
企業の目的を達成するためのKPIを設定する
売上やマーケティングの成功を測るためのKPIは、カスタマーサポートにおいても重要です。定量的な目標を設定することにより、全員が同じ目標を目指すことができ、目標に対する現状の評価も行いやすくなります。
KPIの詳細については、次の章にて詳しく解説します。
他部署との連携体制を作る
カスタマーサポートで問い合わせを受けるだけではなく、その情報を他部署に共有することが重要です。なぜなら、顧客から受ける生の声は商品やサービスの質を高め、改善する手助けをしてくれるからです。
カスタマーサポートで得た情報を、関連する開発担当者や企画担当者に伝える仕組みを整えておきましょう。
カスタマーサポートで追う主要KPIは?
カスタマーサポートの成果を定量的に判断するためには、KPI(重要業績評価指標)を設定することが重要です。
KPIは、ビジネスの目標に対し、どのような状態になれば目標に近づけるのかというマイルストーンとして設定します。内容はできるだけ数値で追える定量的なものである必要があり、適切にKPIを設定できれば現状の評価や新施策の有効性の確認、チームでの共通認識作りが可能になります。
カスタマーサポートで設定されるKPIとしては、以下のようなものがあります。
一次応答までの平均時間
顧客が問い合わせをしてから、最初の返信や応答を受けるまでの平均時間を指します。電話だけでなく、メールやチャット、問い合わせフォームなども対象になります。
一般的に、顧客は「問題が解決したか」だけでなく、「すぐ反応してもらえたか」も重視するため、一次応答時間は顧客満足度に大きく影響します。特にBtoBでは、返信の遅れが顧客の業務停滞につながる場合もあり、迅速な対応体制が求められます。
一次応答時間を短縮するためには、問い合わせ内容の自動振り分け、チャットボットによる一次対応、営業時間外の自動返信設定、対応優先度の整理などが有効です。また、問い合わせ件数の多い時間帯を分析し、シフトを最適化することも重要です。
放棄呼率
放棄呼率とは、顧客からの電話に対応できず、途中で切電されてしまった割合を指します。主にコールセンターやコンタクトセンターで重視される指標です。
放棄呼率が高い状態は、「電話がつながらない企業」という印象につながりやすく、顧客満足度や企業イメージの低下を招く可能性があります。
放棄呼率を改善するには、単純にオペレーター人数を増やすだけではなく、業務効率化とのバランスが重要です。たとえば、後処理時間の短縮、問い合わせ内容に応じて担当を振り分けるIVR(自動音声応答)の最適化、FAQやチャットボットによる自己解決促進などが有効です。
また、問い合わせ内容を分析し、「そもそも問い合わせが発生しにくい状態」を作ることも、長期的には重要な改善策となります。
一次解決率
一次解決率とは、顧客からの問い合わせを1回の対応で解決できた割合を指します。
何度も問い合わせが必要になると、顧客の負担が増え、不満やクレームにつながりやすくなります。そのため、一次解決率は顧客体験を測る重要な指標の一つとされています。
一次解決率を向上させるには、オペレーターの商品・サービス理解を深める研修や、FAQ・ナレッジベースの充実が欠かせません。また、VOC(顧客の声)を分析し、「問い合わせが多いポイント」を整理することも重要です。
対応への満足度(アンケート)
問い合わせ対応後にアンケートを実施し、顧客満足度を測定する指標です。一般的には、「対応の丁寧さ」「問題解決度」「返信スピード」などを評価項目として設定します。
顧客満足度アンケートは、現場対応の品質を把握するうえで有効ですが、回答する顧客は比較的ロイヤルティが高い傾向があるため、「全顧客の平均評価」とは限らない点に注意が必要です。
満足度を向上させるには、単に対応スピードを追うだけでなく、「顧客が何に不満を感じたか」を定性的に分析することが重要です。自由記述欄を設け、改善ポイントを継続的に反映していくことで、対応品質の向上につながります。
NPS®
NPS®とは、「この商品・サービスを他者にどの程度勧めたいか」を数値化する指標であり、顧客ロイヤルティを測る代表的な手法です。
一般的には0〜10点で評価してもらい、その結果から推奨者・中立者・批判者の割合を算出します。顧客満足度だけでは見えにくい、「企業やブランドへの信頼感」を把握できる点が特徴です。
NPSを向上させるためには、問い合わせ対応だけでなく、顧客体験全体を改善する視点が必要です。たとえば、問い合わせ前後の導線改善、顧客ごとの最適なサポート提案、継続的なフォローアップなどが重要になります。
自己解決率
自己解決率とは、顧客が問い合わせをせず、自身で問題を解決できた割合を指します。
ここでいう自己解決とは、FAQページやヘルプページ、動画マニュアル、チャットボット、コミュニティサイトなどを利用して課題を解決した状態を指します。
自己解決率が高まると、問い合わせ件数の増加を抑えられるため、サポート部門の負荷軽減につながります。その結果、オペレーターは複雑な問い合わせや重要顧客への対応に集中しやすくなります。
自己解決率を向上させるには、顧客が検索しやすいFAQ構成にすることや、実際の問い合わせ内容をもとにコンテンツを更新し続けることが重要です。また、検索キーワードや閲覧データを分析し、「見つけやすさ」を改善することも欠かせません。
解約率
解約率(チャーンレート)とは、一定期間内にサービス利用を停止した顧客の割合を指します。特にSaaSやサブスクリプション型ビジネスでは、重要なKPIとして扱われています。
カスタマーサポートは単なる問い合わせ窓口ではなく、顧客満足度や継続利用に大きな影響を与える部門です。そのため、対応品質の低下や問題解決の遅れは、解約率の悪化につながる可能性があります。
解約率を改善するためには、問い合わせ内容の分析を通じて「解約につながりやすい不満」を早期に把握することが重要です。たとえば、「使い方がわからない」「導入効果を感じられない」といった声が多い場合は、オンボーディングや活用支援を強化する必要があります。
その他のKPIについては、以下記事を参考にしてください。
AI活用のカスタマーサポートツールで課題解決力を向上

近年のカスタマーサポートでは、単なる問い合わせ管理ではなく、AIを活用した高度な顧客対応が重視されるようになっています。特に、生成AIやAIエージェントの進化によって、問い合わせ内容の要約や返信文作成だけでなく、顧客情報や過去履歴を踏まえた文脈理解型のサポートが可能になっています。
従来のように「問い合わせを受けて対応する」だけではなく、顧客の状況を把握したうえで、よりスムーズかつ適切なコミュニケーションを実現できる点が大きな特徴です。
また、AI活用によってサポート業務の効率化が進むことで、オペレーターは複雑な問い合わせや重要顧客への対応に集中しやすくなります。その結果、対応品質と業務効率の両立を図りやすくなっています。
近年は、AI機能を標準搭載したCRMベースのカスタマーサポートツールも増えており、問い合わせ履歴や購買履歴、営業活動、マーケティング接触履歴などを横断的に活用したサポート体制を構築できるようになっています。
AIエージェントによる自己解決率の向上
AI活用の中でも特に注目されているのが、AIエージェントによる自己解決支援です。
従来のチャットボットは、事前に設定されたシナリオやキーワードに沿って回答するケースが一般的でした。一方、近年のAIエージェントは、CRMデータや問い合わせ履歴、ナレッジベースと連携し、顧客ごとの状況や文脈を理解したうえで回答できる点が大きく異なります。
たとえば、HubSpotのBreeze顧客対応エージェントでは、ナレッジベースや過去の対応履歴をもとに、よくある問い合わせへ自動対応できます。さらに、AIだけでは解決できない場合には、有人担当者へ会話内容を引き継ぎながらスムーズにエスカレーションできる仕組みも備えています。
このようなAIエージェントを活用することで、顧客は待ち時間を減らしながら迅速に問題を解決できるようになります。また、企業側としても、自己解決率と一次解決率の両方を高めながら、サポートチームの工数を複雑な案件や高付加価値対応へ集中させることが可能です。
問い合わせ件数の増加や顧客ニーズの多様化が進む現在では、AIを活用した「自己解決を促進するサポート体制」の整備が、カスタマーサポート品質向上の重要なポイントとなっています。
【Q&A】カスタマーサポートについてよくある質問
カスタマーサポートについて、よくある質問をまとめました。
Q1. カスタマーサポートとカスタマーサクセスは何が違う?
カスタマーサポートとカスタマーサクセスの最大の違いは、顧客対応の性質にあります。カスタマーサポートは顧客からの問い合わせに応じる「受動的(リアクティブ)」な支援、カスタマーサクセスは顧客が成果を得られるよう企業側から「能動的(プロアクティブ)」に支援します。
カスタマーサポートは、顧客からの問い合わせやトラブルに対応し、不満や疑問を解消する役割を担います。一方、カスタマーサクセスは、顧客が商品・サービスを活用して成果を得られるよう、企業側から能動的に支援する部門です。
近年は、顧客体験(CX)の向上を目的に、両部門が連携して運営されるケースも増えています。
Q2. カスタマーサポートではどのようなチャネルがある?
代表的なチャネルには、電話、メール、チャット、AIチャットボット、SNS、FAQ、コミュニティなどがあります。
顧客層やサービス内容によって適切なチャネルは異なり、複数チャネルを組み合わせて顧客体験を最適化することが重要です。
Q3. カスタマーサポートで重要なKPIにはどのようなものがある?
主なKPIには、「一次応答までの平均時間」「一次解決率」「対応満足度」「NPS」「自己解決率」「解約率(チャーンレート)」などがあります。
これらの指標を継続的に分析することで、顧客満足度や業務効率、継続利用率の改善につなげることができます。
Q4. AIを活用するとカスタマーサポートはどのように変わる?
カスタマーサポートにAIを活用することで、自己解決率や一次解決率の向上、24時間対応、オペレーター負荷の軽減、重要業務への集中などの変化が期待できます。
生成AIを活用したAIエージェントでは、CRMデータや過去履歴をもとに顧客からの文脈を理解して回答できるため、顧客は時間を問わず問い合わせが可能となり、オペレーターはより重要な業務へ集中できるようになります。
Q5. カスタマーサポートの品質を向上させるには?
対応品質を高めるには、マニュアルやクレーム対応フローの整備、定期的なトレーニング、KPI管理、他部署との連携体制づくりなどが重要です。
また、CRMやAI搭載ツールを活用して顧客情報を一元管理し、マーケティング・営業・サポート間で情報共有できる環境を整えることも、顧客満足度向上につながります。
カスタマーサポートを改善しサービス品質向上に努めよう
カスタマーサポートは、単なる問い合わせ窓口ではなく、顧客満足度やLTV向上、企業イメージ形成にも大きく関わる重要な部門であることをご紹介しました。近年は、生成AIやAIエージェントの活用により、問い合わせ対応のあり方も大きく変化しています。
カスタマーサポートが担う主な役割は以下のとおりです。
- 顧客の疑問や不安を解消し、課題解決へ導く
- VOC(顧客の声)を収集し、商品・サービス改善へ活用する
- CX(顧客体験)の向上を通じてリピート率やLTV向上につなげる
- 丁寧で適切な対応によって企業イメージ向上に貢献する
また、カスタマーサポート運営では、以下のようなポイントが重要になります。
- 電話、メール、チャット、SNS、FAQなど複数チャネルを適切に使い分ける
- マニュアルやクレーム対応フローを整備し、対応品質を標準化する
- OJTやロールプレイングを通じて継続的にトレーニングを行う
- 開発部門や営業部門と連携し、VOCを組織全体で活用する
- KPIを設定し、対応品質や顧客満足度を定量的に改善する
カスタマーサポートで特に重要なKPIには、以下があります。
- 一次応答までの平均時間
- 放棄呼率
- 一次解決率
- 対応満足度(アンケート)
- NPS
- 自己解決率
- 解約率(チャーンレート)
さらに、近年はAI活用によってカスタマーサポートの高度化が進んでいます。
- AIエージェントによる自己解決率向上
- FAQやナレッジベースを活用した問い合わせ自動化
- CRM連携による文脈理解型の顧客対応
- 有人対応とのスムーズなエスカレーション
- オペレーターが複雑な案件へ集中できる体制構築
カスタマーサポートの品質向上には、「人による丁寧な対応」と「AI・CRMを活用した効率化」の両立が重要です。本記事で解説した内容を参考に、自社に合ったカスタマーサポート体制の構築を目指してください。
カスタマーサポート
