「営業管理をしているが、これで合っているのか、わからない」
「部下を持ったが、マネジメントを教えてもらったことがないので、独学で奮闘している」
このような営業部門のマネジャー(部長、リーダー)の方は、多いのではないでしょうか。
SFA (営業支援システム) 導入の基礎ガイドと実践用チェックリスト
SFA導入を成功させるためのポイントを徹底解説!
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- スムーズな社内導入5つのチェックポイント
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全てのフィールドが必須です。
営業部門のマネジャーは、営業担当者(プレイヤー)としての成績が優秀で、現在の役職へ昇進したケースがほとんどです。
営業管理には詳しくないまま、現在の役職に就いている方が、珍しくありません。
この記事では、「初めて、本格的な営業管理に取り組む」という方を対象に、営業管理の基本から具体的なアクション、失敗しやすいポイントや解決法まで、網羅的に解説します。
マネジャーとしてチームを成功へ導くために、本記事の知識をお役立てください。
1. 営業管理とは何か?
まずは、そもそも営業管理とは何か、基本的な事項から確認していきましょう。
1-1. 営業管理の基本概念
営業管理は、英語では「Sales Management(セールスマネジメント)」に当たる概念です。
HubSpot英語版では、以下のとおり解説しています。
セールスマネジメントとは、見込み客との強い関係構築と、多くの取引の成立を目指し、営業担当者を監督し、指導することです。
営業マネジャーは、チームが目標やゴールを達成、あるいは超えるために、営業管理のプロセスや戦略、目標を定めて実行します。
営業管理の主たるミッションを一言でいえば、
「営業部門の成果を上げ、営業目標を達成すること。さらに上回れるようにすること」
と定義できます。
1-2. 営業管理の3大要素
営業管理のミッションを達成するためには、大きく3つの分野の管理をこなす必要があります。
【営業管理の3大要素】
- 顧客情報の管理:営業活動の基盤となる顧客情報は、適切に収集・整理・分析することが重要です。具体的には、顧客のニーズ、関心事、行動履歴などの詳細をデータベース化し、これらの情報を活用して顧客に合わせた提案を行えるようにします。
- 目標管理の実施:営業目標は、チーム全体から個々の営業担当者に至るまで、具体的かつ達成可能なものでなければなりません。目標設定には、過去の実績データを基にした現実的な予測を用い、定期的な進捗チェックを通じて、必要に応じた戦略の修正を行います。
- チームマネジメント:営業チームの生産性を高めるためには、効果的なチームマネジメントが求められます。定期的なミーティングでの情報共有、営業スキルのトレーニング、モチベーション向上のための報酬制度の導入などが含まれます。
それぞれの詳細は後述します。ここでは概略を捉えておきましょう。
1-3. 営業管理の3つのタイプ
営業管理と一口にいっても、業種や企業規模によって特性が異なります。
以下は、主要な3つのタイプの特性です。
- BtoB営業管理(企業間取引):企業対企業の取引に特化した営業管理で、長期にわたる関係構築や複雑な意思決定プロセスを経た契約が特徴です。顧客のビジネスニーズを深く理解し、個別にカスタマイズした提案をすることが求められます。
- SaaS営業管理(サービスとしてのソフトウェア):サブスクリプションモデルに基づくサービス提供が中心です。顧客獲得コストの最小化とLTV(顧客生涯価値)の最大化に焦点を当て、解約率の低下を目指します。
- エンタープライズ営業管理(大企業向け):大規模な組織や企業を対象とした営業活動で、複数のキーパーソンの存在と高額な取引が特徴です。信頼関係の構築には時間がかかりますが、一度成立した取引は大きな利益をもたらす傾向があります。
このように、営業管理は一概には語れない多様な特性を持ちます。
以下では、どの営業部門にも共通する基本の営業管理の実行について、掘り下げていきましょう。
2. 営業管理で実行する項目
営業管理では、多岐にわたる項目を実行します。
ここでは主要な実行項目として、以下の3項目を見ていきましょう。
- 顧客情報の管理
- 目標管理
- チームマネジメント
2-1. 顧客情報の管理
顧客情報の適切な管理は、営業管理の中でも、根本的に重要度の高い業務といえます。
顧客情報は、あらゆる営業活動のベースとなる資源だからです。
現代の営業管理においては、顧客の氏名や連絡先を単にリスト化するのではなく、顧客のニーズや関心、行動履歴、やり取りの履歴なども含めて、一元管理することが必要です。
このような顧客情報をデータベース化して、顧客との関係性を戦略的に構築する手法や、それを実現するツールを「CRM(カスタマーリレーションシップ、顧客関係管理)」といいます。
【CRMの重要性】
- 顧客ニーズの把握:顧客が本当に求めているものを正確に理解し、それに応える提案を行えるようにします。
- 顧客関係の強化:的確なコミュニケーションを通じて、顧客との信頼関係を深めます。
- 営業機会の最大化:顧客の行動履歴や関心から、新たな営業機会を見つけ出します。
- 顧客満足度の向上:顧客の反応やフィードバックを迅速に捉え、サービス改善につなげます。
- 効率的な営業活動:データを活用することで、無駄な営業活動を減らし、生産性を高めます。
営業マネジャーの仕事としては、CRMを自チームでどのように行っていくか、十分に吟味する必要があります。
出典:CRM (顧客管理) のエクセルテンプレートで営業チームを成功に導く
自社に適した優れたCRMツールを導入し、テクノロジーを最大限活用することも、ひとつの有効な手段です。
詳しくは、下記の資料が参考になるかと思います。あわせてご覧ください。
【無料】CRM導入のイメージがわかる「特製スプレッドシート」
ユーザーを一元管理し情報共有が簡単にできます。多彩な営業支援機能を実装し進捗状況の把握も容易で、営業活動の時間短縮と顧客への最適なアプローチの実現が可能です。
2-2. 目標管理
目標管理では、営業チーム全体および個々のメンバーに目標を設定し、その達成状況をモニタリングしていきます。
目指す進行方向を定め、モチベーションを向上してやる気を高めるために、核心となるプロセスです。
適切な目標設定は、チームが目指すべき成果を明確にし、集中力と達成感を引き出します。
具体的な目標管理のアプローチとして、「OKR」があります。OKRは、“Objectives and Key Results”の略で、「目標と成果指標」という意味です。
高い目標(Objectives)とそれを達成するための具体的な成果(Key Results)を設定するのが特徴です。
- 目標(O:Objectives):目指すべきチャレンジングな目標を設定します。これは営業チームが一丸となって達成を目指すものです。
- 成果指標(KR:Key Results):目標達成のために必要な具体的な成果や指標を明確にします。これにより、目標の達成度を測定することが可能となります。
【OKRのイメージ】
出典:OKRで効率的な目標管理を実現する方法とは?KPIやMBOとの違いも解説
OKRは、Google 社での採用が知られており、以下はGoogle 社による解説です。
OKR の概要:
- 目標は、場合によっては若干気後れするくらいの高いレベルに設定します。
- 成果指標は、数値化して測定し、簡単に評価できるようにします(Google では 0~1.0 の範囲で設定しています)。
- OKR は組織の全員に公開して、誰もがお互いの作業状況を確認できるようにします。
- OKR では、目標の 60~70% の達成率が理想的です。逆に、達成率が常に 100% の場合、その OKR の設定レベルが低いと言えるので、もっと野心的な目標を立てる必要があります。
- 評価が低かった場合は、次の OKR を改善するためのデータとして捉えるようにします。
- OKR は、従業員を評価するためのツールではありません。
- OKR は、社内共有のタスク管理ツールではありません。
OKRについて詳しくは、下記の記事にて取り上げています。あわせてご確認ください。
2-3. チームマネジメント
チームマネジメントは、営業チームのパフォーマンスを最大化するために、メンバーの能力を引き出し、継続的な成長を支援するプロセスです。
その範囲は多岐にわたりますが、主要なものを以下にピックアップしました。
【チームマネジメントの要素】
- リクルーティング(採用):優秀な人材を選定し採用することは、チームの基礎を作る最初のステップです。営業スキルはもちろんのこと、チームにフィットする性格や、自己成長への意欲も重要な評価基準です。
- トレーニング:新入社員はもちろん、経験豊富な社員に対しても、継続的なトレーニングを提供します。これには商品やサービスの知識、営業スキル、顧客対応の技術などが含まれます。
- ジョブシャドウイング(同行):新入社員が経験豊富な社員の営業活動に同行し、間近で学ぶことで、理論と実践のギャップを埋めることができます。
- パフォーマンス評価:個々のメンバーの成果を定期的にチェックして、目標達成度を測定します。この評価は、進捗確認だけでなく、フィードバックと成長の機会を作るためにも大切です。
- フィードバックの提供:定期的なフィードバック(個々の行動や成果に対する具体的なコメント)を通じて、メンバーの成長を促し、目標達成に向けたサポートをします。ポジティブなフィードバックはモチベーションを高め、建設的なフィードバックは改善点を明確にします。
- 称賛や報酬:達成した成果に対しては、称賛や報酬によって報いることで、メンバーのモチベーションを維持し、やりがいを高めます。
- コミュニケーションの促進:チーム内でのオープンなコミュニケーションを奨励し、メンバー間の信頼関係を深めます。良好なコミュニケーションは、チームワークと協力体制の土台です。
- 職場環境の改善:チームメンバーが快適に、かつ効率的に働ける職場環境を整えることも、留意すべき要素です。これには、適切なツールやリソースの提供が含まれます。
営業マネジャーには、以前のプレイヤーとしての役割から一歩進み、チーム全体を俯瞰する広範な視点での管理が求められます。
営業マネジメントに必要なスキルや注意点については、下記の記事も、あわせてご確認ください。
3. 営業管理で失敗しやすい課題と解決策
営業チームが直面する問題は多岐にわたりますが、とくに失敗しやすい課題として3つ、挙げられます。
- 日々の多忙による負荷の増大
- 個人プレーへの依存
- 営業活動の透明化の難しさ
先手を打って、対応できるようにしましょう。以下で、それぞれ解説します。
3-1. 日々の多忙による負荷の増大
1つめは「日々の多忙による負荷の増大」です。
営業チームの業務は、顧客訪問、提案書作成、報告書の作成など、日々多忙を極めます。
負荷が大きくなりすぎれば、戦略的な活動や顧客との深い関係構築に時間を割けません。
メンバーの精神的なストレスにもつながり、長期的にはパフォーマンスの低下を招きます。
この問題に対処するためには、業務の優先順位を見直し、非効率なプロセスを自動化するツールの導入を検討します。
営業部門に最も適しているツールは、SFA(営業支援システム)です。
SFAを導入すると、タスクの優先順位付けや、見積書作成、顧客へのフォローアップメールの送信など、多くの営業業務を自動化・効率化できます。
出典:SFA (営業支援システム) 導入の基礎ガイドと実践用チェックリスト
SFAに関する詳細は、下記のチェックリストにて公開しています。ぜひあわせてご確認ください。
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3-2. 個人プレーへの依存
2つめは「個人プレーへの依存」です。
多くの営業チームでは、成果を上げている少数のメンバーに依存する傾向があります。
これは、チーム全体のバランスを崩し、属人化リスクを増大させます。
営業管理の視点からは、個人ではなくチームで成功する仕組みづくりが重要です。
【仕組みづくりの例】
- 知識共有会の実施:チームメンバーが持つ知識や技術を共有する場を定期的に設けます。チーム内での学習機会を増やし、全員のスキルアップを図ります。
- メンター制度の導入:経験豊富な先輩メンバーが、新入社員や成績が伸び悩んでいるメンバーをサポートする、メンター制度を導入します。
- チーム目標の重視:個人の目標だけでなく、チーム全体の目標達成を重視し、達成に向けて全員が協力する体制を作ります。チーム目標の達成には、全メンバーの尽力が必要であることを強調します。
- チーム内の成功事例の共有:チーム内での成功事例を積極的に共有し、他のメンバーがその方法を学び、利用できるようにします。成功体験の共有は、チーム全体のモチベーション向上にもつながります。
- 評価の多角化:個人の成果だけでなく、チームへの貢献度や協力性も評価の対象とします。チームワークの重要性を浸透させ、個人プレーへの依存を減らします。
「チーム全体の成長と成功を目指す文化」を育むことを、常に意識しましょう。
一部の優秀な個人ではなく、全体で成果を出せるチームは安定感があり、持続的に好成績を維持できます。
3-3. 営業活動の透明化の難しさ
3つめは「営業活動の透明化の難しさ」です。
それぞれの営業活動の共有や開示が不十分な状態では、チーム全体で情報を有効活用し、効率的な営業戦略を展開することが困難になります。
「誰が、いつ、何をした?」
「顧客は今、どのような状態?」
「メンバーは今、何をしている?」
こういった情報がリアルタイムにオープンになっている状態を目指して、体制を構築することが重要です。
【透明化を実現する仕組みの例】
- SFAの活用:前出のSFAを利用して、営業担当者の活動をリアルタイムで可視化します。顧客訪問の記録、連絡の履歴、取引の進捗状況などをチーム内で共有でき、営業戦略の調整や顧客対応の向上に役立ちます。
- 定期的な報告会の開催:チームメンバーが定期的に集まり、営業活動の進捗や成果について報告し合う場を設けます。このような報告会は、チーム内のコミュニケーションを促進し、営業活動の透明性を高める効果があります。
- 定期的な報告会の開催:チームメンバーが定期的に集まり、営業活動の進捗や成果について報告し合う場を設けます。このような報告会は、チーム内のコミュニケーションを促進し、営業活動の透明性を高める効果があります。
たとえば、以下はSFA(Sales Hub)の実際の画面イメージです。
出典:取引パイプライン
このように、状況が一目瞭然な状態(透明化された状態)を作ることが、チームの営業力向上に貢献します。
3-4. 重要なのは「仕組み」で解決する姿勢
本記事では、ここまでに何度も「仕組み」という言葉を使ってきました。これは、現代の営業管理において、外せない視点です。
「仕組みで解決する姿勢」 を持つことが、営業管理の成功に不可欠であるといえます。
たとえば、目標未達やミスが起きたとき、
「もう少し頑張ってほしい」
「気を付けて行動してほしい」
と、現場の担当者だけに努力や注意を促すのは、古いやり方です。
「すでに全力を尽くしているにも関わらず問題が解決しないのなら、『仕組み』そのものを見直す必要がある」 と考え方を転換することが、組織の成長につながります。
前出のCRMやSFAは、システム的な仕組みの例ですが、それ以外のシーンでも、仕組み化を積み重ねることで営業管理の成果を高められるはずです。
4. 営業マネジャーになる前に知っておきたかった10のこと
営業管理の道を進むにあたり、「思った以上に大変そうだな」と感じた方もいるかもしれません。
しかし、事前に核心となるポイントを心得ておけば、その道のりは格段にスムーズになるはずです。
HubSpot英語版に「営業マネジャーになる前に知っておきたかった10のこと」という記事がありますので、一部を抜粋してご紹介します。
- 予測(フォーキャスト)について過度に心配しないこと(CRMを活用すれば問題ない)。
- 最初はリクルーティング(採用)にもっと時間をかけること。
- オフィス外でもチームの結束を高めること。
- 時間管理を改善すること。
- 早期に高い目的意識を定義し、共有し、強化すること。
- 直属の部下を「小さな自分のコピー」と思わないこと。
- 新入社員のオンボーディング(定着・戦力化)に時間をかけること。
- チームのパフォーマンスは自分自身の反映と見ること。
- 「問題解決の最高責任者」になろうとしないこと(メンバー自身に問題解決をさせる)。
- 指示する代わりに質問すること。
出典:10 Things I Wish I Knew Before Becoming a Sales Managerより一部抜粋・抄訳
原文は下記の記事にあります。
英文になりますが、ご興味のある方は、ブラウザの翻訳機能などを利用してご一読ください。
5. 営業マネジメントトレーニング:新時代の優れた営業チームを構築するための戦略
さらに本格的に営業管理について学びたい方には、
「マネジャー職を初めて任された人々の大半が、その業務内容について十分な教育を受けていません」
というフレーズから始まる、営業マネジメントトレーニングをおすすめします。
このトレーニングプログラムは無料で利用でき、合計4時間半を超える動画コンテンツから成り立っています。
自社のマネジャー研修制度が充実しておらず、独学で奮闘している方にこそ、ぜひ活用していただきたい内容です。
体系的に学ぶことで、新しい時代にふさわしい優れた営業管理のテクニックを習得できます。
下記のページより、ご確認ください。
6. 営業管理を学び最高のチーム構築を目指そう
本記事では「営業管理」をテーマに解説しました。要点をまとめておきましょう。
営業管理で実行する項目として、以下を解説しました。
- 顧客情報の管理:顧客データを適切に収集・整理し有効活用
- 目標管理:チームと個人の目標を設定し進捗を管理
- チームマネジメント:チームの能力向上と継続的な成長をサポート
営業管理で失敗しやすい課題と解決策として、以下をご紹介しました。
- 日々の多忙による負荷の増大:優先順位の見直しや効率化ツールの導入
- 個人プレーへの依存:チーム全体での成功に向けた仕組みづくり
- 営業活動の透明化の難しさ:情報共有と効率的な戦略展開
営業管理は、体系的に学び、CRMやSFAを活用して仕組み化することが大切です。よりよいチームの構築に向けて、新しい一歩を踏み出しましょう。