今さら聞けない『ユニットエコノミクス』とは?投資家が重視する評価指標を解説

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向井 拓真(Takuma Mukai)
向井 拓真(Takuma Mukai)

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あなたのビジネスは今、どのような状態ですか?

今さら聞けない『ユニットエコノミクス』とは?投資家が重視する評価指標を解説

もしその答えが

「新製品の評判も良くて顧客も増えてきた」

「新たな客層を求めて、次の一手を考える段階ではないかと考えている」

「追加の融資を受けて、スケールする時期かもしれないと感じている」

だとしたら…

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少し立ち止まって考えてみてください。あなたのビジネスは本当に健全ですか?

アメリカではスモールビジネスの82%がキャッシュフローの悪化で倒産しています。

キャッシュフローの数値を追い、そこから悪化につながるものを改善させるのは、ビジネスにとって死活的に重要です。

しかし、SaaSを始めとしたサブスクリプションモデルは、従来型のキャッシュフローの構造とは収益モデルが大きく異なっているため、自分たちのプロジェクトがうまくいっているのかどうなのかがわかりにくくなっています。

キャッシュフローを管理しないまま「売上が上がってきたから」「顧客が増えてきたから」という理由で、営業担当者を新たに雇用したり、新たに広告を打ったり、オフィスを借りたりすれば、たちまち資金はショートするかもしれません。

あなたのビジネスの健全性を測るのは、ユニットエコノミクスです。

数値を計測し、追うことでしか成長度合いは測れません。

そこで本稿では以下について詳しく紹介していきます。

  • ユニットエコノミクスとは何か?
  • ユニットエコノミクスをどのように計算するのか?
  • ユニットエコノミクスの数値にはどのような意味があるのか?
  • 事業拡大のタイミング

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    ユニットエコノミクスとは何か?その計測がなぜ重要なのか?

    サブスクリプションサービスの普及と浸透とともに「ユニットエコノミクス」が注目を浴びるようになっています。

    それは、通常の損益計算書ではわかりにくい企業の健全性が、ユニットエコノミクスによって評価できるためです。

    ユニットエコノミクスの意味や、ユニットエコノミクスに注目することで得られる顧客1人当たりの採算性について説明します。

    ユニットエコノミクスを考慮に入れない事業拡大はスタートアップの失敗を招く

    あなたの会社の製品やサービスを購入してくれる人は増えてきています。

    市場は好感を持って受け入れてくれているでしょうか?

    ここで新しいマーケティングキャンペーンを行えば、さらに顧客が増える、という段階かもしれません。

    しかし、収益モデルはどのように設定されているでしょうか?

    サブスクリプションサービスを行っているのであれば、解約率は低く抑えられているでしょうか?

    収益の状況を見ず、増えていくユーザー数にだけ目を奪われて、事業を拡大させ続けたらどうなるでしょうか。

    その実例をアメリカのスタートアップ企業Tilt社の失敗に見ることができます。

    Tilt社は、学生や流行に敏感な人々のコミュニティを対象にしたクラウドファンディングの企業として、2012年にスタートしました。

    多額の投資を受けながらTilt社は成長を続け、2014年には学生ユーザーの増加率が毎月57%を記録したほか、2015年2月には企業評価額は3億7,500万ドルにまで上昇、創設者ジェイムズ・ベシャラもニュース雑誌TIMEの選ぶ「世界を変える30歳以下の30人」に選ばれたほどでした。

    Tilt社はベンチャーキャピタルの投資家から多額の投資を受けていたのですが、設立以来、Tiltの事業はまったく収益を上げることができていませんでした。

    そのほとんどは高価なマーケティングキャンペーンにつぎ込まれていたのです。

    スタッフは収益性の高いB2Bツールの開発を主張したのですが、拡大路線を走るTilt社には、その余裕はありませんでした。

    2016年には深刻な財政難に陥り、2017年にはAirbnb社に5,000万ドルで買収され、総額6,700万ドルにも上った投資の80%は失われました

    Tilt社の失敗が私たちに教えてくれるのは、ユーザー獲得ばかりに注力するのではなく、獲得できたユーザーからしっかり収益を得ることが重要だという点です。

    しかし、サブスクリプションモデルの場合、従来の損益計算書(P/L)ではキャッシュフローはわかりにくくなっています。

    まずはサブスクリプションモデルのキャッシュフローに着目しながら、何を見ていけば良いのかを明らかにしていきます。

    参考:The Demise Of Tilt: A Bargain For Airbnb, A Classic Loss For Investors

    売切型モデルのキャッシュフローとサブスクリプションモデルのキャッシュフロー

    次のグラフは従来の販売でのキャッシュフローを、粗利率100%でモデル化したものです。

    参考:Running A SaaS Business? Answer These Four Questions

    グラフの青い部分は最初に顧客獲得のためにかけたコスト、その後、前払いのライセンス使用料の赤い部分が収益として計上されます。

    参考:Running A SaaS Business? Answer These Four Questions

    上図は顧客1人のキャッシュフローを表したグラフです。

    青い部分が最初にかかる顧客獲得コスト、赤い棒グラフは月々の定額料金を示しています。

    顧客1人当たりのキャッシュフローは、しばらく赤字の状態が続くことがわかります。

    1人当たりがこの状態なので、新規の顧客が増えれば増えるほど、短期的にはキャッシュフローが悪化することになります。

    参考:Running A SaaS Business? Answer These Four Questions

    上図のグラフは1人の顧客の累積キャッシュフローを示すグラフです。

    この顧客が途中で解約せずサービスの利用を継続すれば、キャッシュフローは13か月目からプラスに転じることを示しています。

    従来型のモデルであれば、販売後には利益は入ってきませんが、サブスクリプションモデルでは顧客がサービスを解約しない限り、安定した利益を見込むことができます。

    継続してサービスに加入する顧客が増えると、キャッシュフローは以下のようになります。

    参考:Running A SaaS Business? Answer These Four Questions

    顧客を多く獲得すればするほど、会社は一時的に大きな赤字を抱えることになりますが、その後にキャッシュフローは大きく好転することがわかります。

    しかし、顧客が増大するだけでキャッシュフローが好転するわけではありません。

    先に挙げたTilt社の場合は、モバイルアプリをダウンロードする学生が毎月57%増加していた時期がありました。

    その背景には、大学でイベントや募金活動のためにTiltを利用して、一定額以上の資金を集めた学生には「20ドル以上のTiltクレジットを与える」というキャンペーンがありました。

    どれだけ顧客を獲得しても、顧客獲得コストが収益を上回ってしまえば、上記のグラフのように黒字に転じることはありません。Tilt社と同じ道をたどることになります。

    上記のグラフのように、当初キャッシュフローがマイナスになっていても、その後飛躍的に収益を伸ばしていくためには、顧客の定着を図ることとともに、以下の2つの指標にも注目しなければいけません。

    • 1人あたりの顧客を獲得するための顧客獲得コスト(CAC)
    • 顧客が生涯に渡って会社にもたらしてくれる収益を表す顧客生涯価値(LTV)

    また、CACとLTVは「LTV > CAC」の関係になっていなければなりません。

    そこで顧客1人当たりのLTVとCACに焦点を当てたユニットエコノミクスが重要になってくるのです。

    ユニットエコノミクスとは何か?

    ユニットエコノミクスとは、顧客1人当たりの採算性を表す指標です。

    顧客1人の生涯価値(LTV)から顧客1人当たりの獲得コスト(CVC)を引き、プラスになっていればユニットエコノミクスは健全と言えます。

    単に「LTV > CVC」を見るだけでなく、比率で表すことによって、ある特定の時期の状況を取り出して、他の複数の状況と比較しやすくすることができます。

    そこでLTVをCACで割った指標をユニットエコノミクスの指標と考えます。ユニットエコノミクスは以下の数式で算出することができます。

    ユニットエコノミクス = LTV ÷ CAC

    ユニットエコノミクスの計算方法と注意点

    ビジネスの健全性を示すユニットエコノミクスの数値は、正確に割り出す必要があります。そこで、ユニットエコノミクスを計測するために、必要な要素を見ていきます。

    LTV(顧客生涯価値)を計測する

    LTVは、顧客がどれだけの利益を生み出すことができるかを予測し、新規顧客を獲得するためにどれだけコストをかけることができるかを明確化するために用いられる指標です。

    LTVを計算する方法は1つではなく、業界によってさまざまですが、ここでは代表的な算出方法を挙げます。LTVを計算するためには、以下の数値が必要です。

    それでは、それぞれの数値の詳細について説明していきます。

    • 月の解約率(チャーンレート)

    顧客が1か月の間にサービスを解約した率を表すチャーンレートは、顧客に焦点を当てたカスタマーチャーンレートと収益に焦点を当てたチャーンレートの2種類がありますが、ユニットエコノミクスを割り出す場合には、カスタマーチャーンレートを求めます。

    カスタマーチャーンレート = 今月失った顧客数 ÷ 前月の顧客数

    • ユーザー平均単価(ARPU)

    ARPUはAverage Revenue Per Userの略語で、ユーザー1人当たりがもたらす収益を意味する数値です。1か月間の収益であれば、月次ARPU、年間であれば年次ARPUと言います。月次ARPUは次の式で求めることができます。年次ARPUであれば、正味年次収益を用います。

    月次ARPU=正味月次収益 ÷ ユーザー数

    • 粗利率(GMR

    粗利益とは、売上高のうちの粗利益の割合です。粗利率を求めるには、以下の式を使います。

    粗利率 = (売上高 - 売上原価)÷  売上高 × 100

    • LTV(顧客生涯価値)を算出する

    以上の要素からLTVは以下のように算出できます。

    LTV=月次ARPU × 粗利率 ÷ カスタマーチャーンレート

    ここで押さえておきたいのは、平均単価や粗利率が同じでも、顧客のライフタイムが変わる、すなわち解約率が変わると、LTVは大きく変化するということです。

    CAC(顧客獲得コスト)を計測する

    CAC(顧客獲得コスト)は、新しい顧客を引きつけ、成長を続けるだけに、どれだけコストをかけられるかどうかを知るために重要な数値です。

    この指標を通じて、ビジネスがより効率的に顧客を獲得しているかどうかを知ることができます。

    CACを求めるためには、顧客獲得のためにかかった費用をすべて計上しなくてはなりません。

    広告やキャンペーンなどのマーケティング費用ばかりでなく、営業担当者の給与や手数料、間接費など、すべてを含みます。CACは以下の式で求めることができます。

    CAC = 顧客獲得に関わる総コスト ÷ 獲得した顧客数

    CACは環境に大きく依存する

    気をつけなくてはならないのは、CACの数値は市場への普及率や競合他社の存在に大きな影響を受けることです。

    これはアメリカに拠点を置くオンラインDVDレンタルと映像ストリーミング配信を行う「Netflix」のアメリカ国内でのCACが、上昇を続けていることを示したグラフです。

    現在Netflixのアメリカ国内の加入者は5,480万人で、全世帯の半数に近づこうとしています。

    また、Amazon PrimeやHuluなど、競合の存在も無視できません。

    2016年の第1四半期と2017年の第1四半期を比較すると、CACが倍増していることがわかります。

    このようにCACの数値の変化を把握するだけでも、さまざまな状況がわかってきます。

    ユニットエコノミクスは3以上が望ましい

    ユニットエコノミクスは先にも述べたように「LTV ÷ CAC」で算出できます。そして一般的には、顧客生涯価値が顧客獲得コストの3倍以上となる「LTV > CAC × 3」であることが望ましいとされています。

    では、先ほどのNetflixのユニットエコノミクスがどのような数値になっているかを確認してみましょう。

    このグラフでは、水色の線がアメリカ国内でのNetflixのユニットエコノミクスを表すグラフとなっています。

    赤い線がアメリカ国外でのユニットエコノミクス、青い線がトータルのユニットエコノミクスを示しています。

    先のCACを示すグラフでは、2017年の第1四半期にCACは急激に上昇しました。

    Netflixはこの時期に10億ドルを超える大規模な顧客獲得キャンペーンを行ったのです。

    しかし、CACが上がった(分母が大きくなった)にもかかわらず、ユニットエコノミクスの数値が2を超えていることは、LTVがこの時期、それに合わせて上昇したことが読み取れます。

    そのため、このグラフから判断する限り、2017年の第1四半期の顧客獲得の投資は正しかったと判断することができます。

    このように、ユニットエコノミクスの数値を追うことで、行った投資などの施策がうまくいったか、失敗だったかを見て取ることができるのです。

    ユニットエコノミクスの数字でわかるビジネスの健全性

    ユニットエコノミクスによって、SaaSビジネスの財務状態は明確化されます。財務状態が健全か、健全でないか、あるいは投資をして良いかどうかがわかるだけではありません。

    ここではユニットエコノミクスで「健全でない」数値が出たHubSpotの事例を見ていきましょう。

    ビジネスの健全性を評価する

    一般的にビジネスの健全性を表す指標は以下の3つです。

    LTV > CAC × 3
    CACの回収期間が12か月以内であること
    1か月当たりのチャーンレートが3%を下回っていること

    SaaSビジネスにとって、ファーストムーバー・アドバンテージ(市場にいち早く参入することで得られる利益や優位性)は非常に重要なことです。

    急成長するビジネスの初期段階では、市場シェアの獲得は非常に重要であるため「LTV < CAC × 3」であったとしても、顧客の獲得コストを投資することが重要になってくる場合もあります。

    また、そのほかにも、製品開発にお金がかかりすぎたなど、さまざまな理由から「LTV < CAC × 3」だった場合、どのように健全化していけば良いのでしょうか。HubSpotの過去の事例が「LTV < CAC × 3」からの改善方法を教えてくれます。

    HubSpotの2011年の第1四半期のユニットエコノミクスの数値は1.7でした。この数値を改善するために、HubSpotが取り組んだのは、MRRチャーンレート(カスタマーベースのチャーンレートではなく、収益ベースのチャーンレート。

    「今月に解約があったアカウントによる減益の合算 ÷ 今月初日の月次収益 × 100」で求める)を引き下げることでした。

    2011年から2012年にかけて、MRRチャーンレートを改善すべき重要経営指標としたHubSpotは、チャーンレートの引き下げを図りつつ、同時にLTVの改善にも取り組みました。

    顧客をセグメントごとに分け、各セグメントでのLTV/CACを分析し、価格体系を見直すことで、より訴求力のある提案を可能にしました。

    その結果、チャーンレートは3.5%から1.5%まで低下し、LTVは$10,074から$31,806まで上昇、ユニットエコノミクスも1.7から4.7まで改善したのです。

    このことが教えてくれるのは、LTV/CVCをセグメントごとに丁寧に分析していけば、問題のある点や、改善すべき領域が見えてくるということです。

    ユニットエコノミクスが3を下回る状況の処方箋

    キャッシュフローが赤字の状態からスタートするサブスクリプションモデルにとって、ビジネスがスタートして間もない状態でのユニットエコノミクスの数値が低いことは当たり前のことです。

    問題は収益化を考えなければならない時期に、ユニットエコノミクスが3を下回っていることです。

    そのような場合は、マーケティングや新製品の開発などに投資を行わず、ビジネスの健全化に舵を切らなければなりません。

    ここではユニットエコノミクスの数値が3を下回った場合には、どのような対策を行うべきなのかを考えていきます。

     

    LTVを改善するために顧客ライフサイクルに沿った施策を行う

    顧客ライフサイクルとは、1人の見込み客があなたの会社と接触した段階から、顧客となり、関係が継続するまでの流れを概念化したものです。

    その期間内に顧客がもたらした利益の総額がLTVです。

    チャーンレートを下げて、LTVを向上させるために重要なのが、顧客ロイヤリティです。

    ユニットエコノミクスの数値を高めるためには、顧客ライフサイクルの各段階でロイヤリティを高める施策を行うことが重要です。

    HubSpotでは顧客ライフサイクルを以下のステージに分けています。

    顧客ライフサイクル 顧客の属性
    Subscriber(サブスクライバー) ブログ購読者
    Leads(リード) Ebookなどをダウンロードした見込み客
    Marketing Qualified Leads(MQL) デモ依頼や資料請求など具体的に製品やサービスに興味を持っているリード
    Sales Qualified Leads(SQL) 購入時期や予算感などが決まっており、営業担当からアプローチすべきだと判断されたリード、選定条件にはBANTヒアリングなどが利用される
    Opportunity(オポチュニティ) 営業担当者が商談を通じて導入に向けて具体的な話を進めている段階
    Customer(カスタマー/顧客) 顧客
    Evangelist(エバンジェリスト) 高いロイヤリティを持ち、製品/サービスを自ら広めてくれるような顧客

    見込み客や顧客を同一に捉えていては、各ライフサイクルステージにおいて適切な対策を取ることはできません。

    見込み客や顧客をステージ毎に分類することで、『一段階上のステージへ引き上げるための施策実行』や『施策に対しての定量的な振り返り』を実施しやすくなります。

    各ステージにおける顧客のニーズにうまく応えることで、ロイヤリティを高め、LTVの向上につなげていきます。

    解約率(チャーンレート)を下げるとLTVは向上する

    解約理由を把握する
    HubSpotがユニットエコノミクスの数値を改善させることができたのは、解約率を低下させることに成功したからです。

    解約した顧客へのヒアリングなどを通して、解約に至った根本的な理由を把握しましょう。

    カスタマーサポートを徹底し、顧客体験を改善する
    不具合が起こった際の対応によって、顧客ロイヤリティは大きく変わります。

    問い合わせやクレームに対し、顧客が期待する以上の対応をすることによって、離れかけていた顧客の心理を引き戻せます。

    逆に期待値を下回ってしまった場合は、解約に繋がるリスクが増えるだけではなく、悪い口コミに繋がってしまうケースもあります。

    顧客獲得コスト(CAC)低下はユニットエコノミクス改善に繋がる

    ユニットエコノミクスを改善するためには、LTVの数値向上と並んで、CACを低下も必要です。

    マーケティングコストを再検討する
    有料広告よりも、オーガニック(有料広告を使わないこと)の顧客獲得を図ることで、中長期的に見るとマーケティングコストを大幅に抑えられます。

    コンテンツマーケティングは広告に比べると即効性はありませんが、見込み客育成やロイヤリティーをはぐくむ上で、大きな効果があります。

    コンバージョン率を上げる
    コンバージョン率が2倍になれば、顧客数が2倍になるだけでなく、CACは半減します。

    コンテンツマーケティングを導入するのであれば、潜在顧客から見込み客へ転換させるための、ランディングページページを必ず準備しましょう。

    どこに投資する?何に投資しない?ユニットエコノミクスで判断を

    ここまでで、ビジネスの健全性はユニットエコノミクスに現れることを見てきました。最後に、その数値を今後どのように活かすかを確認しておきましょう。

    「LTV > CAC × 3」である場合

    ユニットエコノミクスの数値が3を超えている場合は、一定数の顧客が長期間に渡って定着しており、製品に対するロイヤリティも生まれつつあると言えます。

    そこで、さらなる成長に向けて、収益の流れに着目します。

    チャーンレートが低い状態で安定しているのであれば、より高機能・多機能の上位製品やプログラムへと誘導する、アップセルへと顧客を導くことができます。

    ロイヤリティの高い顧客がいるのであれば、さらに購入機会を増やすようなプログラムを用意します。

    バイラル係数(サービスの拡散度合いを測る指標)が高い場合は、その製品やサービスが多くの人に適していることがわかります。

    この場合は、新規顧客の拡大に向けたマーケティングに投資することができます。

    「LTV < CAC × 3」である場合

    この場合は、事業拡大よりも収益化に焦点を当て、問題点の抽出と改善に力を注がなくてはなりません。

    「LTV < CAC」であれば、Tilt社の例で見たように、キャッシュフローが悪化し、どれだけ良い製品を持っていたとしても、行き詰まってしまいます。カスタマーサポートへの投資を増額したり、製品/サービスへの顧客ロイヤリティを図るNPSなどを計測してみましょう。

    顧客の立場に立った問題解決を

    ユニットエコノミクスの数値をさらに改善させるためには、LTVを向上させることが何よりも重要です。

    LTVを向上させるためには、従来の自社目線、自社を中心とした発想で成されるビジネスモデルを転換し、顧客を中心としたカスタマーエクスペリエンスを構築することが重要になります。

    まとめ

    ユニットエコノミクスはビジネスの財務状態を分析し、長期的な収益性を理解するための、有益な指標です。

    ユニットエコノミクスを、定期的に観測し、「LTV ÷ CAC」を分析することで、あなたのビジネスの健全性を測定し、事業拡大をすべき時期を見極めてください。

    HubSpotではこの他にもマーケティングやセールスに役立つ資料を無料で公開していますので、ぜひこちらからご覧ください。

     

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