「自社のホームページが古くなってきたけれど、リニューアルをどう進めればいいかわからない」
多くの企業が、このような悩みを抱えているのが実情ではないでしょうか。
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企業にとって顔となるホームページは、時代の変化とともにアップデートが求められます。
ところが、リニューアルには多くの労力とコストがかかるうえ、方法を間違えると大きな失敗に直結しかねません。
この記事では、ホームページをリニューアルすべき兆候から、具体的な進め方、予算の目安、失敗しないコツまでを網羅的に解説します。
ご一読いただくと、自社に最適な形でホームページのリニューアルを成功させる知識が身につきます。さっそく見ていきましょう。
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1. ホームページをリニューアルすべき5つのサイン
事業の成長を加速させるためには、ホームページを定期的にリニューアルし、常に最新の状態に保つことが欠かせません。
とはいえ、リニューアルには多大な労力とコストを要するため、タイミングを見極めることが重要です。
まずは、ホームページをリニューアルすべき兆候から確認しておきましょう。
- 時代遅れのデザインで競合に後れを取っている
- 使い勝手が悪くユーザーに不便を強いている
- 変化した事業内容にサイト構成が合っていない
- 顧客獲得や売上アップなどの求める成果が上がっていない
- 更新作業が非効率で運用コストが膨らんでいる
1-1. 時代遅れのデザインで競合に後れを取っている
1つめのサインは「時代遅れのデザインで競合に後れを取っている」です。
ホームページのデザインは、企業の印象を決定づける重要な役割を果たします。
競合他社のサイトが次々と最新デザインにリニューアルされているのに、自社サイトだけが古いままでは、ブランドイメージの低下は避けられません。
【古いホームページデザインの例】
- 過去に流行した古いデザイン(例:派手な配色や3Dデザインなど)が採用されている。
- 個性や独自性が感じられない、画一的なテンプレートデザインを使っている。
- すでに廃れた古い技術を使った動的な演出が多用されている。
こうした特徴が見られるホームページを放置すれば、単に「デザインが古い、ダサい、センスがない」と思われる以上に、大きなリスクを負います。
それは、「手入れをせずに放置していて活気がない」「気遣いや配慮の足りない不親切な会社だ」と、顧客や取引先に思われることです。
老朽化した店舗を放置するのと同様に、ホームページを長年メンテナンスしないことは、悪い印象を与えてしまうのです。
1-2. 使い勝手が悪くユーザーに不便を強いている
2つめのサインは「使い勝手が悪くユーザーに不便を強いている」です。
ホームページの役割は、ユーザーが求める情報を速やかに提供し、ストレスのない閲覧体験を提供することです。
ところが、古くなったサイトの多くは、ユーザーの利便性を損なう設計になっているケースが少なくありません。
使い勝手の悪いホームページの特徴には、以下のようなものがあります。
【使い勝手の悪いホームページの特徴】
- スマートフォンでの表示崩れや、画面外へのはみ出しが発生している。
- 重要なコンテンツにアクセスするために、何度もクリックしなければたどり着けない。
- 文字が小さすぎたり、背景色と文字色のコントラストが低かったりと、可読性が悪い。
- 写真やイラストが少なく、文字ばかりが羅列されている。
- 問い合わせフォームやチャットボットなど、顧客とのコミュニケーション手段が不足している。
こうした使い勝手の悪さは、離脱率や直帰率の上昇を招き、機会損失につながります。
ユーザーの立場に立ち、使いやすさを追求することが、リニューアル成功の鍵を握ります。
1-3. 変化した事業内容にサイト構成が合っていない
3つめのサインは「変化した事業内容にサイト構成が合っていない」です。
企業は常に変化し、成長し続けるものです。事業の方向性や商品・サービスのラインナップ、企業メッセージなどは、時間の経過とともに少しずつ変化していきます。
こうした変化に合わせて、ホームページのコンテンツや構成をアップデートしていく必要があります。
たとえば、以下のような場合は、サイトの見直しが求められます。
【変化に伴うホームページ改善が必要なケース】
- 新しい商品やサービスの情報が、トップページから適切に誘導されていない。
- 会社の理念やビジョンが変わったのに、サイトのコピーが古いままになっている。
- 事業の柱となる分野が変化しても、コンテンツの比重が過去のままである。
- 会社組織が大きく変更されたにもかかわらず、「会社概要」ページが更新されていない。
- 海外展開を始めたのに、グローバルサイトが存在しない。
事業の変化に即していないサイトでは、情報を効果的に届けられず、ビジネスチャンスを逃してしまいます。
自社の状況を定期的にチェックし、必要に応じて迅速にサイト改善を実施する体制を整えましょう。
1-4. 顧客獲得や売上アップなどの求める成果が上がっていない
4つめのサインは「顧客獲得や売上アップなどの求める成果が上がっていない」です。
ホームページ運営の目的は、ブランド認知の向上、リード(見込み客)の創出、販売機会の拡大など、事業の成長に直結する成果を生み出すことにほかなりません。
しかし、思うような成果を得られない状況が続く場合、リニューアルが必要だと考えられます。
【成果が芳しくない具体例】
- オーガニック検索からの流入数が横ばいで、競合他社に大きく差をつけられている。
- サイトへのアクセス数は一定数あるものの、新規顧客の開拓につながっていない。
- コンバージョン率が業界平均を下回っており、コンバージョンの最適化が進んでいない。
- 問い合わせフォームの離脱率が高く、潜在顧客を逃しているケースが多い。
- オウンドメディアが十分なページビュー数を獲得できず、認知拡大やブランディングに苦戦している。
こうした低迷は、簡易的な見直しだけでは対処しきれない、構造的な問題を示唆しています。
たとえば、サイト設計の不備によるユーザー体験の悪化や、コンテンツ制作プロセスの問題などが、根本原因として考えられます。
自社サイトの弱点を洗い出したうえで、思い切ったリニューアルに踏み切ることが、打開策となるでしょう。
1-5. 更新作業が非効率で運用コストが膨らんでいる
5つめのサインは「更新作業が非効率で運用コストが膨らんでいる」です。
ホームページの運用コストで見落としがちなのが、更新作業にかかる工数です。サイトの規模が大きくなるほど、情報を更新するための手間とコストは膨らむ一方になります。
とりわけ、以下のような状況では、運用効率の悪さが深刻化しているサインです。
【非効率化が進んでいる兆候】
- ページ数の多さから、サイト全体の情報を把握できる人材がいない。
- コーディングに関する知識がないと、簡単な更新作業もできない。
- 複数の部署がバラバラにコンテンツを量産し、情報が交錯している。
- サイトに古い情報が放置され、鮮度を維持できていない。
- 改善の余地があるのに、属人化により誰も手をつけられない。
こうした非効率性は、生産性の低下だけでなく、情報の鮮度低下によるサイト価値の毀損も招きます。
リニューアルのタイミングで、CMS(*1)の刷新など、抜本的なサイト運用の改善を図ることが賢明といえるでしょう。
*1:CMSとは、Content Management System(コンテンツ管理システム)の略語で、WordPressなどのように、Webサイトのコンテンツを一元管理し、専門知識のない担当者でも簡単に更新作業ができるシステムを指します。
2. ホームページリニューアルの主要な目的
次に、何のためにホームページをリニューアルするのか、目的を整理しましょう。
リニューアルの狙いが明確であれば、プロジェクトの方向性が集約されるため、早期に成果を出しやすくなります。
ここでは、代表的な目的を5つ取り上げます。
- ブランドイメージを一新し会社の顔として機能させる
- ユーザー体験を向上させ滞在時間を伸ばす
- 自社の独自性を訴求し他社との差別化を実現する
- 優秀な人材の獲得につなげる
- 運用の効率化を図りコスト削減を目指す
2-1. ブランドイメージを一新し会社の顔として機能させる
1つめの目的は「ブランドイメージを一新し会社の顔として機能させる」です。
ホームページは、顧客や取引先、投資家など、あらゆるステークホルダー(利害関係者)にとって、企業の顔となります。
リニューアルを通じて、ブランドイメージを刷新し、ステークホルダーの心に深く印象づけることは、重要な目的です。
具体的には、以下のような効果を狙います。
【ブランドイメージ刷新によるホームページリニューアルの狙い】
- デザインの一新で、業界のリーディングカンパニーとしての存在感を高める。
- ロゴやコーポレートカラーの変更を機に、グループ全体で統一感のあるサイトを構築する。
- コーポレートメッセージを見直し、社会的意義の高い事業ビジョンを前面に打ち出す。
- 写真や動画コンテンツを活用し、商品・サービスの魅力を視覚的に訴求する。
- 会社の歴史や理念、社員インタビューなどを通じ、企業文化への共感を醸成する。
リニューアルを企業ブランド再構築の好機ととらえ、腰を据えて取り組むことが大きな意義を持ちます。
2-2. ユーザー体験を向上し滞在時間を伸ばす
2つめの目的は「ユーザー体験を向上し滞在時間を伸ばす」です。
ホームページのユーザー体験(UX:ユーザーエクスペリエンス)は、サイトの価値を大きく左右する要素です。
リニューアルによってUXを向上させ、ユーザーの滞在時間を長くすることは、事業成果に直結する目的といえます。
具体的には、以下のような改善を図ります。
【ユーザー体験を向上するポイント】
- ユーザビリティテスト(ユーザーがサイトを実際に利用する様子を観察し、使いづらい点や改善点を洗い出すテスト)を実施し、明らかになった改善点を修正する。
- スマートフォンにも対応したレスポンシブデザイン(ディスプレイの大きさに応じてレイアウトを自動調整する手法)を採用し、あらゆる環境下で快適な閲覧を実現する。
- 情報設計(情報の構造や関連性を整理し、ユーザーにとって最適な形で提供すること)を見直し、ユーザーの目的に合わせたサイト構成をデザインする。
- 読みやすいフォントサイズや識別しやすいカラー・デザインを導入し、アクセシビリティ(年齢、障がいの有無、利用環境などに関わらず、誰もが同等にサイトを利用できること)を高める。
- 写真やインフォグラフィックス(情報やデータを視覚的に表現した画像)を活用し、わかりやすい情報提供を心がける。
こうしたユーザー体験の向上は、エンゲージメント(関わりの深さや頻度)を高め、ファン化や購買行動につながっていきます。
2-3. 自社の独自性を訴求し他社との差別化を実現する
3つめの目的は「自社の独自性を訴求し他社との差別化を実現する」です。
ホームページは、競合他社に対する優位性をアピールする絶好の場です。
リニューアルを通じて、自社ならではのオリジナリティを打ち出し、他社との差別化を鮮明にすることも、主要な目的といえます。
その際、着目すべきポイントは以下のとおりです。
【差別化を目指す着眼点】
- 競合他社のサイトを入念にリサーチし、差異化すべきポイントを明確にする。
- 自社にしかない強みを抽出し、トップページのキャッチコピーやビジュアルで印象づける。
- オウンドメディアを活用して、自社の専門性を示すコンテンツを発信する。
- 顧客の声やサクセスストーリーを取り上げ、自社の価値をストーリー形式で伝える。
- 自社ならではの特長や強みを、競合他社との比較を意識して、明確に打ち出す。
他社にはない独自の視点やノウハウを提示し、付加価値を訴求しましょう。
そのためには、画一的な表現を排し、自社の個性が際立つオリジナルなコンテンツ制作を心がけることが大切です。
2-4. 優秀な人材の獲得につなげる
4つめの目的は「優秀な人材の獲得につなげる」です。
ホームページは、人材採用においても、大きな役割を果たします。リニューアルを機に、ターゲットとなる求職者に向けたアプローチを強化することが、重要な目的のひとつとなります。
具体的な施策としては、以下のような取り組みが考えられます。
【優秀な人材の獲得を目指す施策例】
- 採用ページを刷新し、会社の魅力や働き方を訴求する。
- インターンシップや社員インタビューの特設ページを設け、学生や若手人材の関心を喚起する。
- 職種別の採用情報を充実させ、求職者のニーズに合った情報提供を行う。
- エントリーフォームをシンプルにし、応募のハードルを下げる。
- SNSとの連携を強化し、幅広い求職者層へのリーチを図る。
こうした施策により、就活生や転職活動中の方へ自社の魅力を効果的に伝え、優秀な人材の応募を促進します。
なお、採用サイトに特化した情報は以下の記事にまとめています。あわせてご覧ください。
2-5. 運用の効率化を図りコスト削減を目指す
5つめの目的は「運用の効率化を図りコスト削減を目指す」です。
非効率な運用体制を見直し、生産性の高いサイト運営を実現することは、リニューアルの目的として、忘れてはならない課題といえます。
効率化とコスト削減につながる代表的な取り組みは、以下のとおりです。
【運用効率化とコスト削減を目指す取り組み例】
- コーディングの知識がなくても、コンテンツの更新や修正を容易に行えるようにする。
- サイトマップを整理し、不要なページを削減して、管理コストを低減する。
- コンテンツ制作プロセスを標準化し、属人的な非効率を解消する。
- アクセス解析ツールを導入し、PDCAサイクルに基づくサイト改善を日常化する。
- 定型業務をマニュアル化して、運用担当者の負荷を下げる。
こうした地道な効率化の取り組みにより、限られたリソースを最大限に活用し、運用コストを大幅に圧縮できます。
リニューアルを単なるデザインの変更ととらえず、サイト運営の仕組み自体を根本から見直す契機と位置づけましょう。
3. ホームページリニューアルで失敗しない6つのコツ
続いて、ホームページのリニューアルで失敗しないコツを、まとめてお伝えします。
つまずきやすい落とし穴を回避し、狙い通りの成果を得るためのポイントを、あらかじめ押さえておくことが肝要です。
- システム(CMSや作成サービス)はゼロベースで見直す
- 事業全体の発展を視野に入れサイトの役割を再考する
- 既存コンテンツを適切に移行し無駄を省く
- 新旧URLの対応関係を明確にし検索順位を維持する
- スケジュールに余裕を持ち臨機応変に対処する
- 費用の相場と使える補助金・助成金を調べておく
3-1. システム(CMSや作成サービス)はゼロベースで見直す
1つめのコツは「システム(CMSや作成サービス)はゼロベースで見直す」です。
ホームページのリニューアルを進めるうえで、まず検討すべきなのが、サイトを構築・運用するシステムの選定です。
現状のシステムが、自社の目的や要件に合わなくなっているケースは少なくありません。
リニューアルのタイミングで、システムの採用も白紙から見直すことが賢明といえるでしょう。
【ホームページ構築・運用システムの選定基準】
- 今後の事業展開を見据え、必要十分な機能を備えているかを精査する。
- 導入や運用にかかる費用(イニシャルコスト・ランニングコスト)を試算し、予算内に収まるかを確認する。
- セキュリティ面の安全性が担保され、安定的な稼働が見込めるかを見極める。
- 社内の担当者でも扱いやすいインターフェースかどうかを、実際に触れて確かめる。
- カスタマイズや拡張の柔軟性があり、将来的な変更にも対応できるかを見定める。
注意点として、日本では、“CMSといえばWordPressが唯一の選択肢” と捉えている方が少なくありません。
しかしながら、WordPressのカスタマイズやプラグインだけに頼って複雑化するより、はるかに合理的で効果的な機能を持つ新システムも登場しています。
固定観念にとらわれることなく、最新の情報をゼロベースで検討することをおすすめします。
たとえば、新規顧客の開拓や売上アップなど、ビジネス成果の向上を目的として、セールスやマーケティングに強いホームページを構築したい場合には、「Content Hub」が最適です。
【Content Hubの機能(一部抜粋)】
Content Hubを使うと、コンテンツマーケティングやSEOの実践はもちろん、リード(見込み客)の情報取得や顧客化に向けた醸成まで、専門知識やノウハウのない方でも高度な機能を実装できます。
詳しくは、以下のページにてご確認ください。
出典:ContentHub:HubSpotコンテンツマーケティングソフトウェア
3-2. 事業全体の発展を視野に入れサイトの役割を再考する
ホームページは、事業戦略と一体となって機能することが重要です。
事業全体と連携せずに、独立してホームページリニューアルのみ進めてしまうと、失敗は避けられません。
リニューアル企画が事業の発展と連動するよう、その役割を再定義する必要があります。
【ホームページの役割の再考例】
- ホームページを、単なる情報発信の場ではなく、事業機会を創出する場ととらえる。
- サイトの目標を、事業戦略の実現に直結するKPI(創出リード数、コンバージョン率など)として設定する。
- ホームページ上で展開するコンテンツ戦略は、自社の強みを最大限に活かすものにする。
- 見込み客の情報取得からナーチャリング(顧客化への醸成)までの一連の流れを、サイトの設計に組み込む。
- データベースとしてのサイトの位置づけを明確にし、事業の意思決定に活かす。
このように、事業全体の発展を見据えて役割を再考すれば、ホームページを真の意味での経営資源へと昇華できるでしょう。
3-3. 既存コンテンツを適切に移行し無駄を省く
リニューアルの際、よくある失敗として、既存コンテンツの扱いを誤ることが挙げられます。
過去の資産を活かしつつ、必要なアップデートは大胆に行う方針を明確にしましょう。
具体的には、以下のような手順が求められます。
【既存コンテンツの適切な移行手順】
- 事前にコンテンツ監査を行い、全体像を把握する。
- アクセス解析などから、ユーザーニーズの高いコンテンツを特定する。
- ユーザビリティを損なう古いコンテンツや不要なページは思い切って削除する。
- アップデートの余地があるコンテンツは、最新の情報にリライトして更新する。
- 移行すべきコンテンツは、新サイトの設計に合わせて再構成する。
こうしたステップを踏むことで、既存コンテンツの価値を損なわずに、むしろパワーアップできます。
思慮のない安易な全面刷新も流用も、禁物です。過去の資産の強みと弱みを見極め、適切に継承していくスタンスで取り組みましょう。
3-4. 新旧URLの対応関係を明確にし検索順位を維持する
URLの設計を、よく考えずに軽い気持ちで変更してしまうのも、よくある失敗です。
しかしながら、安易なURLの変更は、SEOの観点からサイトオーソリティ(権威性)の低下を招く恐れがあります。
検索エンジンからの評価を損なわないためには、新旧のURLの対応関係に細心の注意を払う必要があります。
【新旧URLの対応における留意点】
- 重要なコンテンツのURLは、できるだけ変更しない。
- 新旧ページのコンテンツに差異がある場合、301リダイレクトを設定する。
- 新旧URLの対応表を作成し、XMLサイトマップに反映させる。
- Google Search Consoleなどのツールを使用して、新サイトのURLを登録し、クロール(巡回)を促す。
- 移行後のサイトパフォーマンス(検索順位、トラフィック量、コンバージョン率など)を注意深くモニタリングする。
こうした対策によって、検索順位を維持しながら、円滑にサイト移行できる可能性が高まります。
実行するためには、「301リダイレクト」や「XMLサイトマップ」の知識が必要となります。以下の記事もあわせてご覧ください。
3-5. スケジュールに余裕を持ち臨機応変に対処する
ホームページのリニューアルは、関係者が多岐にわたる一大プロジェクトです。綿密な計画を立てたとしても、想定外の事態が発生するのは珍しくありません。
スケジュールには十分な余裕を持たせ、柔軟に対処できる体制を整えましょう。
【リニューアルのスケジュール管理のポイント】
- 関係者全員で、スケジュールの共有と合意形成を図る。
- 各フェーズの期間を見積もる際、一定のバッファ(ゆとり)を設ける。
- プロジェクト全体の工程において重要な道筋(クリティカルパス)を意識し、事前にボトルネック(妨げとなる箇所)を見極める。
- 定期的なミーティングを設け、進捗状況を随時チェックする。
- 変更や追加の要望には、柔軟かつ迅速に対応する。
最も避けるべきは、スケジュールの遅延が続き、最終的にテストが不十分なまま低品質のサイトを公開して、ユーザーに迷惑をかけることです。
リニューアルの成否は、綿密な計画と柔軟な対応力のバランスにかかっているといっても過言ではないでしょう。
3-6. 費用の相場と使える補助金・助成金を調べておく
ホームページのリニューアル費用は、企業規模やサイトボリュームによって大きく異なります。中小企業においては、100万〜300万円程度が平均的な相場といえます。
【ホームページリニューアルの一般的な費用内訳】
- 企画・ディレクション:20〜50万円
- デザイン:30〜100万円
- HTML・CSSコーディング:20〜80万円
- CMS構築・実装:20〜100万円
- ライティング・撮影などの素材制作:30〜80万円
ただし、これはあくまでも目安であり、要件の複雑さやクオリティの追求度合いによって、大きく変動することに注意が必要です。
安易なコストカットは、品質の低下を招き、かえって損失につながりかねません。費用対効果を慎重に見極め、自社に最適な予算配分を行うことが賢明といえるでしょう。
また、事前に調べておきたいのが、公的支援です。補助金や助成金の利用によって、自社の負担を軽減できる可能性があります。
【公的支援の例】
公的支援は、ホームページリニューアルの内容、業種や地域、企業規模などの要件に応じて、申請可能かどうかが異なります。
自社に適した補助金を探すためには、各自治体の担当窓口に相談したり、専門家に意見を求めたりすることが有効です。
ホームページリニューアルを成功に導く進め方 8つのステップ
ここまでに解説したポイントを踏まえつつ、リニューアルを成功に導く具体的な進め方を、見ていきましょう。
以下8つのステップで解説します。
- 現状の問題点を明らかにし理想の姿を思い描く
- コンセプトとターゲットを再定義し方向性を固める
- 社内の合意形成を図りつつ予算と体制を整える
- 信頼できる制作会社を選び緊密に連携する
- 事業成長を加速させるサイト設計とわかりやすいデザインを採用する
- コンテンツ制作を効率的に進め質の高いアウトプットを目指す
- 入念なテストを重ねて品質を確保する
- 公開後も継続的な改善を図る
4-1. 現状の問題点を明らかにし理想の姿を思い描く
ホームページのリニューアルを始めるうえで重要なのが、現状の課題を可視化し、あるべき姿を描き出すことです。
漠然とリニューアルに着手するのではなく、まずは自社サイトの問題点と目指すべき方向性を明確にすることが肝心です。
現状分析で着目すべきポイントは、以下のとおりです。
【ホームページの現状分析のポイント】
- 自社サイトを改めて隅々まで閲覧し、古い情報や使いにくい箇所を洗い出す。
- 直帰率の高いページや滞在時間の短いページを特定し、原因を考察する。
- サイトに関する顧客や従業員の声を集め、要望や不満を整理する。
- 競合他社のサイトを分析し、自社との差異化ポイントを明らかにする。
- 事業戦略やブランド戦略と、サイトの方向性のズレを認識する。
こうした現状分析を経て、自社サイトの理想的な姿を具体的にイメージすることが、リニューアルの指針となります。
スケジュールに追われて現状分析をおろそかにすれば、この後のステップが難航します。
十分な時間を確保し、自社サイトのあるべき姿を関係者全員で共有することが成功の第一歩です。
サイト分析に関しては、以下の記事も参考にしてみてください。
4-2. コンセプトとターゲットを再定義し方向性を固める
現状分析を通じて問題点を明らかにしたら、次はコンセプトの再定義とターゲットの明確化に着手します。
自社のホームページは何を目指し、誰に向けて情報を発信するのかを改めて見直すことが、リニューアルの方向性を定める鍵です。
コンセプトとターゲットを再定義する際の視点は、以下が考えられます。
【ホームページのコンセプトとターゲットの再定義の視点例】
- 事業を行う領域や範囲の変化に即して、サイトの役割を見直す。
- 顧客の特徴や属性に基づいて、具体的な顧客像(ペルソナ)を設定する。
- 自社にしかない強みを分析し、他社との差別化ポイントを明文化する。
- 自社のブランドパーソナリティ(人格)を再確認し、サイトのトーンを定める。
- 顧客の深層心理や行動に基づき、訴求方法を検討する。
こうした視点を踏まえ、自社サイトのコンセプトとターゲットを再定義すれば、リニューアルの指針が明確になっていきます。
むやみに思いつきで進めるのではなく、戦略的な意思決定に基づいてコンセプトを固めることが、リニューアル成功の秘訣といえるでしょう。
具体的なアプローチについては、以下の記事が参考になります。
4-3. 社内の合意形成を図りつつ予算と体制を整える
コンセプトの再定義が済んだら、いよいよリニューアルに向けた準備段階に入ります。この段階で重要なのが、社内の合意形成を図りながら、予算と体制を整えていくことです。
具体的には、以下のアクションが求められます。
【リニューアルの準備段階で必要なアクション】
- 経営陣を含む関係部署に企画書を提示し、リニューアルの必要性への理解を得る。
- リニューアルの狙いとゴールをKPIとして明示する。たとえば、「サイト滞在時間を現状より30%増加させ、問い合わせ件数を月平均50件獲得する」のように、定量的な効果を約束する。
- 必要な予算を試算し、コストに見合うリターンが得られる見通しを立てる。
- ガントチャート(プロジェクトの工程を可視化する進捗管理ツール)を作成し、リニューアルのスケジュールと役割分担を明らかにする。
- 外注する場合、その選定基準を定め、制作会社のリストアップに着手する。
こうしたステップを経て、社内の理解と協力を得ながら、リニューアルの実行に向けた下地を固めていきます。
発注ありきで走り出すのではなく、リニューアルの目的と価値を社内で十分に共有することが、円滑なプロジェクト進行の鍵を握ります。
4-4. 信頼できる制作会社を選び緊密に連携する
実際のリニューアル作業において、自社の力だけですべてを賄うのは容易ではありません。
多くの場合、専門性の高い制作会社の力を借りながら、緊密に連携を取ってプロジェクトを進めていくことになります。
制作会社の選定にあたっては、以下のようなポイントに留意します。
【ホームページリニューアルの制作会社選定におけるチェックポイント】
- リニューアルの実績や手がけた案件事例から、高い専門性が感じられるか。
- 自社の課題やゴールを正しく理解し、実現可能性の高い提案をしてくれるか。
- 提案する作業プロセスが明確で、費用対効果が高いか。
- 誠実なコミュニケーションが取れ、率直な意見交換ができる関係性が築けそうか。
- 長期的視点に立ったパートナーシップを期待できる信頼感があるか。
こうした観点から複数の会社を比較検討し、強固な信頼関係を築ける制作会社をパートナーとして選定します。
安易に価格の安さだけで判断するのは賢明ではありません。
自社の戦略的パートナーとなり得る会社を見極め、協働しながら理想のサイトを実現していくことが重要です。
4-5. 事業成長を加速させるサイト設計とわかりやすいデザインを採用する
制作フェーズに入ったら、ビジネス成果に直結するサイト設計とデザインの方向性を固めていきます。
事業の根幹を支え、戦略実現の基盤となるホームページには、単なるビジュアルの美しさだけでなく、合理的な情報設計が求められます。
【事業成長を加速させるホームページの情報設計】
- 事業戦略やブランド戦略の実現に必要な要素を過不足なく盛り込む。
- トップページやグローバルナビゲーションで、サイト全体の構造をわかりやすく示す。
- ユーザーの行動フローを想定し、目的のページへ最短で誘導する。
- 重要なコンテンツには多くのページから多様な導線を設ける。
- ユーザーの属性に応じて、パーソナライズ(個別最適化)された情報を提示する。
また、デザインについても、以下のような考え方が大切です。
【デザインの基本方針】
- シンプルで直感的なデザインにより、ユーザーの認知負荷(理解に必要な労力)を少なくする。
- 写真やイラスト、動画などを効果的に使い、印象に残るビジュアルを創出する。
- スマートフォンの画面を意識し、どの端末でも使いやすいデザインを心がける。
- アクセシビリティ(年齢、障がいの有無、利用環境などに関わらず、誰もが同等にサイトを利用できること)に配慮し、多様なユーザーが快適に利用できる工夫を施す。
- ブランドのパーソナリティ(個性)を表現するデザインで、他社との差別化を図る。
戦略と一体化した情報設計と、使いやすさを重視したデザインにより、事業の目的を果たすサイトを目指しましょう。
試作段階から関係者でレビュー(評価・検討)を重ね、戦略に合致した最適解を模索していくことが成功の鍵となります。
4-6. コンテンツ制作を効率的に進め質の高いアウトプットを目指す
サイト設計とデザインの方向性が固まったら、いよいよ実際のコンテンツ制作に取り掛かります。
ここでポイントになるのが、限られた時間とリソースの中で、いかに効率的に質の高いコンテンツを量産するかです。
【質の高いコンテンツ制作を実現するポイント】
- 制作の目的と狙いを明確にし、ゴールから逆算して必要なコンテンツを洗い出す。
- コンテンツの種類や量、優先順位を決め、実現可能なスケジュールを立てる。
- ライターやデザイナーなど、適切な担当者にタスクを割り振り、制作体制を整える。
- わかりやすい指示書やガイドラインを準備し、制作物の品質を一定に保つ工夫をする。
- 担当者間で定期的に進捗を共有し、問題があれば早期に改善策を講じる。
コンテンツ制作では、綿密な計画を立て、チームの力を結集し、地道に積み重ねていくことが重要です。
プロジェクトを通して得られた知見は、社内で共有し、次回以降の制作に活かしていきましょう。
4-7. 入念なテストを重ねて品質を確保する
コンテンツの制作が一段落したら、公開前の入念なテストフェーズに入ります。
このステップでは、サイトの機能や表示が意図した通りに動作するかを徹底的にチェックし、公開にふさわしい品質を保証することが焦点となります。
【リリース前のテストで確認すべき項目】
- 全ページで、リンク切れや表示崩れ、誤字脱字がないことを確認する。
- 問い合わせフォームなど、フォームの送信テストを複数環境で実施する。
- 異なるデバイスやOSで、意図した通りの表示になることを検証する。
- ユーザビリティテストを行い、わかりづらい部分や使いづらい箇所を洗い出す。
- アクセシビリティチェック(*2)を実施し、多様なユーザーが同等に利用できるかを確認する。
- 差別語・不快語など、コンテンツ上の問題がないか精査する。
- セキュリティ上の脆弱性がないか、確認する。
- プライバシーポリシーが適切に表示され、コンプライアンス上の問題がないか確認する。
テストは、サイトの信頼性を左右する重要なプロセスです。先にも述べたとおり、時間的な制約から、テストの時間を削ってしまうのは避けるべきです。
問題を見逃さないために、社内の責任者とともに、第三者の目線でもチェックすることが望ましいでしょう。
*2:アクセシビリティに関しては、以下のデジタル庁のガイドブックに準拠していることを確認しましょう。
4-8. 公開後も継続的な改善を図る
新しいサイトが無事公開できたら、それでゴールというわけではありません。
公開後もアクセス状況を注視し、PDCAサイクルを回しながら、継続的な改善を図ることが重要です。
【公開後の改善で行うべきアクション】
- アクセス解析で、ユーザーの行動を定量的に把握する。
- オンラインやオフラインの問い合わせから、ユーザーの反応を吸い上げる。
- リード創出数やコンバージョン数など、ビジネス成果の達成状況を評価する。
- 明らかになった改善点を、優先順位をつけて速やかに対応する。
- コンテンツの更新頻度を上げ、ユーザーの再訪問率を高める。
公開後の改善は、費用対効果を最大化するうえで欠かせないプロセスです。
サイトは、ユーザーの反応を見ながら、試行錯誤を繰り返して磨き上げていくものだと心得ておきましょう。
ホームページの改善については、以下の記事も参考にしてみてください。
5. ホームページリニューアルを戦略的に成功させよう
本記事では「ホームページのリニューアル」をテーマに解説しました。要点をまとめておきましょう。
ホームページをリニューアルすべき5つのサインとして、以下を解説しました。
- 時代遅れのデザインで競合に後れを取っている
- 使い勝手が悪くユーザーに不便を強いている
- 変化した事業内容にサイト構成が合っていない
- 顧客獲得や売上アップなどの求める成果が上がっていない
- 更新作業が非効率で運用コストが膨らんでいる
ホームページリニューアルの主要な目的として、以下が挙げられます。
- ブランドイメージを一新し会社の顔として機能させる
- ユーザー体験を向上させ滞在時間を伸ばす
- 自社の独自性を訴求し他社との差別化を実現する
- 優秀な人材の獲得につなげる
- 運用の効率化を図りコスト削減を目指す
ホームページリニューアルで失敗しない6つのコツは次のとおりです。
- システム(CMSや作成サービス)はゼロベースで見直す
- 事業全体の発展を視野に入れサイトの役割を再考する
- 既存コンテンツを適切に移行し無駄を省く
- 新旧URLの対応関係を明確にし検索順位を維持する
- スケジュールに余裕を持ち臨機応変に対処する
- 費用の相場と使える補助金・助成金を調べておく
ホームページリニューアルを成功に導く進め方を8つのステップで解説しました。
- 現状の問題点を明らかにし理想の姿を思い描く
- コンセプトとターゲットを再定義し方向性を固める
- 社内の合意形成を図りつつ予算と体制を整える
- 信頼できる制作会社を選び緊密に連携する
- 事業成長を加速させるサイト設計とわかりやすいデザインを採用する
- コンテンツ制作を効率的に進め質の高いアウトプットを目指す
- 入念なテストを重ねて品質を確保する
- 公開後も継続的な改善を図る
リニューアルを機に、自社のホームページを競争力の源泉へと進化させることが、デジタル時代を勝ち抜く鍵となるでしょう。
短期的な視点だけでなく、中長期的な事業の発展を見据えながら、ホームページの戦略的なリニューアルに取り組んでいきましょう。