BtoB(企業間取引)のマーケティング施策に取り組む際に、フレームワークを活用できないかとお考えの方もいらっしゃるでしょう。
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フレームワークは、課題を解消する際に役立つ「考え方の枠組み」であり、BtoBマーケティングに活用することで、専門的かつ複雑なBtoB領域における顧客ニーズの理解につながります。また、効果的なコミュニケーションや価値提案により、顧客との良好な関係構築も期待できます。
本記事では、BtoBマーケティングでフレームワークを活用するメリット・デメリットと、BtoB向けのフレームワーク15選、活用する際の注意点について解説します。
BtoBマーケティングのフレームワークとは
ビジネスにおける「フレームワーク」は、開発や問題解決における規則・構造をまとめた「考え方の枠組み」を意味します。BtoBマーケティングにおけるフレームワークとは、BtoB特有のマーケティング課題を解消するための思考法です。
過去に研究された考え方で、汎用性・再現性の高いものがフレームワークとして浸透するため、課題に対するアプローチ方法を一から構築するよりも効率的に解決できます。
BtoBマーケティングでフレームワークを活用するメリット
フレームワークを活用すると、BtoBマーケティングにおける事業の現状分析や市場分析、戦略策定、意識決定といったさまざまな場面で役立ちます。
ここでは、BtoBマーケティングでフレームワークを活用する3つのメリットをご紹介します。
BtoBの専門的なニーズへ対応しやすい
BtoBマーケティングでは、特定領域に特化した製品・サービスを扱うため、専門的なニーズや複雑な課題が多い傾向があります。
フレームワークは課題の発見や戦略立案の効率化に役立つものであり、企業の専門的なニーズを把握し、成果の測定や善点を特定するための指針となります。BtoB領域に適したフレームワークを活用することで、専門的なニーズへ対応しやすくなります。
見込み客・顧客との長期的な関係構築を促進できる
BtoBは、BtoCに比べて商品やサービスの購入・導入までに至るまでの検討項目が多く、検討期間が長期化しやすいという特徴があります。そのため、BtoBマーケティング施策を展開する際には、中長期的な視点で見込み客と信頼関係を築くことが重要です。
フレームワークには、マーケティング活動全体の構造を把握・理解する役割があり、企業が見込み客や顧客に提供できる価値を明確化するうえでも役立ちます。分析によって得られた知見は、顧客と良い関係を築くためのマーケティング活動の最適化に活用可能です。
複数の意思決定者へのアプローチ方法を構築しやすい
BtoBの購買プロセスにおける意思決定は、対応窓口となる担当者にはじまり、部門長・事業責任者・社長など、複数の人物によって行われるケースが一般的です。
構造化されたフレームワークを活用することで、異なるコミュニケーションチャネルを設定するなど、複数の意思決定者に対するアプローチを考慮した施策を展開しやすくなります。
BtoBマーケティングにフレームワークを用いるデメリット
BtoBマーケティングでフレームワークを用いることは、メリットも多い一方で、デメリットといえる側面もあります。
ここでは、2つのデメリットとその対策を解説します。
課題に応じてフレームワークを選定する必要がある
フレームワークには多くの種類があり、業界や状況によって適した手法が異なるため、自社の課題に応じて最適なフレームワークを選定することが必要です。目的に合わないフレームワークを選定してしまうと、判断を誤る可能性があります。
フレームワークを選定する際には、業界のトレンドや新しいフレームワークに対する理解を深め、自社の課題を明確にしたうえで選定することが重要です。
新しいアイデアや提案が生まれにくい
フレームワークは効率的な思考法として利用できる一方で、決められた枠組みの中で思考を整理することになるため、新しいアイデアや提案が生まれにくくなる側面があります。
変化するBtoB市場に適応するためには、従来の手法のみにとらわれず、チームメンバーが自由にアイデアを出し合い、試行錯誤できるような環境づくりが求められます。
定期的なブレインストーミングセッションを実施し、アイデアの共有プラットフォームを導入するなど、新しい発想が生まれやすい企業文化を醸成することが大切です。
BtoBマーケティングに有効なフレームワーク15選
フレームワークには多くの種類があり、それぞれ特性や向いている領域が異なるため、BtoBマーケティングに適したフレームワークを用いることが重要です。
ここでは、BtoBマーケティングに有効な15種類のフレームワークをピックアップし、BtoBに向いている理由や活用例をご紹介します。
1. PEST分析
PEST分析は、政治(Political)、経済(Economic)、社会(Social)、技術(Technological)の4つの要因から外部環境の変化を評価するフレームワークです。
企業に対して行うBtoBマーケティングの場合、事業に影響を与える可能性のある要因を広い視点で洞察する必要があるため、政治的なリスクや経済的な状況なども検討できるPEST分析が役立ちます。
特に、市場参入時や新技術を活用したサービスの提供を開始するシーンで活用しやすいでしょう。
2. 5F分析
5F分析は、ファクター(Factors)、フロー(Flows)、フォース(Forces)、フィードバック(Feedback)、フューチャー(Future)の5つの側面から、マーケティング環境を分析するフレームワークです。
PEST分析がマクロ環境を探求するための枠組みであるのに対して、5F(ファイブフォース)分析はミクロ環境を評価するフレームワークといえます。
BtoBマーケティングで分析すべき外部環境は、市場規模や顧客動向などの「ミクロ環境」と、人口統計・経済動向・政治状況などの「マクロ環境」に区分できます。ミクロ環境は企業が一定程度コントロールできる要素であり、マクロ環境は企業がコントロールできない要素です。
BtoBでは、自社と競合他社との相対的な位置づけの理解が不可欠であるため、5F分析を用いることもおすすめです。5F分析の活用例として、BtoB向けの製品の品質向上やカスタマーサポートのサービス改善方法を検討する際に有用です。
3. 6C分析
6C分析は、自社業界の3C分析に用いられる「顧客(Customer)、競合(Competitor)、自社(Company)」の3つの要素に、顧客にとっての3Cの要素を追加したフレームワークです。
顧客企業の目標を理解したうえで、「顧客の顧客に対する価値」を提供する方法を考える際に役立ちます。
例えば、競合分析レポートの作成や市場調査を通じて、自社の強みや弱みを把握するなど、マーケティング戦略の最適化を図る際に活用できます。
4. セグメンテーション分析
セグメンテーション分析は、市場を細かく区切り、それぞれのセグメントに対して異なるマーケティング戦略を適用するフレームワークです。
BtoBマーケティングでは、ターゲットとなるビジネスセグメントを正確に特定し、そのニーズに合致した提案を行うことで競争優位性を築きやすくなるため、セグメンテーション分析が役立ちます。
セグメンテーション分析は、業種や地域などのセグメント別に、異なる製品バリエーションやプロモーション戦略を展開したい場合に活用しやすいでしょう。
5. カスタマージャーニーマップ
カスタマージャーニーマップとは、見込み客が製品やサービスを認知し、購入に至るまでのプロセスを時系列で示した図です。見込み客や顧客の購買プロセスを理解し、各タッチポイントでの効果的なアプローチを検討する際に用いられます。
カスタマージャーニーマップは、複雑な購買プロセスや、購買に至るまでの各フェーズにおけるキーパーソンを可視化できるため、BtoBマーケティングにも適したフレームワークといえます。
BtoBマーケティングでは、購買決定の各段階での情報提供や、カスタマーサポートを強化し顧客満足度向上を目指すといった活用方法があります。
6. RFM分析
RFM分析は、Recency(最終購入日)、Frequency(購買頻度)、Monetary(購買金額)の3つの要素を利用し、顧客の行動パターンを評価するフレームワークです。購買行動を数値化できるため、優良顧客を特定した上での個別アプローチが可能になります。
例えば、高頻度で購買する顧客に対し、特別なプロモーションを提供したい場合に活用すると、成果につながりやすいでしょう。
7. デシル分析
デシル分析は、顧客や製品をランク付けするために用いられるフレームワークです。顧客を10等分のグループ(デシル)に分け、各グループの特徴を把握することで、優先度の高い重要なクライアントの特定と、リソース配分の最適化につながります。
BtoBマーケティングでの活用例として、上位顧客に向けてプレミアム製品やサービスを提案し、顧客ロイヤルティを強化するといった方法があります。
8. STP分析
STP分析は、市場の細分化(Segmentation)、顧客の決定(Targeting)、立ち位置の明確化(Positioning)の3つのステップで構成されるフレームワークです。STP分析を活用することで、特定のセグメントに対し、異なる製品やサービスを提供する戦略を策定することが可能になります。
BtoBマーケティングでは、特定の業界向けに機能をカスタマイズすることや、ニーズに応じて価格戦略を変更する際に活用できます。
9. SWOT分析
SWOT分析は、企業や製品の強み(Strengths)、弱み(Weaknesses)、機会(Opportunities)、脅威(Threats)の洗い出しに役立つフレームワークです。
競合他社との比較を通じて、自社の差異化ポイントを見つけられるため、BtoBマーケティングで新たな市場進出を検討する際に活用すると良いでしょう。
10. 4P分析
4P分析は、商品(Product)、価格(Price)、販売促進(Promotion)、流通(Place)の4つの要素を用いて、マーケティング戦略を計画・実行するフレームワークです。BtoBマーケティングにおける特定の市場セグメントへの適応や価格戦略の策定、流通経路の選定、広告や宣伝の検討に役立ちます。
4P分析は、企業視点での製品やサービスの評価手法であるため、顧客視点で自社製品を分析する「4C分析」と併用することがおすすめです。
11. 4C分析
4C分析は、顧客の立場から商品やサービスを考えるフレームワークであり、顧客価値(Customer Value)、顧客コスト(Customer Cost)、顧客とのコミュニケーション(Communication)、顧客の利便性(Convenience)の4つの要素で成り立ちます。
顧客視点を軸に設計されているのが特徴的で、BtoBマーケティングでは商品の利便性やコミュニケーションを強化し、顧客体験の改善に用いられます。
4C分析は、プロダクトを軸に自社製品を分析する「4P分析」と併用することがおすすめです。
12. フライホイールモデル
HubSpotが提唱するフライホイールモデルは、購買を中心とした漏斗型ではなく、円形に顧客を重視してサービスやマーケティングを展開するフレームワークです。顧客創出からエンゲージメント、売上向上までの一貫したプロセスを設計できるため、持続的な顧客エンゲージメントの構築に役立ちます。
顧客満足度の向上を通じて、口コミやリピート購買を促進したい場合などに活用できます。
13. SMART
SMARTは、目標設定の原則を示すフレームワークです。目標が「具体的(Specific)、計測可能(Measurable)、達成可能(Achievable)、現実的(Realistic)、期限付き(Time-bound)」であるかどうかを検討することが可能です。
BtoBマーケティングでは、期限内に達成するためのアクションの詳細を設定するなど、具体的かつ実現可能な目標を設定するために用いられます。
14. SAVE
BtoBマーケティングで成果につなげるためには、見込み客や顧客に対して包括的な価値提案を行うことが重要です。SAVEは、Solution(解決策提供)、Access(利便性向上)、Value(価値提供)、Education(教育)の4つの要素を用いて、顧客との価値提供を最大化するためのフレームワークです。
セミナーやウェビナーを通じて、顧客へ商品の使用方法やメリットへの理解を深める場を提供するなどの活用方法があります。
15. KPIツリー
KPIツリーとは、KPI(重要業績評価指標)を階層的に整理し、組織全体の目標に対する各部門やプロセスの寄与を可視化するためのフレームワークです。
BtoBマーケティングでは、売上や利益だけでなく、顧客満足度やリピート率などの要因も重要視されます。KPIツリーはこれらの要因を包括的かつ定量的に評価することができ、組織の総合的な業績を把握するのに適しています。
例えば、オンライン広告のクリック率や展示会への参加者数を計測し、効果的なマーケティングチャネルの特定をすることが可能です。
BtoBマーケティングでフレームワークを活用する際の注意点
BtoBマーケティングでフレームワークを活用する際には、次の2点に注意しましょう。
継続的な評価と見直しを行う
BtoBの市場環境は絶えず変化するため、フレームワークを導入した後も、戦略の正確性を確認するために、定期的な再評価と見直しを実施する必要があります。
具体的には、KPIや目標達成度などの数値データを分析し、フレームワークの成果を客観的に測定すると良いでしょう。
複数のフレームワークを組み合わせて活用する
BtoBマーケティングの複雑な課題への対処には、複数のフレームワークを組み合わせることも検討しなければなりません。
各フレームワークの特性や強みを理解し、解決したい問題や達成したい目標に応じて、最適な組み合わせを選定することが重要です。これにより、異なる側面からアプローチでき、効果的な対策を講じることが可能になります。
例えば、SWOT分析とカスタマージャーニーマップを組み合わせて、企業の内部要因と顧客の経験を同時に考慮した施策を策定するといった方法です。
BtoBマーケティングのフレームワークを適切に活用し、課題解決を目指そう
BtoBマーケティングのフレームワークを活用することで、専門的なニーズへの対応や見込み客・顧客との長期的な関係構築など、BtoB特有の課題に対応しやすくなります。
ただし、活用する際には課題に応じてフレームワークを選定し、継続的な評価と見直しを行いましょう。フレームワークを適切に組み合わせて活用することも重要です。
また、フレームワークにとらわれ過ぎず、新しいアイデアを取り入れる余地を残しておくことも必要といえるでしょう。フレームワークはあくまで課題解決へのアプローチ方法の一つであると認識し、現状に合わせて柔軟に調整すると活用しやすくなります。
本記事で紹介した最新のBtoBマーケティング向けフレームワークを、ぜひ自社のマーケティング活動に取り入れてください。