不動産に関する情報は、従来、新聞や看板広告、不動産会社などを通じて入手する必要がありました。
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しかし現代では、インターネットの普及に伴い、顧客の情報収集手段が変化してきています。こうした状況下で、不動産業界の集客方法も変わりつつあり、オフライン施策に加えてWebマーケティング施策にも力を入れていくことが重要です。
そこで本記事では、不動産業界でWebマーケティングは有効となるのか、実施するメリット、有効な施策などを解説します。Webマーケティングを成功させるポイントもあわせて解説しますので、ぜひ参考にしてください。
不動産業界でWebマーケティングは有効?
不動産業界においても、Webマーケティングの重要性が高まっています。その理由は、顧客となる可能性のあるユーザーの情報収集手段が変化してきているためです。
かつては、チラシや新聞広告などで物件に関する情報収集を行い、実際に直接不動産会社を訪問して契約する流れが一般的でした。
現代ではインターネットの普及により、Google やYahoo!などの検索エンジンや、X・InstagramなどのSNSなど、Webサービスを使って物件を検索するケースも増えてきています。こうした状況に対応するために、不動産会社はWebマーケティングに力を入れていくことが重要です。
加えて、見込み客が不動産会社に対して求める考え方も変化してきています。これまでは電話や来店での問い合わせが主流でしたが、「まずは資料だけ欲しい」「自分が聞きたいことだけを聞きたい」と考える見込み客も多く、物件探しや手続きをネット上ですべて行いたいと考える層も増えています。
メールやフォーム、LINEなどで問い合わせができるような入口を設けておくことで、機会損失を減らすことが可能です。
不動産業界でWebマーケティングを行うメリット
不動産業界でWebマーケティングを行う主なメリットは、次の通りです。
- 新たな顧客創出につながる
- 他社との差異を図れる
- PDCAを回しやすい
それぞれのメリットを詳しくみていきましょう。
新たな顧客創出につながる
不動産業界でWebマーケティングを行うと、新規顧客創出につながるメリットがあります。新規顧客の創出につながる主な理由は2つあります。
ターゲットを絞り込んで接触できる
チラシや新聞広告など従来型の集客方法は、不特定多数のターゲットにアプローチします。広範囲にアプローチできる一方で、本当に物件情報を届けたい層に届くとは限らず、顧客創出につながらないケースもありました。
その点、Webマーケティングでは、年齢や性別、居住地などの基本データだけでなく、興味関心や行動履歴などでセグメント分けができます。「駅前の物件を探している人」「郊外に家族で住む人」などのように、新たな見込み客に効果的にアプローチが可能です。
複数媒体でユーザーに接触できる
Google やYahoo!などの検索エンジン、SNS、チラシなど、見込み客が使用する媒体は多岐にわたります。
普段情報収集にSNSを活用する人も、より詳細な情報を検索するに当たっては検索エンジンも合わせて活用するというイメージを持ってもらうとわかりやすいでしょう。
それぞれの媒体にしかいないユーザーもいますが、複数の媒体を扱っているユーザーであれば、各媒体で接触ができるため、接触機会を増やせます。
他社との差異を図れる
不動産業界でWebマーケティングを駆使すると、他社との差異を図れる点がメリットです。Webマーケティングでは、自社独自の強みや価値をターゲットに届けることができます。
例えば、駅前のアクセスの良い物件を多数取り扱っている場合、その強みに合わせたコンテンツ作成や発信ができます。自社サイトやSNSなどでは、決まった枠組みにとらわれず独自の視点で自社の強みや特徴、価値観を表現することが可能です。
PDCAを回しやすい
チラシやポスティング、新聞広告、看板広告などオフラインの施策は、効果測定が難しく、成果につながっているのか判断しづらい側面がありました。
その点、Webマーケティングは効果測定がしやすく、低コストからでもさまざまな施策にトライできる点がメリットです。仮説を立てて実行に移し、その結果を踏まえながら次のアクションに向けてプランを練り直す「PDCAサイクル」を回していくことで、施策の効果をより高めていくことができます。
不動産業界で有効なWebマーケティング施策6つ
不動産業界で有効なマーケティング施策には、次のようなものがあげられます。
- 不動産ポータルサイトへの掲載
- 自社Webサイトの最適化
- Web広告運用
- SNSアカウント運用
- メルマガ・LINE配信
- オウンドメディア運営
それぞれのWebマーケティング施策の特徴を詳しく見ていきましょう。
不動産ポータルサイトへの掲載
不動産ポータルサイトとは、不動産に関する情報を一元的に提供するWebサイトです。ユーザー自身で、立地や家賃などの条件を絞って物件情報を検索・閲覧できる機能があります。Suumo(スーモ)、HOME'S(ホームズ)、アットホーム、Yahoo!不動産、いい部屋ネットなどが代表例です。
物件情報を自ら直接検索するユーザーに対して、効果的にアプローチできます。物件の魅力を際立たせる写真を使用するほか、会社情報を充実させるなどしてアピールしましょう。ポータルサイトに掲載すると検索結果でも上位表示されやすいので、集客力を高めるために活用できます。
掲載するにあたっては、掲載料や広告費が発生する他、競合や物件数が多いエリアの掲載費用は高くなる点は把握しておきましょう。
自社Webサイトの最適化
自社Webサイトは、集客の受け皿となる大事な場所です。ユーザーエクスペリエンス(UX)を向上させ、検索エンジンからの評価を高めるために、ページ速度などを最適化しましょう。
また、不動産情報サイト事業者連絡協議会の公表した2023年版「不動産情報サイト利用者意識アンケート」 調査結果によると、スマートフォンで情報収集するユーザーも増えています。この点を考慮して、モバイルフレンドリーなデザインやタップしやすいボタン配置・設計なども意識しましょう。
自社Webサイトの最適化を行えば、資料請求などのフォームの離脱低下、CVRの向上などの効果が期待できます。
Web広告運用
Web広告には、リスティング広告やディスプレイ広告、SNS広告などがあります。それぞれのWeb広告の概要やメリット、デメリットを解説します。
リスティング広告
リスティング広告とは、Google やYahoo!などの検索エンジンの検索結果ページや関連サイトに表示される広告で、ユーザーが入力したキーワードに基づいて表示される広告です。一般的には、広告がクリックされるたびに課金される「PPC(Pay Per Click)」に基づき課金されます。
不動産企業でリスティング広告を活用する際は、エリアやユーザーを徹底的に絞り込むことが重要です。戦略を練らずに「不動産」などのビックキーワードで出稿してもクリック単価が高く、成約は難しいでしょう。
「〇〇駅 マンション 賃貸」「〇〇市 マンション ファミリー」など、エリアやターゲットを絞って配信し、クリック単価を最適化していくこと必要があります。リスティング広告を出稿した後は、定期的に振り返って分析を行い改善策を講じ、施策の効果を高めていきましょう。
リスティング広告を活用する際、競合が多いキーワードの場合はクリック単価が高くなる傾向がある点には注意してください。
ディスプレイ広告
ディスプレイ広告とは、アプリやWebページの広告掲載枠に表示されるWeb広告です。Google ディスプレイネットワーク(GDN)やYahoo!ディスプレイ広告などの広告ネットワークなどを通じて配信されます。
ディスプレイ広告のメリットは、バナーや動画などで視覚的に訴えかけられる点です。ユーザーの基本属性や興味関心、趣味嗜好などを細かくターゲティングできます。
一方で、主なターゲットが潜在層となるのでクリック率が低いほか、「広告疲れ」により、ターゲットユーザーの関心や興味が失われてしまう可能性があります。
SNS広告
SNS広告とは、FacebookやX、TikTok、YouTube、Instagram、LINEなどのSNS上で配信される広告です。
SNS広告では、年齢や性別、居住地、興味関心、趣味嗜好、購買行動など細かくターゲティングできます。商品・サービスを認知して検討段階にある顕在層だけでなく、ニーズを認識していない顕在層にも効果的にアプローチできます。
多くの企業がSNS広告を利用しているので、差異化を図ることが重要です。自社の強みは何かを明確にすることに加えて、視認性を高めるなどの工夫を凝らしましょう。
SNSアカウント運用
SNSアカウントを運用すると、SNS広告とは異なる層にアプローチできる可能性があります。テキストや画像、ショート動画など、豊富なフォーマットから目的に合ったものを選べるのもメリットです。
WebマーケティングとしてSNSを活用する際は、媒体ごとの特徴やターゲットの属性を理解しておくことが重要です。SNSごとの特徴は、次の通りです。
- Instagram:ビジュアル重視のSNS。ブランドイメージの向上や商品・サービスの魅力を伝えるのに適している。
- X:リアルタイム性が強いSNS。ニュースやキャンペーン情報の宣伝に適している。
- Facebook:実名制のSNS。BtoBマーケティングやコミュニティ形成などに活用できる。
- TikTok:若い世代を中心に利用されているショート動画特化のプラットフォーム。
- YouTube:動画を通じてテキストや画像と比較してより多くの情報を届けられる。物件情報を配信するなどの活用方法がある。
日頃からターゲットを意識して情報を発信し、インフルエンサーと提携するのも良いでしょう。バズを生み出せば一躍トレンド入りし、一気にファンを増やせる可能性もありますが、基本的にはコツコツとコンテンツを積み上げていくことが重要です。
メルマガ・LINE配信
不動産は契約にいたるまでの検討期間が長く、かつ衝動買いで決められるような価格帯ではないことから、一度接点を持ったユーザーとつながっていることが大切です。継続的な接点を持っていることで、必要なタイミングで想起してもらえます。メルマガ・LINE配信の主なターゲットは、一度資料請求や問い合わせをした人です。
この施策を活用すれば、属性ごとにリストを分けて、対象エリアの物件情報を送るなどのアプローチが取れます。新着情報や値下げ情報など、いち早く受け取れる点はユーザーにとってメリットです。
オウンドメディア運営
オウンドメディア運営も、有効なWebマーケティング施策の一つです。オウンドメディアとは自社で保有するメディアの総称で、ホームページやブログ記事、SNSなどが挙げられます。
ここでは、ブログ記事を活用したSEO対策を解説します。
SEO(Search Engine Optimization:検索エンジン最適化)とは、自社のWebサイトやコンテンツが検索結果で上位表示されるようにするマーケティング手法です。ユーザーがGoogle やYahoo!などの検索エンジンを使って、特定のキーワードで検索した際に上位表示されることで、自然流入のトラフィックを増やすことができ、認知度や集客力を高められます。
SEOを考慮したコンテンツを作成すれば、長期的にわたってアクセスを集めることが可能となり、自社のWeb上の資産となります。
ただし、広告とは異なり、施策の効果が見えてくるまでには時間を要する点は把握しておきましょう。
Web媒体に限らず、より幅広いデジタルマーケティング手法について知りたい方は、次の記事も参考にしてください。
不動産業界でWebマーケティングを成功させるポイント
不動産業界でWebマーケティングを成功させる主なポイントは、次の通りです。
- 施策の優先度を決めて取り組む
- 施策に対して適切なKPIを設定する
- ツールを活用する
- 画像や動画を活用して物件イメージを伝える
それぞれのポイントを詳しく見ていきましょう。
施策の優先度を決めて取り組む
不動産業界でWebマーケティングをするにあたっては、市場調査を行い、施策の優先度を決めて取り組むことが重要です。市場調査を実施して市場とターゲットの特性を理解できれば、Webマーケティングの効果を最大限引き出すことができ、顧客に対して強い訴求力を持てるでしょう。
施策の優先度を決めるにあたって、まずは次に示す項目を調査してください。
- 居住者の年齢・性別
- 家族構成
- 世帯人数
- 年収・職業
- ライフスタイル・趣味嗜好
- エリアの家賃相場
- 消費者物価指数
- 競合他社の情報
例えば、「32歳、パートナーと子供と3人暮らし。ファミリー層向けの物件を網羅的に探したい」というペルソナを設定した場合、不動産ポータルサイトへの掲載を優先的に取り組むべきでしょう。このような顧客の状況や背景だけでなく、エリアや競合他社の情報も収集すれば、より自社のマーケティング戦略を明確にできます。
施策に対して適切なKPIを設定する
Webマーケティングを実施するなら、効果測定がしやすい点を活かし、適切なKPIを設定して実行していくのが重要です。達成可能なKPIを設定できれば、目標達成に向けた具体的な行動指針を立てやすくなります。
KPIの一例は、次の通りです。
- コンバージョン数(資料請求・お問い合わせ・物件契約)
- ポータルサイトの閲覧数
- 自社メディアのPV数
- LINE・メルマガの到達率・開封率
- SNSフォロワーの増加数
- リスティング広告のクリック単価
これらのKPIは設定しただけで終わらずに、施策の効果を定期的に振り返りながら達成状況を評価しましょう。
ツールを活用する
不動産業界に限らず、Webマーケティングを成功させるためにはツールを活用するのが重要です。効率的にツールを活用できれば、高度な分析が可能となり、集客の効率化と競合他社との差異化にもつながるでしょう。
次に示すツールの特徴を解説します。
- MAツール
- CRM
- データ分析ツール
MAツール
MA(マーケティングオートメーション)ツールは、見込み客の創出から購買意欲の醸成、成約見込みの高いリードの特定など、マーケティングの一連の流れを効率化できるツールです。広告管理、LP作成、フォーム作成、ポップアップ表示、プッシュ通知などの機能が搭載されています。
マーケティング業務を効率化できるだけでなく、施策の振り返りにより課題やニーズを特定し、マーケティング戦略をさらに最適化させることも可能です。
CRM
CRM(顧客関係管理)ツールとは、顧客と良好な関係を長期的に築けるように、さまざまな要素や施策をマネジメントすること、またはそれを可能とするツールです。
キャンペーンへの応募状況や過去の問い合わせ内容・履歴など、顧客情報の一元管理できる機能や、購買意欲を高めるホットリードへと転換をはかるリードナーチャリングなどの機能が搭載されています。
不動産業界におけるCRMやMAの効果的な活用方法については、こちらで詳しく解説しています。成功事例も紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
データ分析ツール
データ分析ツールも、不動産業界でのWebマーケティングの成果を高めるためには欠かせません。
さまざまなデータ分析ツールがありますが、Google の提供するWebサイトのアクセス解析ツール「Google Analytics」を活用すれば、ユーザーがサイトのどのページを訪問し、どのくらい滞在したか、コンバージョンにつながったかを把握できます。
次の施策のプランを立てる際に役立てることも可能です。例えば、特定の物件のページへのアクセスが多い場合、需要が高いことが考えられるので、広告キャンペーンを強化したり、コンテンツを充実させたりするなどの施策を打てるでしょう。
画像や動画を活用して物件イメージを伝える
ユーザーがWeb上で情報収集していることを考慮し、いかに実際の物件イメージをわかりやすく伝えられるかが大切です。
間取りだけでなく、日当たりや周辺環境など、内見しないとわからないような情報を画像や動画で詳しく紹介しましょう。テキストだけでは伝わらない雰囲気まで伝えられるのが、画像や動画のメリットです。
オフライン施策に加えてWebマーケティングを取り入れてみよう
不動産業界では、消費者行動の変化に伴ってWebマーケティングの重要性が高まっています。
不動産業界で有効なWebマーケティングの手法は、不動産ポータルサイトへの掲載や自社Webサイトの最適化、Web広告、SNSなど、多岐にわたります。
実際にWebマーケティングを実施する際は、市場調査を行ったうえで施策の優先度やターゲットに合ったアプローチを見極め、適切なKPIを設定して施策を打っていきましょう。効果を振り返ったり、より施策の効果を高めたりするために、MAツールなどを活用してみてください。