Webマーケティングにおける分析とは?11種類の手法を徹底解説

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水落 絵理香(みずおち えりか)
水落 絵理香(みずおち えりか)

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Webマーケティングで高い成果を上げるためには、現状把握と分析を通じて、適切なマーケティング施策の策定や、効果検証、改善を行う必要があります。具体的には、Webマーケティングにおける分析の重要性を理解したうえで、データを有効活用できる仕組みを整えることが重要です。

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ただし、分析には多様な手法があるため、まずはそれぞれの特徴を把握し、自社にあったものを取捨選択しましょう。

本記事では、Webマーケティングにおける分析の重要性や、代表的な手法をご紹介します。

Webマーケティングにおける分析とは

Webマーケティングにおける分析とは、収集したデータを複数の要素に細分化し、その性質や構造を明らかにすることです。

企業としてのポジショニングを明らかにしたり、現在の課題を特定したりと、分析の目的はさまざまに異なります。そのため、データ分析においてはPEST分析や5F分析などの多様な手法が用いられます。

分析の対象となるのは、有償・無償のマーケティングツールから得られる情報から、顧客や見込み客へのヒアリング、市場調査から得られる情報などのデータです。さまざまなデータを紐解くことで、Webマーケティングにおける課題が明確になり、解決策や新たな施策のヒントが得られます
 

Webマーケティングで分析が重要な理由

Webマーケティングで分析が重要とされる理由に挙げられるのが、インターネットを用いた情報収集の一般化にともなう競争の激化です。

例えば、Web広告の領域では、2007年からの15年間でWeb広告費の総額が約5倍に増加しています(参考:「2022年 日本の広告費」解説|電通報)。また、SEOの領域でも膨大なコンテンツがWeb上に公開されており、レッドオーシャンと化しています。

このような環境下で競争優位性を確保するには、いかに効率良くWebマーケティングの最適解を求め、各施策へと反映できるかが重要です。そのためには、自社の現状を踏まえ、最適な施策を策定・実行し、分析によって繰り返しPDCAサイクルを回転させましょう。
 

Webマーケティングにおける分析の方法

Webマーケティングに用いられる主な分析手法は次の通りです。

  1. PEST分析
  2. ファイブフォース分析
  3. 3C分析
  4. 4C分析
  5. 4P分析
  6. STP分析
  7. VRIO分析
  8. SWOT分析
  9. ファネル分析
  10. RFM分析
  11. バスケット分析

分析手法によって役割や効果が異なるため、それぞれの特徴を理解して適切な手法を検討しましょう。
 

1. PEST分析

PEST分析

PEST分析とは、「Politics(政治)・Economy(経済)・Society(社会)・Technology(技術)」の4つの項目による自社への影響を分析し、マーケティング戦略を構築する手法です。

例えば、Web広告やWebサイト運営において個人のプライバシーを保護する動きが加速している問題は、政治領域に含まれます。Webマーケティングと密接に関係する問題点であるため、GDPR(一般データ保護規則)違反において想定されるリスクやその影響を予測することが大切です。

 

2. ファイブフォース分析

ファイブフォース分析

ファイブフォース分析とは、「競合の脅威・代替品の脅威・新規参入の脅威・買い手の脅威・売り手の脅威」の5つの項目から業界全体の状況や競合他社の動向を明らかにし、自社の収益性を検証する分析手法です。

本来は、市場における自社の強みや弱みを明確にするために用いられる手法であり、Webマーケティングでは、競合他社が見落としている顧客ニーズを発見するなど、自社の競争優位性の把握に役立ちます。

 

3. 3C分析

3C分析

3C分析とは、「Customer(市場・顧客)・Company(自社)・Competitor(競合)」の3軸をもとに、自社の強みや弱み、顧客ニーズを明らかにする分析手法です。内部環境と外部環境の両面に着目することで、KSF(Key Success Factor:成功要因)の発見へとつながり、事業の成功のために進むべき方向性が明らかとなります。

顧客視点でWebマーケティングを進められるよう、最初に「市場・顧客」の要素から検証することが大切です

 

4. 4C分析

4C分析

市場や競合他社に重きを置く3C分析に対し、より顧客を重視するのが4C分析です。「Customer Value(顧客価値)・Cost(顧客コスト)・Convenience(利便性)・Communication(コミュニケーション)」の4項目が分析対象となります。

4C分析は、顧客視点から自社商品・サービスの強みや弱みを発見できるのが利点です。結果として、競合他社との差異化や付加価値の創出などに効果を発揮します。

 

5. 4P分析

4P分析

顧客・買い手視点の4C分析に対し、4P分析は企業・売り手視点の分析手法です。「Product(製品・サービス)・Place(販売場所・提供方法)・Price(価格)・Promotion(販促活動)」の4つの視点から、自社商品・サービスを分析します。

市場や消費者の嗜好を分析する際は4C分析、具体的な施策を立案する際は4P分析と使い分けるのが理想的です。

 

6. STP分析

STP分析

STP分析は、市場全体における自社商品・サービスの立ち位置を明確にするための分析手法です。「Segmentation(セグメンテーション)・Targeting(ターゲティング)・Positioning(ポジショニング)」を軸に、市場の全体像や狙うべき市場を明らかにします

STP分析は、商品やサービスの強み・弱み、他社と差異化できるポイントを把握する際に役立ちます。Webマーケティングでは、「どの立ち位置から・どのような顧客に・どうやって製品をアピールするか」の観点からプロモーション戦略を構築するのに有用です。

 

7. VRIO分析

VRIO分析

VRIO分析は、社内の経営資源であるヒト・モノ・カネ・情報が、他社よりもどの程度優位にあるかを分析するための手法です。

「Value(経済的価値)・Rarity(希少性)・Inimitability(模倣困難性)・Organization(組織)」の4つの指標をもとに自社と競合他社を比較します。すべての要素で競合他社をしのぐことができる持続的競争優位を築くために用いられます。

 

8. SWOT分析

SWOT分析

SWOT分析は、自社の内部環境と外部環境におけるプラス要素とマイナス要素を洗い出し、現状を把握するための分析手法です。

横軸にプラス要因とマイナス要因、縦軸に内部環境と外部環境を設定します。そして、「Strength(強み)・Weakness(弱み)・Opportunity(機会)・Threat(脅威)」の4つの軸から、現状を客観的に把握します

機会を最大化し、脅威を最小化できるよう、Webマーケティング戦略を構築するのがポイントです。

 

9. ファネル分析

ファネル分析

ファネルとは、商品を認知してから購買へと至る一連の流れを図式化したものを指します。顧客の行動プロセスを「認知・興味関心・比較検討・購入」の4つに細分化し、購買を決定する傾向や、顧客が離脱する要因などを把握するのがファネル分析です。

ファネル分析では、各フェーズにおける離脱率を計測するのが一般的です。最も離脱率が高いフェーズに課題を見出すことができ、改善策を立てられます。

一般的に、一つのボトルネックを解消すると、別のボトルネックが発生します。ボトルネックの特定と改善を繰り返すことで、Webマーケティングの最適化が図れます
 

10. RFM分析

RFM分析

RFM分析は、「Recency(最終購入日)・Frequency(購入頻度)・Monetary(購入金額)」を軸にした顧客分析手法です。「購入頻度が高く、購入金額も大きい顧客」などの条件によって顧客をグループ化し、それぞれの傾向を分析します。

Webマーケティングにおいては、顧客の属性に応じたアプローチを効果的に実施できるようになり、CV率向上などの成果につなげやすくなります

 

11. バスケット分析

バスケット分析とは、同じタイミングで購入されることが多い商品の傾向を分析する手法です。

バスケット分析の分析項目は次の4つに分かれます。

  • 支持度:全体の購入数のなかで複数の商品が同時に購入される割合
  • 信頼度:特定商品の購入により別の商品が購入される割合
  • 期待信頼度:全体の購入数のなかで特定の商品が購入される割合
  • リフト値:商品同士の組み合わせをもとに同時購入の偶然性を検証する指標

これらの分析により、クロスセルに最適な商品の組み合わせや、同時購入の確度が高いユーザーの発見につながります。例えば、商品Aと商品Bの同時購入率が高い場合において、商品Aの販売ページに商品Bを関連商品として提案すれば、購買率の向上が見込めるでしょう。
 

Webマーケティングで分析を行う際のポイント

Webマーケティングでは、さまざまなデータを収集できる一方で、やみくもに分析を行っても成果が出ない可能性があります。分析を行う前に次のポイントを意識して、準備を行いましょう。
 

分析目的(データの活用範囲)を明確にする

Webマーケティングにおいてデータ分析を行う際は、収集・分析にとどまらず、分析結果をどのように活用するのか、明確な目的を設定することが重要です。

例えば、新たなWebマーケティング戦略の策定や現状の問題点の特定などが目的として挙げられます。

目的が明確になれば、収集・分析すべきデータの種別が明らかになります。収集するデータを絞り込むことで、効率的な分析業務が可能となるでしょう。
 

ゴールや目標をKPIツリーで可視化する

データを正確に分析し、効果検証を効果的に行うためには、KPIツリーを使ってゴールや目標を可視化することが大切です。

KPIツリーとは、ひとつのKGI(最終目標)から逆算して複数のKPI(中間目標)の関係性を整理するツールです。

KPIツリー

KPIツリーを活用すれば達成すべき指標が明確になり、KPI同士の相互関係も把握しやすくなります。組織内で目標達成に向けた共通認識を形成したい場合に有効です。

 

分析機能を持つツールを有効活用する

データ分析機能を持つツールを活用すれば、効率的なデータ処理や分析精度の向上が期待できます。施策の立案や実施、課題の特定、改善も容易に行えるでしょう。

分析機能を持つ代表的なツールは次の通りです。

  • MA(マーケティングオートメーション)ツール:
    マーケティング施策を管理、自動化、効率化できるツール。Webサイトの運営やメール配信、広告管理などを単独のシステムで実行できる。見込み客の情報を一元管理でき行動分析ができるほか、施策ごとの効果を分析する機能も備わっている。
  • SFA(営業支援システム):
    受注状況や売上データ、営業活動の進捗などを一元管理できるツール。営業プロセスにおける課題の発見や、各担当者のパフォーマンス分析が可能。
  • BI(ビジネスインテリジェンス)ツール:
    企業に蓄積されたデータやビッグデータなどを集約し、分析・可視化するためのツール。基幹システムや業務システムなど、複数のシステムのデータを統合・分析し、経営判断や課題解決に役立てられる。
  • アクセス解析ツール:
    Webサイトの効果検証を行えるツール。PV数やページ離脱数、アクセス元のチャネルなどのさまざまな指標を把握でき、改善に活かせる。

HubSpotのMAツール「Marketing Hub」を活用すると、マーケティング施策の最適化が行えます。システム上でデータを一元管理することで、広告など各施策の成果を計測できるほか、AIアシスタントによるコンテンツの生成支援、見込み客の創出から成果につながるまでの流れの可視化も可能です。次のページで詳細をご紹介していますので、参考にしてください。

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分析を通じてWebマーケティングを最適化しよう

Webマーケティングにおいて、データ分析は現状の課題を明らかにし、解決策のヒントの創出に効果を発揮します。効果的な分析によってWebマーケティングの各施策を最適化でき、成果の向上が期待できるでしょう。

分析結果を成果につなげるには、目的の明確化やKPIツリーの作成といった準備に注力することが大切です。また、分析業務を効率化し、効果を最大化するために、データ分析機能を持つツールを導入するのもおすすめです。

本記事でご紹介した手法を活用し、Webマーケティング施策の実施にぜひお役立てください。

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