Webマーケティングには、集客・認知拡大やナーチャリング、CV促進など、さまざまな施策があります。
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施策の目的やプラットフォームの特性に合わせて適切なKPIを設定することで、マーケティング活動の効果を客観的に評価できるでしょう。Webマーケティングで確認しておくべきデータも明確になります。
本記事では、Webマーケティングの代表的なKPIを施策別に解説します。KPIの設定手順やポイントも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
【施策別】Webマーケティングの代表的なKPI
Webマーケティングの施策は集客やナーチャリングなどの複数の種類に分けられます。ここでは、施策ごとの代表的なKPIを紹介します。
- 集客・認知拡大:Web広告・オウンドメディア・SNS
- ナーチャリング:メルマガ・ウェビナー・パーソナライゼーション
- CV促進:LP・ECサイト
- ロイヤルティ向上:SNS・コミュニティ
集客・認知拡大
集客・認知拡大向けの施策はWeb広告やオウンドメディア、SNSが代表的です。KPIの例をそれぞれ見ていきましょう。
Web広告
集客や認知拡大を目的とする場合、潜在層への訴求が可能なリスティング広告や動画広告、SNS広告などを活用するのが一般的です。Web広告にはディスプレイ広告、リスティング広告、動画広告、SNS広告などの種類があります。
主な指標は次の通りです。
- インプレッション数:広告が表示された回数
- ビューアブルインプレッション数:ユーザーが視認できる範囲内に表示されたインプレッション数
- インプレッション単価(CPM):広告の表示回数1,000回あたりの費用
- リーチ数:広告を閲覧したユーザー数
- フリークエンシー:同一ユーザーに広告が表示された回数
オウンドメディア
オウンドメディアとは、コーポレートサイトやブログ、ポータルサイトなどの総称です。オウンドメディアを通じてユーザーにとって価値の高い情報を発信することで、商品・サービスの認知拡大やアクセス数の増加につながります。
主な指標は次の通りです。
- PV(ページビュー)数:特定のページが閲覧された回数
- UU(ユニークユーザー)数:一定期間におけるWebサイトを訪問した実人数
- セッション数:Webサイト全体の訪問数
- 直帰率:別のページに遷移せずにページを離脱したユーザーの割合
- 検索順位:検索エンジンの検索結果に表示される自社サイトの順位
- オーガニック流入数:検索エンジン経由での自社サイトの訪問数
SNS
ユーザーは、SNSをリアルタイムの情報収集の場として活用しています。基本的なマーケティング戦略はオウンドメディアと同様で、ユーザーにとって価値のある情報を発信し続けることが最も大切です。
主な指標は次の通りです。
- フォロワー数:自社アカウントをフォローしているユーザー数
- いいね数:特定の投稿に対する「いいね」の数
- コメント数:特定の投稿に対するコメントの数
- オリジナルハッシュタグの使用回数:独自に作成したハッシュタグを使用するユーザーの数や投稿数
ナーチャリング
ナーチャリングとは、潜在客や見込み客との関係性を深め、徐々に購買意欲を醸成していく手法です。ここでは、ナーチャリングの施策として代表的なメールマガジンとウェビナーの主要なKPIを確認しましょう。
メールマガジン
メールマガジンでは、自社独自のコンテンツを定期的に配信します。ユーザーが繰り返し自社のコンテンツに触れるため、関係性が強化されてナーチャリングへとつながります。
主な指標は次の通りです。
- 配信数:メールを送信した総数
- 配信成功率:配信数のうちユーザーに届いたメールの割合
- 開封率:メールを開いたユーザーの割合
- クリック率:配信成功数のうちメール本文のURLをクリックした割合
- 反応率:開封数のうちメール本文のURLをクリックした割合
ウェビナー
ウェビナーとはオンライン上で開催するセミナー全般を指します。主な指標は次の通りです。
- 申込率:ウェビナーに申し込んだユーザーの割合
- 出席率:申込者のうちウェビナーに出席した割合
- 出席者の満足度:ウェビナーの内容にどの程度満足したかを表す指標
ウェビナーによるナーチャリングは、リードのフォローアップや商品プロモーションなど、開催する目的が異なる場合があります。目的が異なればKPIにも差が現れます。
例えば、リードのフォローアップであれば、継続参加率や資料請求数などの指標が重要です。商品プロモーションが目的の場合、見積もり件数や個別相談件数をKPIとして設定するのが良いでしょう。
CV促進
CV(コンバージョン)促進は、LPやECサイト上で行います。各施策の代表的なKPIは以下の通りです。
LP
LP(ランディングページ)は、Web広告などをクリックした際の着地点となるページを指します。単一の縦長のページに、キャッチコピーや商品・サービスの魅力、クロージングなどを記載し、CVを促すのが一般的です。
主な指標は次の通りです。
- PV数:LPの閲覧数
- クリック数:ページ内のCVボタンやURLのクリック数
- 入力完了率:フォームを離脱することなく入力を完了したユーザーの割合
- CVR(コンバージョン率):資料請求やメールマガジン登録といった当初の目的を果たした割合
- 離脱率:LPから離脱したユーザーの割合
ECサイト
ECサイトで商品やサービスを販売する際は、訪問ユーザーがスムーズに購買へと進めるよう、導線を整えることが重要です。そのうえで次のような指標を設定しましょう。
- 訪問者数:ECサイトを訪問したユーザー数
- 回遊率:1人のユーザーがサイト内を回遊したページ数の割合
- 入力完了率:フォームを離脱することなく入力を完了したユーザーの割合
- 購入率:訪問者数のうち購入に至った割合
- 平均単価:顧客の購入金額の平均値
- リピート率:リピート購入に至った割合
ロイヤルティ向上
ロイヤルティは、商品やブランドに対する「忠誠心」や「愛着」を意味する言葉です。ロイヤルティを向上させるには、SNS上でユーザーとコミュニケーションを取ったり、コミュニティを運営したりする方法があります。同じSNSでも集客・認知拡大の場合とはKPIが異なるため注意が必要です。
SNS
SNSは集客や認知拡大だけでなく、ロイヤルティの向上にも効果を発揮します。ソーシャルリスニングを用いたVOCの収集、製品の改良・サービス品質の改善などが代表的な施策例です。また、SNSを問い合わせツールとして活用し、迅速かつ的確な回答で顧客の心をつかむのも一案です。
ロイヤルティ向上にSNSを活用する場合は、次のようなKPIを採用できます。
- エンゲージメント率:投稿に対して「いいね」やコメントなどのアクションを行ったユーザーの割合
- 指名検索数:企業名やブランド名などで検索された回数
- UGC(ユーザー生成コンテンツ)数:ユーザーが任意に投稿している自社の商品やサービスに関連するコンテンツの数
- クーポン利用率:配布したクーポンに対する利用割合
- NPS:独自アンケートによって割り出される自社商品やサービスの推奨割合
コミュニティ
コミュニティサイトやオンラインサロン、ライブコマースなど、独自のコミュニティを構築するのもロイヤルティを高める施策です。掲示板を利用した他者とのコミュニケーションやフォーラムによる課題解決などを通じて、UXを改善することで、ロイヤルティも向上します。
主な指標は次の通りです。
- 会員数:コミュニティに登録したユーザー数
- アクティブユーザー数:定期的にコミュニティを利用しているユーザー数
- コンテンツ数:コミュニティに投稿されたコンテンツの総数
- 質問への回答数:ユーザーの質問に対して他ユーザーが回答した総数
WebマーケティングにおけるKPIの設定手順
ここでは、WebマーケティングにおけるKPIの設定手順を解説します。
- KGIの設定
- KSFの設定
- KPIの設定
KPIとKSFは、企業の最終的な目標となるKGIから逆算して設定します。そのため、最初にKGIを設定するのがポイントです。KGIを頂点に設定し、そこからKSF・KPIをツリー状に構成する目標設定の形式を「KPIツリー」と呼びます。
1. KGIの設定
KGI(Key Goal Indicator)とは、組織やプロジェクトの最終的な目標です。売上高や利益率、契約数など、ゴールとなる指標をひとつだけ設定します。
WebマーケティングのKGIは、事業全体のKGIから逆算する形で設定するのがポイントです。
例:事業全体の年間目標売上高が100億円の場合
- Web経由の新規顧客による売上が20億円
- 既存顧客による売上が60億円
- 紹介で発生する商談など、その他の方法による売上が20億円
KGIをツリーの頂点に設定し、そこから逆算してKSFやKPIを決定します。
2. KSFの設定
KSF(Key Success Factors)とは、KGIを達成するための成功要因となる目標です。KGIという最終ゴールを、KSFとして複数の要素に細分化します。KGIが売上目標だった場合、販売数や平均単価などのKSFが発生するイメージです。
Webマーケティングの場合は、コンバージョンが発生するまでの流れをロードマップに整理するとわかりやすいでしょう。「自然検索→Webサイト訪問→サイト内回遊→資料請求→アポ獲得→商談→受注」といった形です。そして、フェーズごとにKSFを洗い出し、ツリー状に整理します。
3. KPIの設定
KPI(Key Performance Indicator)とは、目標達成度を計測するための指標です。具体的には、前述したKSFを具体的な数値に落とし込んだものを指します。
「ページビュー10万→(5%)問い合わせ・資料請求件数5,000件→(20%)商談数1,000件」のように、ロードマップに沿って目標値を設定しましょう。
WebマーケティングでKPIを設定する際のポイント
WebマーケティングでKPIを設定する際は、目標に具体性を持たせたり、俯瞰的に目標を捉えたりといったポイントを意識することが重要です。詳しく見ていきましょう。
SMARTの法則を意識する
SMARTの法則は、次の5つの要素で成り立っています。
- Specific:具体的な目標であるか
- Measurable:測定可能な目標であるか
- Achievable:達成可能な目標であるか
- Related:経営目標と密接な関わりがあるか
- Time-bound:明確な期限が設定されているか
例えば、目標値があまりにも高すぎると、目標達成が困難になり、従業員のモチベーションが低下してしまう可能性も考えられます。そのため、上記5つの要素を満たした目標を考えましょう。
単体の施策(点)ではなくマーケティング全体(線)で捉える
Webマーケティングの評価は、施策単体(点)で行う場合と、マーケティング活動全体(線)で行う場合があります。
施策単体で行う評価は、各施策の細かな調整や改善に役立ちます。一方で、各施策をつなげて「マーケティング活動全体」として評価することは、企業の最終的なゴールであるKGIに近付いているかどうかを判断するうえで重要な視点です。
日々のマーケティング活動では、個別の施策の成果を意識しがちですが、俯瞰して全体を評価することも忘れないようにしましょう。
効果検証のみにとどまらず改善を繰り返す
KPIは、目標と実績の差異をリアルタイムで確認するための便利な指標です。しかし、効果検証ばかりに時間を取られ、施策ごとの最適解を見出せないようでは意味がありません。
目標と実績との差から、どのような部分に課題を抱えているか、そしてそれをどのように改善するか仮説を立てましょう。効果検証・仮説立案・改善のPDCAサイクルを繰り返し回転させ、KPI設定の精度を高めることが大切です。
データ解析ツールを整備する
Web上から取得できる情報は、同じくWeb上で利用できるデータ解析ツールを使うのが効果的です。実施する施策によって利用可能なツールが異なるため、複数の選択肢を比較して運用体制を整えましょう。
具体的には、Webサイトを運用する際はアクセス解析ツール、Web広告なら広告効果測定ツールなどの種類があります。必要に応じて、異なるプラットフォーム同士のデータを連動させるDWH(データウェアハウス)やプライベートDMPを導入するのも方法のひとつです。
適切なKPIを設定してWebマーケティングを最適化しよう
KPIは各施策の効果を適切に見極め、方向性を修正するうえで有効です。施策やプラットフォームといった個別の切り口でKPIを確認することも重要ですが、それぞれのデータを「点」ではなく「線」として捉える視点も持ちましょう。それにより、新たな課題が見つかることがあります。
ロードマップやカスタマージャーニーマップ、KPIツリーの作成などによって、データを線で見るための準備を整えましょう。データ解析のためのツールも必要不可欠です。
効果的な改善につながるよう適切なKPIを設定し、Webマーケティングの全体最適化を図りましょう。