これからBtoBマーケティングに力を入れていこうと思っている方は、どのようなマーケティング活動を行っていけばよいかしっかりとイメージ出来ていますか?

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BtoB商材の顧客の購買活動には決裁プロセスが存在することから顧客の製品購入に合理性が求められたり、検討期間が長期にわたり検討項目も多岐にわたったりするという特徴があります。

この記事では、こうしたBtoB商材の顧客特性を受けてどんなポイントを押さえ、どんな手順でBtoBマーケティングを進めていけばよいかを解説します。ぜひ参考にしてみてください。

顧客を惹き付けるためのデジタルマーケティング戦略ガイド

BtoBとBtoCの違い

「BtoB」とはBusiness to Businessの略で、法人顧客相手(企業間取引)ビジネスを示します。

対してBtoCとはBusiness to Consumerの略で消費者を対象としたビジネスを示します。両者の間には下記のような違いがあります。

toCの取引の場合、顧客は個人であり、多くの場合で購買に関する意思決定は本人がするのに対し、BtoBマーケティングの場合の顧客は法人企業です。

「意思決定者」「購買窓口」「利用者」「助言者」など多くの人が関わります。

また、関与者が複数にわたることも影響して、検討期間が長期にわたることが多いのも特徴です。

場合によっては検討期間が1年~2年、長い場合は3年以上ということもあり得ます。

なぜなら、企業においては商品やサービスの購入を必要とする課題が生じてから複数の人間が吟味し、予算を確保して購入するまでの手続きに時間がかかる傾向があるためです。

また購入に際しての検討項目も多く、特に導費用対効果を考慮して判断するため、他の方法や類似の商品サービスと比べてどうなのか、常に合理的な判断が求められます。

 

なぜ今、BtoBマーケティングが重要視されているのか

BtoBの顧客の購買行動は近年大きく変化していると言われており、その要因として急速なインターネットの普及が挙げられます。

インターネットの普及により、顧客はウェブを利用して容易に商品やサービスの情報を収集し比較できるようになりました。

そのため、顧客の流動性が高まり、従来の営業スタイルに依存しているだけでは顧客が流出してしまう可能性がでてきてしまったのです。

購買行動は顧客が営業マンと直接接触するはるか前から始まっており、直接接触する時にはすでに、ある程度製品・サービス、または業者の選定がなされた後だということが多くなってきています。

実際、トライベック・ブランド戦略研究所が行った調査:BtoBサイト調査結果分析2017「第1回:仕事上の製品・サービスの情報源」によると、BtoBユーザーに「製品・サービスについての情報を普段どのようなところから得ているか」という質問の回答結果をみると、最も回答者の割合が高かったのは「企業のウェブサイト」(64.8%)でした。

企業のウェブサイトが製品・サービスの情報源として重要な位置を占めていることがわかります。

出典:トライベック・ブランド戦略研究所/BtoBサイト調査結果分析2017「第1回:仕事上の製品・サービスの情報源」

このように、製品を提供する企業側がいかに早く潜在顧客に情報を届けられるかがカギとなり、アプローチ方法は従来の「アウトバウンド」から「インバウンド」に移行していると言えます。

このような環境で重要となるのは、顧客の求める情報をいかに顧客のニーズに沿って、最適のタイミングで届けられるかということです。

「顧客が求める情報」という点について、以下のグラフを見てみてください。

出典:トライベック・ブランド戦略研究所/BtoBサイト調査結果分析2017「第6回:BtoBサイトで利用したいサービス」

先ほどと同じく、トライベック・ブランド戦略研究所が行ったサイト調査結果分析2017「第6回:BtoBサイトで利用したいサービス」によると、「BtoBサイトで利用したいサービス」で最もポイントが高かったのは、「製品・サービス選定を支援する機能」(61.6%)。

次は「製品・サービスの購入」(57.4%)などのECに関するものですが、ここで注目すべきなのは、3位にある「業界動向・技術動向がわかるコンテンツ」(54.2%)のような周辺情報も顧客は欲しているということです。

上記のデータをさらに整理すると、潜在顧客の求める情報は以下のように分類できます。

製品にする情報

・製品・サービス選定を支援する機能

・新製品情報のお知らせ機能

・動画での製品、サービス紹介、使用方法紹介

・よく使う機能やページの意味

・製品サービスの試用申し込み

・修理依頼サービス

・展示会や講習会の参加申し込み

 

購入に関する情報

・製品サービスの購入

・見積もりシミュレーション

・担当者への訪問依頼

・問合せや回答履歴の保存

 

製品には直接的には関係しない周辺情報

・業界動向、技術動向が分かるコンテンツ

・社内資料作成に役立つ素材

・スキルアップに役立つコンテンツ

・用語集などの辞書系コンテンツ

こうして分類してみると、製品や、購買に関する情報を求めるのと同じように、製品には直接関係しない周辺情報も求められているということが見て取れます。

例えば、業界動向や技術動向。これは、業界によっては技術進歩が速く、ユーザーが情報を収集し理解していくことが難しい場合もあり、そのような内容をユーザーの代わりにまとめて紹介するコンテンツは潜在顧客にとって有用であるということです。

また社内資料作成に役立つ資料というのも注目です。これはBtoBにおいては常に決裁者が存在することに関係します。

製品を選択している担当者は最終的には複数メーカーの製品を比較して、導入する製品を決裁者にプレゼンしなければなりません。

こうした時にそのプレゼン資料の作成をサポートするコンテンツを提供したらどうでしょう?そのコンテンツを提供しているメーカーの、製品やサービスを決裁の段階まで進めてもらえる可能性は高まり、その企業への信頼も増すでしょう。

このようにBtoBマーケティングを行う際は、顧客が製品/サービスに直接的に関わるもの以外の様々な情報を収集、吟味していることを考慮しなければなりません。

 

日本のBtoBマーケティングの現状

従来の営業主体のマーケティングでは、直近の売上や契約を求められるため、すでに課題が顕在化し購買行動に移っている顧客を対象にします。

つまり1〜3か月で商談・契約が期待できる確度の高い見込み客を主体にアプローチする反面、中長期で検討する見込み客にはアプローチはせず、放置せざるをえないということです。

しかし欧米のマーケティングコンサルティングファーム「sirius decisions」の調査では、見込み客の75%はすぐに自社製品・サービスを購入しないものの、そのうちの約80%は2年以内にその商品・サービスや同業他社の類似商品を購入していることがわかりました。

つまり、その後の育成次第では自社の製品やサービスを購入する可能性があった見込み客のフォローを行わないと、同業他社に購入のチャンスを与えることになってしまうのです。

出典:マーケティングコンサルティングファーム「sirius decisions」の調査

 

見込み客(リード)を中心にしたマーケティングへ

ここで大切になってくるのが「リードナーチャリング」という考え方です。

リードナーチャリングとは、まだ購買確度が高まっていない初期段階の見込み客に対して、彼らに有益な情報や自社製品・サービスを案内し、営業チームに引き継ぐ前に購買が見込める状態にリードを絞り込むための仕組みです。

そのために重要なのは、見込み客の「購買行動のプロセス」を把握することです。

自社の見込み客が購買行動の中のどの位置にいるのかを把握し、どの見込み客に対してどんな情報を提供し、購買確度を高めていくかを決めていきます。

今後のBtoBマーケティングでは、いかに早く潜在顧客に情報を届け、関係性を築いていけるかがポイントになるでしょう。

またBtoBマーケティングはリード獲得だけでなく、セールス連携による顧客化・商談化など一連のプロセスで見ていくことが重要です。

日本ではマーケティングにおいて”企業”単位のアプローチを行うことが多く、 “人”を軸に活動する部署やリソースは少なかったため 見込み客に対しては案外無頓着であることも多かったのが現実です 。

見込み客単位でオンライン、オフラインの接点をマネージメントしていく上で、デジタルテクノロジーの活用は欠かせません。

→ダウンロード: リードナーチャリングの基礎無料ガイド

BtoBマーケティングを戦略的に進めるために

ではBtoBマーケティングを進めるにあたって、押さえておくべきポイントを整理してきましょう。

BtoBマーケティング成功の大きなポイントは「顧客ニーズの把握」、「適切なタイミングでの情報提供」、「キーマンの把握」の3つです。

 

1. 見込み客のニーズを把握すること

ニーズとは、顧客がその製品やサービスを求める理由です。

人々が生活あるいは仕事を遂行する上で、理想とする状態と現実には必ずギャップがあります。ニーズとは、このギャップを解消したいという「欲求」です。

そもそもニーズがなければ、お客様は商品やサービスの購入を検討しませんから、受注に結びつけることはできません。

BtoBマーケティングでは、顧客の目的と課題を把握し、解決策として自社製品やサービスを提供することで、見込み客のニーズに応えることになります。

そのために重要なのがペルソナの設定です。

BtoBマーケティングでは、1つの対象に対して「個人」と「企業」2つのペルソナを設定します。

担当者などの個人のペルソナに加えて、それらの個人が所属する企業のペルソナを用意しましょう。

担当者の特徴によって購入プロセスが変わることもありますが、その会社の規模や文化、しきたりに購買行動プロセスが左右されることも少なくありません。

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2. 適切なタイミングでの情報提供

ニーズが明らかになった後でも、そのニーズに応える情報を適切なタイミングで伝え、購入をしようという動機づけをしなければ受注には結びつきません。

例えば、オフィス用のプリンターを入れ替えようとしている企業担当者がいたとします。その担当者は最近のプリンターで出来ることのトレンドを調べている段階でまだメーカー比較までには至っていないとします。

そこにあるメーカーが「いまなら10%オフキャンペーン」という期間限定特典情報を送ったとしたら、見込み客の購買につながるでしょうか?

安ければなんでも良いという見込み客なら良いかもしれませんが、相手は企業での導入を検討している担当者であり、そこで導入した機器はこの先何年も使用する機器です。

様々なメーカーの製品を比較便診したうえで、自社に最適の機種を選ぶ必要があり、安いだけで購入を検討する可能性は低いと言えるでしょう。

この段階の見込み客に対して行うべきなのは特典価格の情報ではなく、最新プリンターで出来ることの分かりやすい解説やそこから生まれるメリットの情報を自社製品の機能と組み合わせて訴求することです。

このように見込み客の検討段階を見極め、その状態に即した情報を提供することが大切です。

そのような情報提供の企画に役立つのがカスタマージャーニーです。

BtoBマーケティングでも、顧客視点が必要です。カスタマージャーニーは、顧客の行動や感情の変化を時系列で可視化したものです。

繰り返しになりますが、お客さまは、何かに課題を抱えており、課題を解決するために情報収集をします。

展示会やセミナーへの出席、資料のダウンロードなどを通じて選択肢を絞りこみ、最終的にいくつかの企業に連絡することで、購入の検討を進めます。

顧客の段階と感情の変化をカスタマージャーニーマップで明らかにすることで、自社の顧客接点の改善点を見出します。

顧客の感情の変化をお客さまの立場で考えることで、顧客視点で自社とお客さまの接点を見直せます。

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3. キーマンを抑える

前述したとおり、BtoBの取引では購入にいたるまでの意志決定への関与者が多いため、キーマンを見極める必要があります。

製品が素晴らしく担当者の心を掴めていたとしても、他の製品との優位性を示さなければ決裁者は納得しません。

また他社製品に比べ優れていたとしても、運用やメンテナンス体制などその企業自体に信頼性がなければ、決裁者はリスクヘッジが出来ません。

そうした決裁者特有のニーズに対して、自社製品のメリットを実感していただくための無料トライアルなどの機会を提供することが、BtoBマーケティングでは必要となります。

 

BtoBマーケティングの具体例

ここまではBtoBマーケティングを進める上でのポイントを説明してきました。しかし大切なのはそれらを実践して体系的な理解をすることです。

ここからはHubSpotが実際にサポートしてきたBtoBマーケティングの具体例をケースごとに示していきます。

 

オンラインでのリード獲得数80%増。メールの回帰率が40%上昇。クリック率は70%以上へ

「東洋ビジネスエンジニアリング株式会社様」での例

東洋ビジネスエンジニアリング株式会社(以下、東洋ビジネスエンジニアリング)では、これまで、セミナーの実施や、展示会への出展により新規顧客を獲得していました。

しかし、製品が一般に広く普及していくに従い、アナログ的なやり方では、以前のようなパフォーマンスを出すことが難しくなりました。

そうした状態を脱するために、HubSpotを利用したインバウンドマーケティングをスタート。

以前は1週間必要だったウェブの修正などが1時間で完了するほど作業時間が大幅に削減できた上に、特定セグメント(特定顧客層)向けメールの回帰率が40%ほどに上昇。HubSpot導入から1年数ヶ月で大きな効果を出しました。

東洋ビジネスエンジニアリング株式会社

新規事業立ち上げをHubSpotと。ウェブ経由で月間数百件のCV獲得に成功!

「株式会社構造計画研究所様」での例

株式会社構造計画研究所(以下、構造計画研究所)は、60年以上の歴史を持つ老舗企業です。大阪城天守閣、六本木ヒルズ森タワーや東京ベイコート倶楽部ホテル&スパリゾート、上海環球金融中心(中国)ほか、超高層建築物などの構造設計を多数行ってきました。

現在は地震や津波のシミュレーション事業を展開するほか、蓄積したデータを活用するためのコンサルティング業務も実施。同社の事業は、様々な分野に及びます。

これまで、設計やシステム開発など、ソフトウェアビジネスを拡大してきた構造計画研究所ですが、2016年には社内初のハードウェア事業として、「RemoteLOCK (リモートロック)」の販売を開始しました。

既存のビジネスでは1件あたり1,000万円から数億円とボリューム感のあるビジネス。

しかし、「RemoteLOCK」は1台3.5万円からと、従来事業とは、ターゲット層も価格帯もまったく異なります。

そこで可能な限り効率の良い販売方法を検討した結果、デジタルマーケティングを行うことになったそう。HubSpotを導入後、ウェブ経由で月数百件の資料請求・問い合わせを獲得しています(取材当時)。

株式会社構造計画研究所

 

まとめ

マーケティングを行っていると自社製品に関する情報を集中的に発信したいと考えがちです。

しかし顧客はウェブを利用して容易に商品やサービスの情報を収集して比較できるようになったために製品の情報は既に把握しており、その情報を届けるだけでは差別化できないのが現実です。

そのため、自社製品に関わらないものも含め、いかに早く顧客が必要とする情報を届けられるかが関係性構築の鍵となります。

顧客が必要とするのは、顧客の求める情報をいかに、顧客のニーズに沿って、最適のタイミングで届けられるかということ。

情報を届ける際には下記の3点を意識しましょう。

  1. 見込み客のニーズを把握
  2. 適切なタイミングで情報提供
  3. キーマンを抑える

ファーストステップとなる見込み客のニーズ把握にはペルソナの作成が役立ちます。。見込み客はどんな人物で、どんな状況にあり、どんなことに困っているのか。

それを具体的に掘り下げることで、その人が商品を購買するまでにどんな思考を経るのかがイメージできるようになり、カスタマージャーニーマップを描いて適切なコミュニケーションを取れるようになります。

HubSpotではペルソナの作り方が簡単に進められる無料テンプレートをご用意していますので、ぜひご活用ください。

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顧客を惹き付けるためのデジタルマーケティング戦略ガイド

 顧客を惹き付けるためのデジタルマーケティング戦略ガイド

元記事発行日: 2019年10月30日、最終更新日: 2023年8月25日

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