インサイドセールスの立ち上げを成功させるには?手順と組織づくりのポイント

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水落 絵理香(みずおち えりか)
水落 絵理香(みずおち えりか)

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非対面の営業活動を意味するインサイドセールスは、対面営業(フィールドセールス)に代わって新しく登場した営業の形です。インサイドセールスチームを立ち上げて成果を上げるには、マーケティング部門やほかの営業チームとの役割分担が重要です。関係者全員がインサイドセールスの目的や役割を理解したうえで、うまく連携できるような体制構築を検討しましょう。

インサイドセールスの立ち上げを成功させるには?手順と組織づくりのポイント

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インサイドセールスの考え方と進め方を徹底解説!

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  • インサイドセールスに欠かせないツール
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    この記事では、インサイドセールスチームの立ち上げを成功させるための手順や組織づくりのポイントを解説します。これからインサイドセールスに注力したいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。

    インサイドセールスチーム立ち上げの前に確認すべきこと

    インサイドセールスチームの立ち上げに着手する前に、自社でインサイドセールスが有効に活用できる状態かどうか確認しておきましょう。

     

    自社商材がインサイドセールスに向いているか

    商品・サービスの特性によっては、インサイドセールスによる提案が向いていないこともあります。特に、有形商材を扱っている場合は注意が必要です。見込み客に実物を見せて、手触り・色合い・味などを五感で体験できるフィールドセールスのほうが、正確に商材の魅力を伝えられる可能性があります。

    また、自社の顧客の特性にも配慮が必要です。メールやオンライン会議よりも、電話や対面でのコミュニケーションを好む顧客・見込み客が多い業界の場合は、インサイドセールスを推進することで、かえって接点が減ってしまうおそれがあります。

    インサイドセールス専門のチームを立ち上げるのではなく、現状の営業チームが補助的に非対面のコミュニケーションツールを利用する体制も検討しましょう。
     

    関係者と目的を共有できているか

    インサイドセールスチームを発足させると、営業部門だけでなくマーケティング部門などの関連する部門の業務内容にも影響が生じます。

    関係者全員に、インサイドセールスチームの存在意義や立ち上げの目的を共有し、協力を得ることが重要です。インサイドセールスに力を入れることが、自社の課題解決や経営目標の達成につながることを理解してもらうのが理想的といえます。
     

    顧客データベースが整備されているか

    インサイドセールスは、オンラインツールを活用することから、営業活動の履歴や見込み客の詳細なデータを残しやすいという特徴があります。蓄積したデータを有効に活用できるよう、事前にデータベースを整理しておきましょう。

    スプレッドシートやエクセル、名刺など、管理方法が複数ある場合は統合してデータ化し、形式も統一します。顧客情報を一元管理できるCRM(顧客関係管理)ツールの導入もおすすめです。

    顧客データベースは、データの分析だけではなく、社内の情報共有にも活用できます。顧客データを誰が見てもわかりやすい状態にしておくことで、担当が変わっても適切かつ迅速に対応することが可能です。マーケティング部門や営業部門のフィールドセールスチームと見込み客の引き継ぎを行う場合も、情報がスムーズに共有できます。
     

    インサイドセールスの立ち上げ手順6ステップ

    下準備を終えたら、インサイドセールスチームの立ち上げに着手します。最初にインサイドセールスの目的と役割を明確化することで、その後の目標設定や営業の準備をスムーズに進めることが可能です。
     

    1. 目的と役割を明確化

    現状の営業組織の課題を洗い出し、なぜインサイドセールスチームを立ち上げる必要があったのかを明文化します。例えば、「アポイントメント数を増やすために見込み客とのコミュニケーションを強化する」など、インサイドセールスチームの立ち上げでどのような課題を解決したいのかを具体的に洗い出しましょう。

    このとき、効率化や成約数などの自社にとってのメリットだけでなく、顧客体験を向上させるという視点も忘れないようにしてください。見込み客に満足してもらえなければ、購入につながらないからです。

    また、見込み客創出から成約までのどのプロセスをインサイドセールスチームが担うかも検討します。インサイドセールスの担当領域は、大きく分けて次の2種類です。

    • 案件創出型:購買意欲の醸成から商談のアポイントメント獲得までを担当
    • クロージング型:購買意欲の醸成から成約までを一貫して担当

    インサイドセールスの担当領域

    案件創出型の場合、商談以後の営業活動はフィールドセールスチームに引き継ぎます。「原則は案件創出型だが、商材Aはクロージング型をとる」などの組み合わせも可能です。自社の商材や営業プロセスに合わせて、役割分担を検討しましょう。
     

    2. KPIの設定

    目的がはっきりしたら、インサイドセールスチームが目的を達成するためのKPI(重要評価指標)を設定します。インサイドセールスで用いられるKPIの具体例は、次の通りです。

    • 架電数・架電あたりの通話時間
    • メール開封率・クリック率
    • アポイントメント獲得数・アポイントメント率
    • 商談数・商談化率
    • 受注数・受注率

    案件創出型のチーム体制の場合、立ち上げ当初はアポイントメント数や商談数などをKPIに設定しましょう。インサイドセールスが軌道に乗ってきたら、フィールドセールスに引き継いだあとの成約数にも目を向けることで、全体的な成果の底上げにつながります

    KPIは、営業チームの稼働状況によっても変化することがあります。例えば、フィールドセールスが忙しい時期には、購買意欲の高い見込み客を優先してインサイドセールスチームから引き継ぐことが求められるでしょう。余裕のある時期には、全体の商談数を増やすことが重視されます。

    状況に応じたKPIや目標数値を設定して、常に全体最適化を試みることが重要です。

     

    3. 営業リスト作成

    目標が決まったら、優先的にアプローチするべき見込み客を抽出した営業リストを作成します。それにより、チームのリソースを有効活用することが可能です。

    過去の受注データをもとに、LTV(生涯顧客価値)が高い顧客の属性を分析しましょう。LTVとは、1人または1社の顧客と取引を開始してから終了するまでに得られた利益のことで、LTVの高い顧客が多いほど業績が安定します。業界・エリア・企業規模・部署・役職などで絞り込むことで、自社の商品・サービスと相性の良い見込み客の特徴を可視化できます。

    CRMツールを導入し、顧客とのやり取りをデータとして蓄積しておく方法も有効です。過去に問い合わせなどの履歴があったか、問い合わせから成約までにかかった期間はどのくらいかといった情報を見ることで、優先度がわかります。

     

    4. シナリオ設計

    シナリオとは、営業活動のマニュアルのようなものです。見込み客のフェーズに合わせて、提供する情報や営業担当者のアクションをまとめておくことで、営業活動の標準化につながります。シナリオ設計は、営業活動の属人化を防止するだけでなく、顧客体験の向上にも役立つ重要な取り組みです。

    現場でそのまま活用できるように、シナリオはなるべく具体的な内容に落とし込みます。メールであれば定型文のテンプレート、電話であればトークスクリプトと、アプローチ方法ごとにシナリオを準備しましょう。ペルソナを変えて複数のシナリオを用意することも大切なポイントです。

    ただし、立ち上げ段階でシナリオを完璧に作りこむ必要はありません。運用しながら見直し、ブラッシュアップしていきましょう。

     

    5. 人員の確保

    目標と業務内容が明確になったら、人材をアサインしてチーム編成を進めます。

    インサイドセールスでは、メールやオンライン会議ツールなどのITツールを使用します。また、情報管理にCRMやSFA(営業支援システム)を導入することもあるため、担当者には一定レベルのPCスキルやITリテラシーが求められます

    社内リソースが不足している場合やノウハウが足りない場合などは、採用・教育が必要です。迅速にインサイドセールス業務を軌道に乗せることを優先する場合は、外注を検討しましょう。営業支援を専門とする外部の企業にコンサルティングを依頼し、徐々に内製化を進める方法もあります。

     

    6. オペレーションを支えるツールの導入

    インサイドセールスの効率化には、ITツールの活用が欠かせません。チームの体制や自社の課題に合わせて最適なツールを選定しましょう。

     

    MA(マーケティングオートメーション)

    MAとは、マーケティング業務の自動化やデータの可視化を行うためのツールです。

    見込み客がWebサイト上でどのような行動をとったのかを把握してスコアリングを行うことが可能で、インサイドセールスチームの成果向上につながります。見込み客にとっても、自身のニーズに合った提案を受けられることになるため、顧客体験の向上も同時に実現可能です。

     

    CRM(顧客関係管理)ツール

    CRMツールは、顧客情報を一元管理するためのツールです。顧客が所属している企業や氏名、電話番号といった属性情報だけでなく、問い合わせや営業チームの接触履歴などの詳細なデータを蓄積できます。

    部門を越えて、顧客に関するリアルタイムの情報を可視化できるのがCRMツールの強みで、インサイドセールスチームの活動内容を関係者に共有しやすくなります。

     

    SFA(営業支援システム)

    SFAは、営業活動に関する情報を一元管理するためのツールです。見込み客との商談の進捗情報や問い合わせ履歴など、営業活動を詳細に記録することで、インサイドセールスチームのマネジメントを最適化できます。

    また、SFAをMAツール・CRMツールと連携することで、商談化率や受注率が高い見込み客の特徴を分析することもできます。

     

    オンライン商談ツール

    オンライン商談ツールを活用すると、相手の表情やジェスチャーが確認できるため、対面での商談のようなコミュニケーションがとれます。

    オンライン商談ツールの無料プランは、ミーティングの時間や参加人数などに制限があることが多いため、有料プランの契約も検討しましょう。有料プランは、トークスクリプトの表示や議事録として使える共有メモ、名刺交換など、商談向けの機能が充実しています。
     

    インサイドセールスの立ち上げを成功させるポイント

    ここでは、インサイドセールスチームを立ち上げる際に意識したいポイントを3つ紹介します。
     

    常に顧客視点を意識する

    インサイドセールスは営業業務の効率化を目的に実施されることがありますが、企業側の都合ばかりを優先しないように注意が必要です。

    見込み客のニーズに合わない提案やコミュニケーションが増えてしまうと、企業の印象が悪くなり、売上の増加にもつながりません。常に顧客視点を意識し、時間をかけて信頼関係を構築しましょう。
     

    定期的に振り返りを行う

    インサイドセールスは、多くの企業にとって新しい試みであり、最初からうまく機能するとは限りません。体制を構築できたら営業活動を開始し、振り返りを行いながら徐々に改善していくことが大切です。

    オンラインツールを活用するインサイドセールスは、アクション数やアポイントメント数、商談化率などの数値を追いやすい営業手法です。集めたデータを行動計画やシナリオの改善に活かすことで、PDCAの精度を高めることができます

    振り返りの機会としては、定例会議の設定が効果的です。チーム全体で目的・課題・進捗を共有する場を設けます。立ち上げ当初は週次で開催し、チームの運営が安定してきたら隔週や月次に変更すると良いでしょう。
     

    トップダウンかつ小さく始める

    インサイドセールスの主な役割は、見込み客と時間をかけて信頼関係を築いていくことです。特に、立ち上げ当初は直接的な利益につながりづらいことから、社内の理解を得にくいことも考えられます。

    トップダウンでインサイドセールスの重要性を社内に周知すると、関係者の協力を得やすくなるでしょう。

    また、最初はPDCAを素早く回しやすい少人数のチームから始めるのもポイントです。インサイドセールスの営業ノウハウがある程度確立されたところで人員を追加すると、費用対効果が高まります。
     

    営業活動の導線を整理する

    インサイドセールスの役割は企業によって異なり、訪問営業を担当するフィールドセールスチームに見込み客を引き継ぐ場合と、インサイドセールスが商談・成約までを担うケースがあります。また、マーケティング部門が見込み客を創出し、インサイドセールスチームに引き継ぐ流れも考えられます。

    業務の重複や対応漏れが起きないように営業の導線を整理し、各部門やチームの役割を明確にしたうえで連携を強化しましょう。部門間の連携をスムーズにするには、リアルタイムの顧客情報や営業活動の進捗を可視化できるツールの導入が効果的です。

    HubSpotは、CRMを基盤としたカスタマープラットフォームです。MAとSFAの機能も備え、顧客関係情報をもとにしたマーケティングと営業支援を実現できます。一部機能は無料で利用できるため、使いやすい顧客データベースをお探しの方は、ぜひお試しください。

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    目的と役割を明確にしてインサイドセールスチームを立ち上げよう

    インサイドセールスをうまく機能させるには、関係者全員で立ち上げの目的と役割について共通認識を持つことが重要です。フィールドセールスチームとインサイドセールスチームだけでなく、マーケティング部門も巻き込んで、最適な顧客体験を提供するための体制を整えましょう

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