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「見込み客」を意味する「リード」は、今後顧客へと醸成していくために大切な存在であり、企業としてはどのようにアプローチするのかが重要です。

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リードに対してアプローチを行い、顧客へと醸成していくことを「リードナーチャリング」といいます。

リードナーチャリングが重要だと理解していても、施策を立案・実行し正しい成果を出すのは言葉で表すほど簡単ではありません。リードナーチャリングの施策を進めていると言っても、ふたを開けてみれば「ステップメールを数本送るのみ」というケースも少なくはありません。

この記事では、

  • リードナーチャリングの何から手を付ければ良いのか検討がつかない
  • リードナーチャリングを実施する上で目標やKPIの立て方が分からない

というお悩みを持つ方々に、HubSpotがこれまで取り組んできた事例を交えながら、効果的な手法をご紹介していきます。実践的なノウハウをお伝えしますので、少しでも自社のマーケティング施策成功へのヒントを掴んでいただけると幸いです。

MAとコンテンツを活用したリードナーチャリングガイド

リードナーチャリングとは?

「リードナーチャリング(リードの購買意欲の醸成)」とは、リードに対して行う、購買意欲を高めるような働きかけを指します。つまり、営業チームに引き継ぐ前のリードを育てていく仕組みとも言えます。

リードナーチャリングの多くはEメールを使い、顧客にとって有益な情報や自社製品・サービス情報を提供することで行われます。しかし、State of Marketing Report | 2021 Marketing Trends(HubSpot) の調査によると、マーケターから営業担当へ渡されたリードのうち、「購入の見込がある」のはたった7%だといわれています。

つまり残りの93%のリードは、まだ購入意欲の低い見込み客なのです。そのため、たとえ毎月安定的なリード数を営業担当者へと引き継げる体制が整っていたとしても、引き継いだ見込み客の確度が低い状態では、営業部もなかなか受注につなげられません。よって、リードナーチャリングを実施し、見込み客の購買意欲を高める必要があるのです。

では、リードナーチャリングがなぜ必要となったのか、時代背景を少しみていきましょう。
 

リードナーチャリングの目的とメリット

リードナーチャリングの目的とメリット

せっかく創出した見込み客が、営業によるアプローチが遅れ、あるいは放置してしまったため、ライバルとなる他社に流れてしまったという経験はないでしょうか。

これは営業だけの責任を追及できるものではありません。前述したように、マーケティング部門の責任は「興味や購入意欲の高いリードを営業チームへつなぐこと」です。営業活動の成果が出ない要因として、確度の高い見込み客を営業にバトンタッチできておらず、無駄な営業リソースを取らせてしまっていることも考えられます。

リードナーチャリングの一番の目的は、リードの購買意欲を高めることで、リードが顧客となる確度を高めることです。営業リソースだけではリードフォローに限界があります。リードナーチャリングをきちんと実施することで、営業が効率的かつ素早くリードフォローできる環境整備につながります。

そのためには「リードが自社に関心を持ったタイミングを逃さない」のが重要です。それを把握するためにはマーケティングオートメーションなどを導入することが不可欠です。

リードナーチャリングを進めることで得られるメリットは以下になります。
 

営業効率の向上、リードタイムの短縮

リードナーチャリングにより見込み客の関心や課題を可視化し、絞り込むことで、営業部門はロイヤルティが高まった段階の見込み客に集中してアプローチできます。そのため商談が成立する可能性が高くなり、営業効率を向上させられます。
 

集客コストのムダが省ける

せっかく広告や展示会などのコストをかけて多くの見込み客を集めたとしても、確度の高い見込み客だけを受注していたのでは、リードの大半が無駄になってしまいます。

リードナーチャリングで、これまで受注できなかった見込み客にもアプローチして理解度・関心を高め、リードからの受注率を引き上げます。今までアプローチしなかったリードにもアプローチすることで、結果的に集客コストの無駄が省けます。
 

見込み客との信頼関係醸成

有益な情報提供を継続して実施して、見込み客との間に信頼関係構築を図っていきます。
 

リードナーチャリングが重要視・注目される理由

1990年代からインターネット上の情報は爆発的に増え続けてきました。現在の社会では「情報洪水時代」と呼ばれるように、人が処理できる2万倍もの情報が世の中には溢れています。
リードナーチャリングが重要視・注目される理由出典:総務省「ICTコトづくり検討会議」報告書

そして、この情報量の増加に伴い、見込み客の購買プロセスが従来の「AIDMA(アイドマ)」から「AISCESE(アイセアス)」へと変化したことが、リードナーチャリングの必要性が増した原因だといわれています。

では、AIDMAとAISCEASとは何なのか、その違いを詳しく見てみましょう。
 

顧客の購買プロセスの変化

AIDMA(アイドマ)とは、消費者の購買決定のプロセスを表すモデルの1つで、下記5つの頭文字を取ったものです。

AIDMA(アイドマ)とは?
AIDMA(アイドマ)とは?

AIDMA(アイドマ)とは、消費者の購買決定のプロセスを表すモデルの1つで、下記5つの頭文字を取ったものです。

Attention:注意

Interest:関心

Desire:欲求

Memory:記憶

Action:行動

例えば、「スニーカー」のテレビCMに接触したユーザーの購買プロセスをみてみましょう。

Attention・・・外国人モデルが履いているスニーカーを見て

Interest・・・「カッコいいな」と思い

Desire・・・・「今持っているスニーカーが古くなったら欲しいな」と考え

Memory・・・・その時はすぐに買わず、街の靴屋さんで同じスニーカーを見かけて

Action・・・・・購入

このように、インターネットの普及前は、消費者に対して「どれだけ自社製品を印象付けるか」という点がマーケティング戦略においては重視されました。

しかし、現代における私たちの購買決定プロセスは少し異なります。
 

AISCEAS(アイセアス)とは?
AISCEAS(アイセアス)とは?

インターネット普及後の購買プロセス「AISEAS(アイセアス)」の場合はどうなるのか、同じようにスニーカーの購買プロセスで見てみましょう。

Attention(注意)・・・・Instagramで好きなインフルエンサーのスニーカーを見て

Interest(関心)・・・・「カッコいいな」と思い

Search(検索)・・・・・Googleでどのブランドのスニーカーなのかを検索

Comparison(比較)・・一番安く販売しているECサイトはどこなのかを探し

Examination(検討)・・口コミも確認して

Action(購買)・・・・・購入

Share(情報共有)・・・ 気にいったら自分もInstagramにアップロードしてタグ付けします

どうですか?インターネットが身近にある現代っぽい購買プロセスになった気がするのではないでしょうか?

BtoCでは当たり前になった消費行動かもしれませんが、BtoBにおいても徐々にこの流れが押し寄せてきています

BtoBでの購買プロセスを見てみましょう。

例えば、あなたがマーケティングオートメーション導入を検討している担当者だとします。すると、以下のような購買プロセスを経るはずです。

Attention(注意)・・・・広告でマーケティングオートメーションについて知る

Interest(関心)・・・・今自社が抱えている課題を解決するのにぴったりだと考える

Search(検索)・・・・・広告で知ったマーケティングオートメーションについてGoogleで検索

Comparison(比較)・・価格やサービス内容を他の競合製品と比較する

Examination(検討)・・口コミも確認

Action(購買)・・・・・購入

Share(情報共有)・・・ 気にいったらSNSでシェアしたり、自社ブログなどで紹介したりする

BtoBビジネスが難しいといわれる理由に、リードタイムがBtoCに比べて長いこと、担当者以外の決裁者が存在すること、そしてその結果、リードタイムの間にニーズが変化することがあります。

それに加え近年は、顧客がインターネットを使って自ら情報収集し、各社サービスを比較検討できるようになりました。そのため、企業から情報提供などのアプローチを続けなければ、顧客は自分で収集した情報をもとに購入するかどうかを決めるようになったのです。

よってBtoBビジネスにおいて、見込み客が関心を持つコンテンツを提供し続け、企業内に発芽したニーズを適切なタイミングで把握する事が重要となります。

AIDMAからAISCEASへの購買プロセスの変化については、HubSpotの下記の記事でさらに詳しく紹介しているので、ぜひ参照してみてください。

リード創出方法の多様化

リードナーチャリングが重要となった背景には、リード創出方法が多様化した点も挙げられます。

かつては来店や展示会への参加など、オフラインでの限られた方法でしかリードを創出できませんでした。しかし、インターネットを介して誰でも膨大な情報に触れることができるようになった今、リードと企業の出会いは多様化しています。

その結果、様々な入り口から創出したリードに対して、それぞれに適切なアプローチを行い、購買行動へつなげていく必要性が生じてきたのです。

リードを創出する方法、リードジェネレーションについては別の記事でさらに詳しく紹介しています。ぜひ合わせてご覧ください。

休眠顧客の増加

インターネットの普及により、顧客は多くの情報にアクセスできるようになりました。その結果、購買の意欲が低いユーザーも、企業が提供しているホワイトペーパーなどの情報を気軽に取得できるようになりました。

そのため、資料請求を行なったものの、その後まったく何のリアクションもせず離脱してしまう、いわゆる「休眠顧客」と呼ばれるリードが増えています。

しかし、このような休眠顧客であっても、何らかの関心を持って情報を獲得したことには変わりありません。このような休眠顧客を再度起こし、ニーズの顕在化、購買行動へつなげていくためにも、リードナーチャリングのアプローチは不可欠なのです。
 

リードナーチャリングにおける具体的なアプローチ方法

リードナーチャリングを実施する際は、キャンペーン毎に目的を意識して種類を定義しましょう。

それでは、リードナーチャリングの目的別にどのようなキャンペーンを実施すべきか紹介していきます。
 

1. 定期的な情報提供

特定のリードを対象とせずメールアドレス登録者全員に、メルマガという形式で有益な情報を定期的に提供していく手法です。

定期的な情報提供には、主に「リードへの業界知識の提供」「エンゲージメント向上」の2つの目的があります。

前者で提供すべきコンテンツは、自社製品/サービスと関連するノウハウや見込み客の関心度が高い業界ニュースなどです。エンゲージメント向上を目的としたキャンペーンのポイントは、リードが関心を持つ分野の事例やノウハウ提供を中心とした内容にすることです。

例えば、栄養食品の情報について興味を示しているリードには、健康的で栄養バランスの優れた食生活を維持するためのガイドラインを定期的に送信することで相手のエンゲージメントを維持し、次のEメールを楽しみにしてもらえます。とにかく見込み客の注意を引きたいなら、リスト形式のコンテンツを用意すると効果があります。

例として、データ集や用語集、おすすめ記事集などが挙げられます。こうした記事はリードナーチャリングに簡単に組み込めます。例えば、スキー用品についての動画を視聴した人へのフォローアップには、スキー用品に関するブログ記事の中から役に立ちそうなものをリストにまとめて提供するとよいでしょう。
 

2. 割引等のプロモーション

購入する見込みの大きいリードのセグメントを対象とする場合には、割引、優待などのキャンペーンメールを送信してみましょう。ポイントは、Eメールがスパムと判断されないように件名や本文の書き方に注意することです。

スパムと判断されてしまうと、Eメールの受信登録を解除されたり、迷惑メールフォルダーに振り分けられたり、読まずに放置されたりしてしまいます。送信するEメールは、リードの興味を引くようなタイトルにして、まず開封率アップを意識しましょう。
 

3. 無料トライアルや製品デモの案内

EメールやWebサイトで製品情報のリンクをクリックしたリードは、製品やサービスについてさらに詳しく知るために製品デモや無料トライアルを利用したいと考えているかもしれません。このような場合は、製品デモを案内するEメールを送って、確実にコンタクトをとるようにしましょう。
 

4. パーソナライズしたメールの配信

リードが一通りのコンテンツに目を通し、自社への親和性を高め、いよいよ購買に至るという段階においては、リード個人を対象にしたEメールを送信してみるのも良いでしょう。この段階では、送信者は営業担当者とすることをお勧めします。

こうすることで見込み客の心をつかみ、具体的な質問をする機会を提供すると共に、購入に向けて担当者と話をしてもらえるようになります。

このように、大勢に一斉に配信するようなアプローチだけでなく、見込み客と一対一のやり取りをすることで、大きな効果を得られる場合があります。
 

リードナーチャリングを実施するには?よく利用される5つの手法

リードナーチャリングの手法としてはEメールが一般的であると説明しましたが、もちろんそれだけではありません。特に、現代においてはインターネットを中心として様々なメディアやコミュニティが生まれています。

次に紹介するような手法を組み合わせ、最も適したアプローチを検討することが大切です。
 

1.メール

リードナーチャリングの中心は、やはりEメールです。自社製品に関心を示している顧客に対し、メールという個人に紐づくツールを使い、個別の施策を実施します。

特に、1つのテーマに関する情報を提供する複数のメールを、顧客の行動に合わせて送信するステップメールは、効果的なリードナーチャリングには欠かせません。

ステップメールについての詳細や実際の文章例は別の記事で詳しく紹介しています。ぜひ合わせてご覧ください。

2. SNS

現代のリードナーチャリングにおいては、SNSでのアプローチも有効です。Eメールと同様個人的なツールと言えますので、個別的な施策にも向いています。ただし、SNSはプライベートで使用している人も多く、BtoBにおいて活用するには工夫が必要です。
 

3. リターゲティング広告

一度自社サイトを訪問したユーザーに絞って表示する広告を「リターゲティング広告」と言います。既に訪問歴のあるリードに対してだけ表示するため、一般的な広告よりも高い効果が期待できます。

さらに、購買意欲のあるユーザーだけに焦点を当てた内容で作成することで、より効果を高めることができるでしょう。
 

4. オウンドメディア

自社の顧客が関心のありそうなトピックを選定し、関連するコンテンツを提供するオウンドメディアを展開することも有効な手段と言えます。メディア内で紹介する情報に価値があると判断されれば、長期的に関係性の続く優良なリードを創出・醸成できます。
 

5. セミナー

自社の得意分野や実績を生かし、セミナーを開催するという方法もあります。開催方法も、実際のイベントだけでなく、リモート技術を生かしたウェビナーのように、顧客のニーズに合わせた方法を検討します。

オウンドメディアと同様に、ユーザーにセミナーの内容に価値があると感じてもらえれば、ロイヤリティの高いユーザーを醸成できます。
 

リードナーチャリングを成功させるための6つのステップ

リードナーチャリングを成功させるための6つのステップ

リードナーチャリングは、リードに対しとにかく接触機会を増やせば良いというものではありません。やみくもにアプローチをしてしまうと、見込み客が不要な情報が何度も受けり、企業からのアプローチをわずらわしく思う場合があります。

効果的なリードナーチャリングを実践するためには、次の6つのステップを意識してみてください。

  1. リード(見込み客)の状態を確認し、分類する
  2. 目的の設定
  3. ペルソナの選択
  4.  再利用できる既存コンテンツを探す
  5.  配信スケジュールの設定
  6.  効果測定と改善策の検討

 

1. リード(見込み客)の状態を確認し、分類する

まずは、今ある見込み客リストの棚卸しを行い、見込み客がそれぞれどの段階にいるのかを分類します。いますぐアプローチを掛けるべき見込み客、まだ直接アプローチは掛けず購買意欲の醸成にとどめる見込み客など、アプローチすべき対象と、それぞれへの取るべき施策を明確にしましょう。

冒頭で、リードナーチャリングとは「営業に引き継ぐ前にリードを育てる事」と言いました。HubSpotではライフサイクルステージという階層を設け、見込み客を分類しています。ライフサイクルステージとは、見込み客がマーケティングおよび営業プロセスのどの段階にいるかを可視化する概念です。
リード(見込み客)の状態を確認し、分類する

Subscriber(サブスクライバー)

定期的なブログ購読者などを指します。メールアドレスは開示していても、氏名や住所、電話番号などは開示していない、まだ購買意欲が低い潜在顧客の総称です。
 

Lead(リード)

eBookをダウンロードするなどして、自社の商品やサービス、または媒体に興味を持っている顕在顧客を指します。より積極的なアプローチをして購買意欲を醸成したい層です。
 

Marketing Qualified Lead(MQL)

デモへの申し込みや営業担当者への問い合わせ、ミーティング予約、無料トライアルなど、普通のリードよりも高いエンゲージメントを示し、企業からの営業活動を自ら望んでいる層です。マーケティング部門の目的は、このMQLの層を増やすことになります。
 

Sales Qualified Lead(SQL)

MQLからさらに商談が進み、インサイドセールスを経て、購入への意欲が高まっていると判断した見込み客を指します。
 

Opportunity(商談)

商談段階に入った見込み客を指します。見積りなどを経て、金額の調整や契約の説明をしている段階の見込み客です。
 

Customer(顧客)

製品やサービスを購入した顧客です。
 

High Intent Non-Qualified Leads(HINQLs)

比較ページ閲覧、料金ページ閲覧、特定機能の利用など、MQLと呼べるほどの行動はまだ実施していないが、一般的なリードよりも強い興味を示してしているリードの総称です。「Pre-MQL」と呼ばれる場合もあります。HubSpotでは現在、この階層への調査をテスト的に運用しています。

 

2. 目的の設定

「どの段階の見込み客をどのような状態に持っていきたいのか」、達成したい目標を細かく設定します。

例えば、「新規リードを1,000件創出したい、」「今のMQLから30人のSQLを創出したい」などです。その上で、設定した目的に応じてターゲットやコンテンツ、成果の測定基準など、キャンペーンの全体像を計画します。
 

3. ペルソナの決定

リーチすべきターゲットの人物像を明確にしましょう。彼らの役職、職務内容といった属性だけでなく、どんなことを知りたいと思っているのか、どんな課題を抱えているのかなどの情報ニーズも明確にします。

そうしたペルソナ像を明確にして初めて、自社が提供できるソリューションが明確にできます。
 

4. 再利用できる既存コンテンツを探す

リードナーチャリングにはコンテンツが不可欠です。しかし、すべてをゼロから作成するのは時間もコストも掛かってしまいます。

これまでにコンバージョン達成に役立ったコンテンツは、今まさに購買意欲を醸成しているリードにとっても有益である可能性が高いはずです。過去に配信したコンテンツから、役に立ちそうなものを探し、リメイクすると良いでしょう。
 

5. 配信スケジュールの設定

リードナーチャリングのキャンペーンには適切なスケジュールが存在します。

通常、1回のキャンペーンで送信するEメールは2~3通にするのが望ましいと言われています。ただし、目標の複雑さや対象の段階に応じて件数は変わってきます。

例えば、自社の平均的なセールスサイクルが30日間であれば、リードコンバージョン後の1日目、10日目、20日目にEメールを送信するといったスケジュールをキャンペーンに設定すると良いでしょう。

いろいろな配信スケジュールを試してみて、自社のリードに最も合う頻度を見つけましょう。
 

6. 効果測定と改善策の検討

リードナーチャリングの締め括りは、キャンペーンの効果を正確に追跡できるようにすることです。効果のあったキャンペーンとなかったキャンペーンを把握できるようにしておかなければ、改善策も継続策も講じることができません。

例えば、新規のリードやEメールの受信登録を創出したい場合は、創出した新規顧客の数やEメールのクリックスルー率などを計測します。また自社へのブランド構築や認知度の向上を促進したい場合は、企業名による検索やWebサイトに直接流入するトラフィックを測定します。

そうして見えてきたものに改善の余地は必ずあります。送信するオファーの内容、Eメールの件名、Eメール内のCTAなどをいろいろ変えて実験してみてください。

これらの施策を、全て人力で行うには限界があるでしょう。特に、リードナーチャリングにおいては顧客のニーズや行動に即したタイミングですぐにアプローチする、即時性が重要となります。

これを効果的に行うには、マーケティングオートメーションを導入し、自動化することが必要です。

マーケティングオートメーションについて詳しくは別の記事でも紹介しています。ぜひ合わせてご覧ください。

リードナーチャリングにおける成果指標・KPI

リードナーチャリングにおける成果指標・KPI

キャンペーンの成果を正確に把握し改善策を講じるためには、いくつかの測定指標を追跡することが必要です。これらの数値を追跡することで、成果の出ているキャンペーンと出ていないキャンペーンを把握し、細かい調整を行うことができます。

ここでは、具体的にはどのような測定指標を確認すべきかを説明します。
 

クリックスルー率(CTR)

Eメールの受信者が、Eメール内のリンクをクリックした割合を表します。リードナーチャリングの対象顧客に対し、キャンペーンで提供しているコンテンツが適切かを判断できます。
 

新規リード創出数

リードナーチャリングの目的がリードの創出であれば、施策により増加したリード数の把握が必要です。送信したEメールが、ソーシャルメディアでシェアされているか、受信者の知人に転送されているかなど、新規リードの創出にどの程度寄与したのかを把握します。
 

コンバージョン率

Eメールに含まれているリンクをクリックして、望ましい行動を取った受信者の割合を測定する必要があります。この数値を見ることによって、リードに送信したコンテンツの効果や、リードのライフサイクルステージの向上への貢献度を判断することができます。
 

受信登録の解除率

Eメールの末尾にある「受信登録解除」のリンクをクリックした受信者の割合を示します。
毎月の登録解除率を確認しておくと、メーリングリスト全体の成長率だけでなく、特定のEメールキャンペーンの後に解除率が急上昇しているといった詳細な分析が可能となります。その結果、見込み客の関心が薄れてしまったり、休眠状態に入ってしまったりするといったことを防げます。
 

キャンペーンのEメールを最適化させるコツ

キャンペーンのEメールを最適化させるコツ

リードナーチャリングを成功させるためには、コンテンツの内容が重要です。特に、従来のメールマガジンなどとの差別化を図り、顧客に関心を持ってもらうためには、次のようなポイントに気を配る必要があります。
 

1. メッセージをパーソナライズする

あなたは、以下の1と2のメールのどちらに親近感がわくでしょうか。

  1. 差出人が企業名で不特定多数に送っていることがすぐ分かるようなメール
  2. 差出人の担当者名で自分だけに送られるメール

人は不特定多数のうちの一人として扱われるよりも、「あなただけ」と個人として扱われる方が嬉しいものです。メールに個人名を入れる、その顧客の個人的なエピソードを盛り込むなど、メッセージをパーソナライズすることで、よりメールを見ていただけるようになります。

また、パーソナライズしたメールを送るときは、差出人には企業ドメインの個人のメールアドレスを使用しましょう。メーリングリスト用のアドレスまたは共用のアドレスにすると自動送信メールと思われ、開封率が下がります。
 

2. 文面は簡潔に

1通のメールを効率化するつもりで、伝えたいことをあれもこれもと詰め込んでしまうのもよくある失敗のひとつです。その結果、そのメールは情報過多となってしまいます。

しかし、あなたはそんなメールを受け取って嬉しいでしょうか?もし受け取ったとしても、あまりに情報が多いとメールの内容を全て理解できないでしょう。

伝えたい情報を読んでもらうには、リードがEメールで言及していることを5秒以内に判断できる文面であることが重要です。

Eメールの受信者の7%は、Eメールを開くかどうかを件名だけで判断するというデータもあります。そのためタイトル、導入文に工夫して、受け取る側が理解しやすい文面を心掛けましょう。
 

3. 送信する頻度は適切に

リードナーチャリングは頻度(とタイミング)が命です。

例えば、ウェブからの問い合わせをきっかけに発生した売上の78%は、問い合わせへの回答が最も早かった会社が獲得するというデータもあります。

この時はスピードが命です。反面、スピードが肝心だからと言って、キャンペーンなどの案内も同様に毎日送るとどうでしょう?見込み客の受信トレイはあなたからの押し売り的なメールに埋め尽くされ、逆に不快感を与えてしまうでしょう。

送るメールの種類によって、適切なタイミングと頻度を見定めましょう。
 

4. リードと関連の強いコンテンツを選ぶ

リードナーチャリングメールの基本は、企業が伝えたいことを伝えるのでなく、見込み客が知りたいことを提供することです。リードのEメールアドレスの提供を受けたきっかけがイベントなら、そのイベントに関する案内を案内するべきです。

また、Eメール内に配置したコンテンツへのリンクのクリック数をチェックして、リードの共感を得られそうなコンテンツを把握しておくことも重要です。見込み客の行動に関連のあるコンテンツを提供して、リードのニーズや興味に対応するべきです。
 

5. CTAを忘れずに

効果的なリードナーチャリングの秘訣は、リードの関心事を把握して、興味を引くコンテンツを提供することです。

こうした見込み客の関心事を把握するためにはCTAが非常に有効です。CTAは「Call-to-Action」のことで、コンテンツに興味を持ってもらった際に見て欲しいWebページへのリンクボタンなど、具体的な行動へ移すためのものを指します。リードがクリックしたCTAはリードが何について詳しく知りたいかを示しているからです。

ではそのCTAをクリックしてもらうためには、CTAの意図を明確にして、どんな行動を取ってほしいかが伝わるようにしなければなりません。短く簡潔な文面にして、リードに取ってほしい行動やその理由が正確に伝わるように心掛けましょう。
 

リードナーチャリング成功事例

ここまで、リードナーチャリングを最適化するための方法論を見てきましたが、次はHubSpotが実施してきたプロジェクトの中からいくつかの成功事例をご紹介します。
 

1年で収益が3倍に増加したSaaS企業「Templafy」

Templafyは、ドキュメント作成における効率的なワークフローの構築支援などを手掛けるデンマークのSaaS企業です。同社のサービスでは、オフィス用ソフトウェアツールの種類を問わず、企業は自社のブランドイメージに即したドキュメントを簡単に作成できるようになります。

同社はリードがどのように自社メディアへ流入し、どういう経路を経て購買に至るのか解明する手段を求めていました。担当者はHubSpotのマーケティングプラットフォームに出会ってすぐに、このソフトウェアを活用すればリードを追跡できるだけでなく、案件化してから受注・失注、納品するまでのプロセスのなかで取りこぼしを少なくすることができると考えました。

そして、すぐにツールを活用し確実なリード醸成を展開しました。その結果、HubSpot利用開始からわずか12か月で収益を3倍増加させるというめざましい成果を収めました。

マーケティング責任者であるGlen Hagensen氏のコメントを紹介します。
1年で収益が3倍に増加したSaaS企業「Templafy」「HubSpotを使ってリードナーチャリングを展開した結果、総合的な収支が大きく向上しただけでなく、未来の売上につながるMQLも増加しています。当社では、リードナーチャリングが終了する時点でトライアルやデモに申し込んでくれるようリードにお願いしているのですが、HubSpot導入前の申込率は5%ほどでしたが、HubSpot導入後は10~24%という高い推移に達しています」
 

長生きするコンテンツを作って見込み客数が7倍以上に増加した「イベントレジスト」

イベントレジストは、オンライン上にてイベントの作成や参加者の管理、来場者のトラッキング、タイムテーブルの設定などを行えるサービス「EventResist」を提供している日本の企業です。安心・安全なイベントプラットフォームを提供することを第一にしており、BtoBイベントや展示会などのイベントをサポートしています。

同社はEventResistの基本的な機能を無料で、来場者のトラッキングなどの高度な機能をプレミアム機能として提供していますが、プレミアム機能の営業に課題を持っていました。少ない営業担当ではアウトバウンド営業の成功率や成約数が低かったため、同社のサービスを見込み客に見つけてもらう仕組みを作ろうと、HubSpotを選択されました。

同社はHubSpotを用いてブログを作り、頻繁に更新してイベントに関するノウハウなどを提供することで、見込み客へアプローチしていきます。その結果、100記事を超えたあたりから問い合わせが増え、アウトバウンド営業に比べてとても高い成約率を実現しました。

イベントレジストの事例については、以下のページにてさらに詳しくご紹介しています。

HubSpotのリードナーチャリング機能

当社HubSpotが提供する製品で、実際どのようなリードナーチャリングを実施できるのか、例を用いてご紹介します。
 

パーソナライゼーションの実施例
パーソナライゼーションの実施例

このキャンペーンでは、製品に関心があり、購入の見込みの大きいリードを営業担当者が効率よく洗い出せるようにすることを目的としていました。

まず大切なのが、送信者名、送信者アドレス、件名、プレビューテキスト、冒頭の挨拶文、署名などパーソナライズしていることです。

また、営業担当者による製品デモに興味を示したリードだけがデモのスケジュールを予約できるよう早い段階でCTAを設置、クリックするとミーティング予約用アプリが開き、営業担当者との打ち合わせを予約することができます。
 

リードと関連の強いコンテンツを提供
リードと関連の強いコンテンツを提供

こちらのEメールは、HubSpotのSEO関連のリードナーチャリングキャンペーンにおいて、ファーストコンタクトを図るためのメールです。

このEメールでは、これまでリードがWEBサイトで閲覧したコンテンツの情報を元に、リードとの関連性の強いコンテンツを提供しました。その結果エンゲージメントの促進において大きな効果をあげました。

具体的には、このEメールを送ったタイミングは、リードがHubSpotのSEO対策テンプレートをダウンロードした直後です。

Eメール本文の最後には、SEO戦略について営業担当者と話し合うために、打ち合わせを予約するための方法も記載しています。タイムリーにリードに有効な情報を提供することで、高いリアクションを得ることができました。
 

まとめ

リードナーチャリングを始めたばかりのころは、達成すべき目標は何か、効果的に実施するにはどうすればよいかなど、マーケティング担当者の多くが戸惑ってしまうかもしれません。

しかし、取るべき策を正しい順番で展開していけば決して難しいことではありません。この記事でもいくつかのノウハウをご紹介しました。ぜひ参考にして、まずは実践してみてください。

最後に、実践する際のポイントをいくつかまとめておきます。

まず、リードナーチャリング実施前には、リードの母数をある程度確保する必要があります。企業主体のアウトバウンド的な発信ではなく、見込み客のニーズに基づいた情報を提供するインバウンドリード創出体制を構築するためにも、ブログコンテンツは必須です。

そうして集めた見込み客に対してリードナーチャリングを実践するためには、リードの状態をライフサイクルステージごとに分類し、その各ステージのリードに届けるコンテンツを吟味することです。それらのコンテンツを届けることで、成約客につながるMQL、SQLの数を増やすための最適なナーチャリングパスを見つけていくのです。

言葉でいうのは簡単ですが、これらのことを人の手で行うことは間違いなくリソース不足に陥ります。そうした負荷を抑えるために、リードナーチャリングのステップを自動化するマーケティングオートメーションの導入が必要不可欠なのです。

見込み客の望む情報を与え、エンゲージメントを高めたうえで購買に導くというマーケティングの本質を理解して、自社の目的や目標に沿ったリードナーチャリング策の推進にトライしてみてください。

無料のメール配信サービスと無料CRM機能を備えたHubSpotなら、まずはスモールスタートでリードナーチャリングを展開できます。ぜひ一度試してみてください。

リードナーチャリングだけでなく、マーケティングオートメーション全般についてさらに知りたい方は、以下の記事もご覧ください。

HubSpotではこの他にもマーケティングやセールスに役立つ資料を無料で公開していますので、ぜひこちらからご覧ください。

 

MAとコンテンツを活用したリードナーチャリングガイド

 MAとコンテンツを活用したリードナーチャリングガイド

元記事発行日: 2019年11月20日、最終更新日: 2021年9月30日