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近年、営業活動効率を向上する手法として注目されている「インサイドセールス。」電話やEメールなどを中心に、主に遠隔で取り組む営業スタイルで「内勤営業」とも呼ばれます。今回は、インサイドセールスの定義や具体的な導入方法をご紹介。合わせて、なぜ今注目が集まっているのか、HubSpotが2019年12月に発表した日本の営業に関する意識・実態調査の結果を踏まえながら解説します。

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内勤であれば、オンライン、オフラインの区別はありません。相手の状態を把握し、適切なタイミングでコミュニケーションをとることが何より大切となります。

最近では、電話やメールを使って、時間や場所に縛られることなく営業活動ができるため、働き方改革の一環として導入している企業も増えてきました。さらに、見込み顧客1件あたりの営業コスト(単価)の削減も期待でき、実用性が高い営業手法として関心を集めています。

日本で導入する企業が増えているインサイドセールスですが、起源はアメリカにあります。アメリカは国土が広く、営業マンがお客様を直接訪問するには、非効率かつ時間もコストも膨大にかかるため、効率良くコンバージョンを目指す手段としてこの手法が考えられました。

もともとは、BtoCのいわゆるテレフォンショッピングのような家庭向け低価格商材の営業からインサイドセールスが普及しました。そこから徐々にBtoBの高額商材にも普及していったと言われています。

2008年のリーマンショック以降は、時間やコストをかけず効率よく営業活動を回したいと考える企業が増え、さらに普及が進みました。インサイドセールス市場は、アメリカ国内だけで約3兆円規模(2017年度)に達しているとの調査報告もあります。

日本国内でも、インサイドセールスを導入する企業や取り組みは増加傾向にあります。 

インサイドセールスとフィールドセールスはどう違う?

インサイドセールスとフィールドセールスは、何が違うのでしょうか。具体的に見ていきましょう。

インサイドセールスとフィールドセールスはどう違う?

インサイドセールスとフィールドセールスの一番の違いは、「内勤」か「外勤」かという点です。

フィールドセールスは、営業担当者がお客様を訪問して提案書の説明をするため、質の高い商談になることが期待できます。なぜなら、対面で話を聞くことができたり、その場の空気によって準備してきた内容を臨機応変に変えたりできるからです。

しかしながら、例えば1件のアポを1時間と設定していたとしても、その前後に移動時間が必要となります。また、本題に入る前のアイスブレイクにも時間が必要です。その結果、営業活動の核となる部分以外に時間やコストがかかってしまいます。

一方のインサイドセールスは、事前に丁寧に準備した内容を、多くの見込み顧客に短時間に説明、提案することができます。

また、その説明内容や資料は、他の見込み顧客に対して同じものを使い回せることが多くなります。移動や名刺交換の時間など、商談本番以外のロスタイムが少ないため、必然的に1日に対応できる案件数を増やすことができます。つまり、効率的にターゲットへアプローチすることが可能となります。

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フィールドセールスは、1社の顧客に丁寧に対応することができ、顧客との関係構築もスムーズに進みます。

しかし、商材によっては、必ずしもそれを必要としない場合もあります。特に後述するサブスクリプション型ビジネスモデルを採用している商材に関しては、インサイドセールスの活用で、より効率の良い営業活動が実現されています。

ただ、ここで勘違いしてはいけないのは、インサイドセールスは、単なる電話やメールを使った内勤営業とは異なるということ。

表面的にはよく似た営業方法ですが、もう少し掘り下げてみると、この2つの違いが見えてきます。くわしく解説した記事がありますので、こちらをご覧ください。
 

営業活動には無駄が多い?国内の営業実態の調査データから見える問題点

インサイドセールスが注目される背景には、現場の課題が存在します。営業担当者は実際どのような課題を感じているのか、2019年12月にHubSpot Japanが日本の経営者、役員、法人営業担当者など約1,300名を対象に実施した、「日本の営業に関する意識・実態調査」から読み取っていきましょう。
 

営業担当者のうち、約4割が「商談の移動時間がムダ」と感じる

営業担当者に「働く時間のうちムダだと感じる時間の割合」を質問したところ、回答者全体の加重平均で「働く時間のうち25.5%」という結果が。この「ムダな時間」を金額換算してみると、なんとすると年間約8,300億円にも上ることに(*1)。

営業担当者のうち、約4割が「商談の移動時間がムダ」と感じる

日本の営業に関する意識・実態調査結果をHubSpotが発表

※1
【時給】「平成30年分民間給与実態統計調査」(国税庁)の「1年を通じて勤務した給与所得者の1人当たりの平均給与(年収)」の440.7万円を利用して算出:https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2019/minkan/index.htm
【営業職就労人口】平成27年国勢調査(総務省統計局)。小分類「34a 機械器具・通信・システム営業職業従事者」を「法人営業職」と定義。「営業職全員」の人口としては中分類「営業職業従事者」を利用:https://www.stat.go.jp/data/kokusei/2015/index.html
【1日の労働時間】法定労働時間の8時間に、今回の調査で明らかになった営業担当者の1日あたり平均残業時間1.5時間を加えて算出

では、営業担当者は具体的にどのような部分をムダだと感じているのか質問したところ、「社内会議(33.9%)」「社内報告業務(32.4%)」に続き、3位が「キーパーソンとの面会ができず再訪問(26.6%)」、4位に「日々の商談の移動時間(24%)」がランクインしました。社内での情報共有か、訪問に関する業務にリソースを割かれていると感じている方が多いようです。

日本では、営業といえば訪問が必須、という考え方は根強く残っているでしょう。もちろん、全ての訪問が必要ないというわけではありません。必要なケースも多々あります。ただ、全ての営業活動において訪問が必要かというと、必ずしもそうではないようです。

 

訪問の有無は、成約率にはそれほど大きく影響しない

商品やサービスの買い手側となる経営者・役員・会社員にアンケートを行ったところ、29.4%が「営業担当者に自社を訪問してほしいとは思わない」と回答。一方で、営業担当者の訪問を希望する人(全体の70.6%)にその理由を質問したところ、1位は「顔を見ずの商談には誠意を感じない(35%)」、2位「営業担当者の顔を見ると安心感がある(30.1%)」という結果に。明確な理由や合理性があるわけではなく、心理面での要因が大きいことが明らかになっています。

買い手が営業担当者の訪問を希望する理由は「営業担当者の誠意」と「安心感」。しかし「誠意の対価」として顕著な成約率アップは見られな

日本の営業に関する意識・実態調査結果をHubSpotが発表

一方で、インサイドセールスを導入している組織・していない組織それぞれの営業担当者に、自身の商談成約率を尋ねたところ、意外な結果が。平均値はそれぞれ39.6%、41.6%と大きな差が出なかったのです。訪問で、買い手に「誠意」や「安心感」を与えたとしても、それが成約率を大きく押し上げているわけではないことが分かりました。

調査結果の詳細についてはこちらをご覧ください。
日本の営業に関する意識・実態調査結果をHubSpotが発表

インサイドセールスは、このような課題を解決できる存在でしょう。
もとより、営業の現場にはこれらの課題が存在していましたが、なかなか根本的な解決に乗り出せない企業が多かったはずです。しかし、昨今の市場変化で、インサイドセールスを導入せざるを得ない状況になってきています。
 

インサイドセールスが注目される背景

(1)サブスクリプション型ビジネスモデルの拡大

現在、インサイドセールスの効果を最もよく発揮しているのは、サブスクリプション型ビジネスモデルを採用している企業です。

サブスクリプション型ビジネスモデルとは、利用したライセンス数や期間に応じて料金を請求するサービスや製品の提供形態です。

利用者にとっては、導入・運用コストを最小限に抑えることができるという利点があります。したがって、クラウドサービスやソフトウェアのビジネスモデルにはサブスクリプション型が受け入れられる傾向にあるのです。

サブスクリプション型ビジネスモデルを採用している商材は、まず試用期間があり、ある程度利用したら好きな時に解約できるという契約形態をとっているものが多くあります。

したがって、提供側(ツールベンダーなど)は営業活動やその他のトランザクションが非常に多くなります。大まかな営業活動の流れを以下でご説明します。

まず、インターネット検索や広告からの資料請求や問い合わせのリードが発生します。潜在顧客が見込み顧客になる、つまりリード獲得ができるわけです。

次に、興味を持っている見込み顧客に商材の説明、提案などを行い、申し込みや契約手続きを行います。申し込みや契約後は、利用方法の説明や顧客からの利用方法の問い合わせを受けます。

さらに、利用を始めた顧客のうち、多くの顧客は他製品に乗り換えや本導入前に再検討をするため、利用プランの変更や解約を行うための手続きが必要となります。

上記はよくある営業活動の流れですが、特にサブスクリプション型では簡単に導入や解約ができてしまうため、利用する顧客数が多くなり、対応にかかるトランザクションも非常に多くなってしまいます。

商材の説明、申し込みや契約、問い合わせ対応、解約手続きを毎回フィールドセールスで対応していたらどうなるでしょう。あまりにも効率が悪くなってしまいます。

高額なサービスや製品を提供する場合は、上記の対応をフィールドセールスで行ったとしても、元をとることができます。しかしサブスクリプション型ビジネスモデルを採用している少額ビジネスでは、赤字のリスクをはらんでいるのです。
 

(2)業務効率化による人手不足対策

サブスクリプション型ビジネスモデルの例を挙げましたが、このようなサービスや製品の提供形態にかかわらず、企業の営業部門の人手不足は危機的な状況です。

少子高齢化や新たな職種の誕生などにより、人材の採用が以前と比べて格段に難しくなっている状況で、企業は売上を維持・拡大していく必要があります。その結果、何が起こるかというと、一人当たりが生み出さなければならない売上・利益が増えていくのです。

ここで力を発揮するのがインサイドセールスです。これを活用して、正確な見込み顧客管理と、より確度の高い営業活動に注力することで、少ない人数で無駄を省いた効率的な営業活動が可能となるのです。

日本国内では、IT業界や外資系企業を中心に、人手不足対策としてインサイドセールスを取り入れる企業が急速に増加しています。これは、いかに少ない人数で事業をスケールさせるかを考え抜いた結果と見ることができるでしょう。

また、インサイドセールスは雇用創出も期待できます。本場アメリカでは、2008年のリーマンショック以降、インサイドセールスの導入・拡大によって、就職難となっていた約80万人分の雇用を生み出したとの報告もあります。人手不足にも、就職難にも対応できる柔軟な手法として重宝されています。
 

インサイドセールスの活用シーン

インサイドセールスの活用シーンには、どのようなものがあるのでしょうか。3つに分けて解説します。
 

(1)確度の高い見込み顧客を創出

まず考えられるのが、確度の高い見込み顧客を創出したい時です。

通常のマーケティングやプロモーション活動では、確度の高い見込み顧客かどうかを判別することが困難でした。しかし、見極めなければ事業は拡大できません。インサイドセールスならこれが比較的容易にできるのです。

営業活動全体の効率化のため、まずはリードの確度をある程度正確につけ、スケジュールや金額規模、その他考慮事項を鑑みて、優先順位をつけていきます。そして優先度の高いものから対応していくことで、コンバージョン率の最大化につながるのです。

マーケティングオートメーションの進歩で、リード発生時のあらゆる状況や顧客の行動から確度を自動的につけ、起こすべきアクションまで誘導してくれる場合もあります。

したがって、このシーンにおけるインサイドセールスの仕事量は、テクノロジーの進化によって、ボリュームが少なくなることも期待できます。
 

(2)最小限のコミュニケーションで成約に導きたい

(2)最小限のコミュニケーションで成約に導きたい

人員が少ないなどの理由で、見込み顧客とのコミュニケーションに十分なリソースを割くことができない。こんな時は、まさにインサイドセールスの出番です。

フィールドセールスでもインサイドセールスでも、顧客とのコミュニケーションの頻度が多すぎたり、1回のコミュニケーションに割く時間が長すぎたりすれば、コンバージョンに必要なコスト以上の無駄が発生してしまいます。

そこでインサイドセールスで見込み顧客の確度の高さをつけ、高い顧客に対してはフィールドセールスによる訪問やWeb会議など、コンバージョンしてもらうために必要な対応を行います。

しかし、あまりにもリードの数が多く、営業メンバーで対応しきれない場合には、見込みの低い顧客には必要な分の情報を提供し、最小限のコミュニケーションで、顧客から自主的にコンバージョンに飛び込んでくれるような仕組みを事前に作るのがよいでしょう。

またMAツールには、確度の低い見込み顧客に対して資料の送付やメールの送付を自動で行うことが可能です。

データを元に見込み顧客の反応を見て、自動で送付される資料の中身を編集して確度を高める工夫や、メールの文書で不親切な対応と受け取られないような案内や、今後の動きを導いてあげるような文章を記載するなどの検討が必要になります。

こうした対応を行えば、最小限のコミュニケーションでのコンバージョン実現可能性が極めて高くなるのです。
 

(3)見込み顧客に対して効率的にアプローチ

インサイドセールスの導入によって、コンバージョン獲得あたりの所用時間をフィールドセールスのみの営業よりも大幅に短縮することが可能となります。大きな理由は、訪問を必要としない分、比較的簡単に先方と商談のスケジュールを調整できるからです。

フィールドセールスが商談をセッティングするためには、先方の場所、スケジュールの確認と候補日の抽出、アジェンダや資料の印刷、訪問場所までのルート、といった確認が必要です。

さらに、先方の都合が急に悪くなったなどは再度調整が必要になり、場合によっては1週間も2週間も先になってしまうかもしれません。

インサイドセールスでは、問い合わせを受けた当日に電話やメールで連絡をとり、「本日の午後からWeb会議で」という最短アプローチも可能です。

フィールドセールスのみの場合当日のアポイント取得は考えにくいのですが、インサイドセールスの場合はこれが可能となるのです。

フィールドセールスの場合、アポイントをとる際、導入時期や確度を決定づけるような案件の詳細までをヒアリングすることが難しいという問題もあります。

訪問した後に実は確度が低かったということも発生し得るのですが、インサイドセールスを活用できていれば、リード発生の際にある程度の確度付けや簡単なヒアリングが可能となります。

その結果、確度の高いリードを優先して対応し、確度が低い場合は優先度を少し下げる、または新人訓練の一環として対応させるという判断もできるのです。
 

(4)営業担当者とカスタマーサクセスの連携を促進

カスタマーサクセスを配置している場合、インサイドセールスは、フィールドセールスとカスタマーサクセスの橋渡し役としても活躍することができます。

(4)営業担当者とカスタマーサクセスの連携を促進

カスタマーサクセスとは、お客様が必要としているものを提供したり、目的達成の支援をしたりする組織や部署、オペレーションのことを指します。

こちらも主にサブスクリプション型ビジネスモデルを採用しているサービスや、製品を提供している企業に設定されていることが多く、サービスや製品に対して顧客からの要望や意見をダイレクトに得ることができます。

営業活動では、顧客からの要望や意見を得て、想定される質問の回答を準備したり、クレームにつながるような意見には対応策を講じたり、その説明をしたりと、顧客からのフィードバックは極めて重要です。

その顧客からの要望や意見を得たカスタマーサクセスとフィールドセールスの連携を強化する。そのために、インサイドセールスは、これまでのリードを元に分析した顧客情報と、顧客からカスタマーサクセスに寄せられた要望や意見を分析するのです。

そうすることで、フィールドセールスがより注力して対応すべき顧客の洗い出しや、商談の内容の検討なども可能となるのです。

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インサイドセールスを導入すると現場にはどのようなメリットが生まれるのか

インサイドセールスには数多くのメリットが存在します。ここでは、主要なものを4つ解説します。
 

(1)大量のリードをさばくことが可能

導入目的や活用シーンでも触れましたが、インサイドセールスには多くのメリットがあります。まず一つ目は、集まった大量のリード顧客に対し、効率よく対応できる点です。

すべてのリードに同じ工数をかけて対応をしていては、リードが増えた際、既存の人員での対応ができなくなる時が訪れます。

それぞれのリードに対して手早く確度をつけていき、確度の高いリードをフィールドセールスが担当する。中くらいのものはインサイドセールスが担当する。低いものは資料送付やメール対応などで、確度が上がってから担当をつける。

こうした工夫によって、リード1件あたりの対応コストを減らしつつ、コンバージョン率を上げていくことができます。

フィールドセールスの場合、見込み顧客をいかにさばいていくか、見極めが難しい部分があります。しかし、インサイドセールスの場合、ある程度体系化されていたり、MAツールが確度をポイント化してくれたりするので、大量のリードをさばくことが可能となるのです。
 

(2)外勤営業と比べて教育や新人育成も効率的

フィールドセールスは、スキルが一定レベルまで高まらなければ顧客と対面で営業することは難しいでしょう。

一方、インサイドセールスは基本的に社内で業務を行うため、新入社員教育やそのほかの教育を効率的に行うことができます。これもインサイドセールスの大きなメリットです。

フィールドセールスでの商談は、1日に多くて3〜4件の訪問商談に同席して学ぶケースが一般的。しかし、インサイドセールスでは移動や準備に時間が必要ないため、1日に4件以上の商談に同席することができます。

また、商談を新人に任せるフェーズになっても比較的安心です。なぜなら、インサイドセールスは1日の中で実践の機会も多く、心配であればベテランを隣の席に座らせてサポートさせながら商談に挑戦することも可能だからです。

いわば社内の「トレーナー」と密に接することは、適切な言葉の選択など大きな学びの機会となります。したがって、成長速度は圧倒的に速くなります。

確度をつけたリードの対応についても、通常資料やメールの送付で対応する確度の低いリードに対して、訓練として商談を申し込むことも可能です。

普段は商談を申し込まないリードに手厚く対応できることで、新たに確度を高めることも可能になるかもしれません。まさに一石二鳥と言えるでしょう。
 

(3)精緻なKPI設定の実現

インサイドセールスは、他の営業形態と比較して外的要因によるコンバージョン低下の直接影響を受けづらいため、KPIを設定する上でもほぼ信頼できる値を出すことができます。

これまでの実績をもとに傾向をつかみ、改善点を挙げて、それに対する施策を出す。こうしたPDCAサイクルをコンスタントに回すことで、より正確な値を読むことができるのです。

営業におけるKPI設定は、根拠に乏しいものも多く含まれます。その点インサイドセールスはデータにもとづいた説得力のあるKPI設定が可能となるのです。
 

(4)ナーチャリング施策のスピーディーな実行

自社を認知してもらいリードを発掘することも重要ですが、同等にリードを顧客に育てる「リードナーチャリング(顧客育成)」も、マーケティングだけでなく営業にとっても重要な施策です。

すぐには案件化できなかったとしても、継続的な情報発信によって長期的な視点でナーチャリングを続けることができます。インサイドセールスは、リードナーチャリング施策をすぐに実行にすることに向いています。

リードナーチャリングによって、営業チームにとっては、見込み顧客の確度が高くなるため、営業先での提案がしやすくなるという利点があります。

リードナーチャリングがなければ、問い合わせしてきたものの、どのくらいの興味を持っている見込み顧客なのか分からず、営業活動が手探りになってしまいます。

取得できている情報が少ないと、フィールドセールスが見込み顧客を直接訪問したり、インサイドセールスが電話やメールでアプローチしたりしても、顧客にあまり効果が発揮されないことも起こるでしょう。この状態では営業活動が非効率になります。これではナーチャリングもうまくいきません。

しかし、MAツールを活用することで、リードナーチャリングを迅速に行うことができ、そこからすぐにインサイドセールスにつなぐことができます。

また、見込み顧客の潜在的な欲求や関心をもっている商品、サービスが、リードナーチャリングの過程である程度確認・精査できている(プロセスを可視化できている)ため、商談の現場での成約率が格段に高くなるのです。

これらは、営業チームとマーケティングチーム、部門をまたいだ連携が不可欠となります。

ビジネスのスピードを加速させる上で、ナーチャリング結果をもとに立てた施策をすぐに実行に移せるかは重要な要素となってきます。

インサイドセールスは単純にアプローチ先の数が多いため、施策を試してみる機会が多くなります。つまり、施策がうまくいく顧客を見つけ、その顧客層に対して新たな施策を検討することができるのです。

それに比べるとフィールドセールスでは施策を実行してみる顧客数が少なく、施策の方向性が正しいのか、修正が必要なのか、方針決めに時間を要する可能性が高くなります。

また相性の悪い施策を打ち出してしまった場合、対面訪問の場で気まずい雰囲気になることも考えられます。このように、新しい試みをまず試してみる段階ではインサイドセールスで行うのがよいでしょう。

これからの営業スタイルとして重要視されるインサイドセールス。これまではどんな企業でも外勤営業が主流でしたが、今後は見込み客や顧客の変化、テクノロジーの変化によってインサイドセールスの重要度はますます高まってきてます。外勤営業からインサイドセールスへ。その移行をスムーズにするためのヒントについてはこちらの記事をご覧ください。
 

(5)全体的な営業力の強化

担当者を増やせば、営業力を高めることが可能です。しかし、担当者のスキルによって結果が左右される「属人化」の問題や、交通費などのコスト増大といったデメリットも少なくありません。

インサイドセールスを活用すれば、必要最小限の人員で、従来と同様の営業活動が行なえます。移動回数の減少による、交通費などの経費削減も実現するでしょう。また、顧客管理の質が一定レベルになるためナレッジ共有ができ、組織全体の営業力が強化されます。
 

インサイドセールスが向いているケース、向いていないケース

企業は様々なサービスや製品を提供しており、それぞれに無数の営業方法が存在します。では、これまでお話ししてきたインサイドセールスが向いているケースとは、どういった営業なのでしょうか。また、向いていないケースはあるのでしょうか。

先述したサブスクリプション型ビジネスモデルを採用している、クラウドサービスや製品については、比較的少額のビジネスであり、かつ営業対応工数がかかるため、インサイドセールスが向いているケースとなります。

電話やメール、対面ではなくとも、Web会議で丁寧に説明する。その中で、いかにコンバージョンを増やし、解約を少なく抑えるかについては、定期的な効果測定や反省、新たな施策の立案・実行するというPDCAを高速で回し続けることが重要です。

逆に、インサイドセールスが向いていないケースは、高額商品を扱う営業やフェイス・トゥー・フェイスの関係構築が非常に重要な場合です。

このような場面で電話やメール、Web会議のみで商談を進めようとすると、せっかく商談機会を得た見込み顧客はがっかりしてしまい、そのまま案件が消滅してしまう可能性すらあります。

また、「営業は足で」という考えが支配する日本企業は、思いのほか多く存在します。これは文化の違いですが、インサイドセールスの営業手法が受け入れられないこともあるのです。

このように、インサイドセールスが向いていないケースももちろん存在します。これは、リードナーチャリングの段階で考慮すべき事項でしょう。
 

インサイドセールスの導入パターン

インサイドセールスの導入には、主に3つのパターンがあります。商品の内容や価格によって適した導入スタイルが異なるので、各パターンの特徴を確認しておきましょう。

・全面的なインサイドセールス化
「低価格で説明や商談が簡単にできる商品」が対象の場合は、インサイドセールスのみで業務フローを完結させることが可能です。ヒアリングや営業に要していた移動時間が削減されて人的リソースを確保できるため、営業活動の大幅な効率化も実現します。

・一部のインサイドセールス化
「商談や商品の説明が複雑になるケース」、または、「価格の高い商品」は、一部のインサイドセールス化が適しています。インサイドセールスでヒアリングを行っておけば、見込みの高い顧客の営業に集中でき、無用な移動時間も削減されるでしょう。

以下のように、インサイドセールスとフィールドセールスが連携するイメージです。

インサイドセールスの導入パターン

・顧客のナーチャリング
「価格が高く、説明や商談も複雑な商品やサービス」は、インサイドセールスにあまり適していません。しかし、メールや電話を活用した見込み顧客への情報提供が行えるため、インサイドセールスによる見込み顧客の育成(ナーチャリング)は可能です。
 

効果的なインサイドセールスを行うためのポイント

効果的なインサイドセールスを行うためには、いくつかのポイントが存在します。ここでは3つのポイントを解説します。
 

(1)マーケティングオートメーションツールを利用

第一に、マーケティングオートメーション(MA)ツールを利用することです。

インサイドセールス導入の効果が発揮される場面の1つに、リードのナーチャリングがあります。現在では様々なMAツールが存在し、効率よく利用することで、営業活動のスピードが飛躍的にアップします。

そもそもマーケティングオートメーションとは、マーケティングに関する「集客」「販売促進」「顧客管理」などの一連の業務を自動化・連動化させて行う取り組みを言います。

MAツールも、インサイドセールスの導入と同様、導入してすぐに絶大な効果を発揮するものではなく、中長期目線で運用を続けられる体制が必要になります。

MAツールを導入するメリットは、キャンペーン効果のアップ、売上アップ、営業とマーケティングの連携強化、業務負担軽減の主に4つが挙げられます。

しかしMAツールがマーケティング自体をすべて自動化するわけではなく、あらかじめシナリオを設定することによって自動化できるようになります。そして、シナリオを考えるのはツールユーザーになります。

マーケティング視点でのシナリオを検討し、MAツールに設定することで、自動化によるメリットを享受できるでしょう。そして、インサイドセールスと組み合わせるためには、シナリオをしっかりと固めておく必要があるのです。
 

(2)時間、工数短縮のための仕組み化

インサイドセールスでは、大量のリードの1つ1つを生かして営業活動を進めることが必要です。とはいえ、フィールドセールスと同じ方法で「訪問しないだけ」という営業手法では、時間と工数がいくらあっても足りません。

営業の中でも特に効率化を求められるため、営業フロー全体をある程度仕組み化することが必要になります。

例えば、営業活動全体を細分化し、得意分野があるメンバーには得意なことを割り当てたり、個々が専門分野を作ったりすることで、各々の役割が明確になり効率化することができます。

細かく仕事を分けることにより、一見、作業時間が長くなってしまうように見えるかもしれません。しかし、専門分野に特化することで、担当部分の課題点だけでなく、全体像を見た際の課題点も見つけやすくなるのです。

分業する上で重要なのは、それぞれの仕事の受け渡しや引継ぎを確実に行うことと、個人作業になり過ぎないようにしっかりと連携を図ること。また、それぞれが自分以外の営業活動全体を理解しておくことです。俯瞰で見ることなしに、仕組み化はうまくいかないのです。
 

(3)一定期間の振り返りを実施

営業活動の上で、KPIを達成した瞬間に次に進んでしまう。その前に一度立ち止まって見てはいかがでしょうか。

なぜKPIを達成したのか、または達成しなかったのか、どの部分を改善すればもっと効率よく営業活動を回していけるのか。担当部分はそれぞれ適切であったか、意見を出し合うことが重要です。

1カ月、半期ごとなど、一定期間ごとに振り返りをすることで、課題を修正し、より良い営業活動ができるように意見を出し、施策を検討しましょう。

振り返りを実施する際、営業成績の数値や行動数などをもとに検討することも必要です。しかしながら、インサイドセールス、フィールドセールスそれぞれが営業活動をする上での、感覚的な部分も意見として取り入れると、より質の高い反省ができるでしょう。

例えば、「記入フォーマットが見づらい」「インサイドからフィールドへの引継ぎには立ち話でもいいので会話したい」という意見からも「記入フォーマットを見直す」「入力はもっと簡素化して、30秒の引継ぎミーティングをする」など改善策まで検討することができます。

営業対応を仕組み化することも大切ですが、その仕組みの中で活動した結果、不便な部分やより良くできるところを見つけることができます。

大切なのは、仕組みの上で、ただ手を動かすだけでなく、営業それぞれがより良くしたいと考えながら取り組むこと。そうすることで、振り返りの際に自然と意見が出てくる状態が構築できるでしょう。
 

インサイドセールスの導入方法

インサイドセールスを自社でもやってみたい、組織化してみたいと思っても、今まで「営業=フィールドセールス」という理解の企業にとっては、何から手を付けていいか困ってしまうこともあります。

現在、インサイドセールスと呼ばれる組織を置いておらず、これから導入するにはどうしたらよいのでしょうか。

インサイドセールスを導入する際に必要となるのが、顧客や商談の管理ツールです。通常CRM(Customer Relationship Management)、SFA(Sales Force Autmation)などと呼ばれることが多く、現在は数多くの製品がそろっています。

インサイドセールスでは、お客様との商談の内容や電話、メールでのコミュニケーションの内容を詳細にデータに残すことが必要です。

なぜなら、インサイドセールスとフィールドセールスでは、別の営業担当が同じ顧客を担当することが多く、その際情報の引き継ぎができないと、いざ訪問や再度のコンタクトをとる際に、お客様にうまくアプローチができないことがあるからです。

例えば、お客様にとってはインサイドセールスから一度電話やメールで説明した事項を、フィールドセールスが対面でも同じ話をしてしまう。

インサイドセールスがこれまでにヒアリングした内容が、フィールドセールスにしっかりと引き継がれていないことで、訪問の場で適切な提案が初回からできない。こうしたことが起こりかねないのです。

このようなすれ違いのミスを防ぐためにも、インサイドセールスを導入する際はツールを使用して、インサイドセールスが活動した記録や、手に入れたお客様の情報、これからのアクションの計画を、フィールドセールスへ丁寧に引継ぎする必要があります。

また、同じお客様に対して複数の営業担当が関わるため、社内での顧客への対応ルールは明文化して決めておく必要があります。

例えば、顧客情報の記録のフォーマットは、必須ヒアリング事項、イレギュラーが発生した場合の対応方法など、すぐに読み返すことができる場所にマニュアルとしてまとめておく。

そうすれば、社内のコミュニケーションミスを減らすことができ、顧客対応の引継ぎミスなども極力減らした状態で、オペレーションを回すことができるようになるのです。

またインサイドセールスを導入するためには、組織づくりも重要です。高成長のインサイドセールスチームを立ち上げるための極意については、こちらの記事をご覧ください。
 

まとめ

人手不足の解消や人材育成、そして生産性の向上など、日本企業が抱える多くの課題は、インサイドセールスに取り組むことで解決に近づきます。

クライアント側としても、訪問を受けるよりも時間をセーブすることができるほか、どのサービスを活用するか選定する際効率的に選定を進められるなど多くのメリットが存在します。

つまり、インサイドセールスは、双方の悩みが解消される可能性のある営業システムとも言えるのです。

日本企業の中には、フィールドセールスしか受け付けない場合が多いのも現状です。しかし場合によっては、アフターフォローやクロージングまでインサイドセールスで完結でき、これほど効率的な営業手法もありません。

効率を重視する企業であれば、取り組まざるを得ない、今後主流の営業手法となり得るものであるとも言えます。

先行き不透明な社会、経済情勢の中、従来型の属人的な営業手法だけでは事業をスケールさせることが難しくなるでしょう。インサイドセールスは、これからの日本企業の救世主となり得る営業手法です。

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元記事発行日: 2020年6月28日、最終更新日: 2020年8月06日

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