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2017年08月27日

マーケティングの心理学:人間の行動を紐解く10の法則

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優れたマーケターであるためには、人がどう行動するのか、その理由は何なのかを理解することが重要です。なぜオーディエンスの心に響くのかを理解できなければ、説得力のあるコンテンツマーケティングを作り出すことはできません。 

戦術的なあれこれに取りかかるまえに、まず人間の行動について理解を深めてみると、効果的なマーケティングに役立ちます 

人間の行動心理については、行動心理学の分野でさまざまな研究が行われていますが、そのうちの重要な法則を取り入れてみましょう。マーケティングの成果が高まるはずです。なぜならそうした法則は、オーディエンスがコンテンツを選び、読み、コンバートするときにも発動しているからです。

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今回の記事では、より多くの人を惹きつけ、説得し、コンバートさせるのに役立つ心理学の法則をご紹介します。 

心理学とマーケティング:マーケティングに活用したい行動心理学の10の法則

1)プライミング 

皆さんは、一人が何か単語を言って、もう一人がそれを聞いて最初に思い浮かんだ単語を返す「連想ゲーム」をしたことはありますか? 

プライミングとは、基本的にはこの連想ゲームと同じで、何らかの刺激を受けたことにより、後続の刺激に対する反応に影響が出ることを指しています。この最初に受ける刺激は「プライム」と呼ばれます。

プライミングについて、『Psychology Today』では次のような例を紹介しています。ある実験で、参加者を2つのグループに分け、片方のグループには「yellow(黄色)」の後に「sky(空)」という単語を、もう片方のグループは「yellow(黄色)」の後に「banana(バナナ)」という単語を読んでもらいました。

その結果、「黄色-バナナ」グループが「バナナ」という単語を認識するのにかかった時間は、「黄色-空」グループが「空」という単語を認識するのにかかった時間よりも短いことが分かりました。これは、参加者の脳の中に、「バナナ」と「黄色」の意味的な関連性が存在しているためです。

これがどうマーケティングに関係するのでしょう? 関係は大ありです。さりげないプラミングを取り入れることで、サイト訪問者にブランドの重要な情報を覚えてもらいやすくしたり、購買行動に働きかけたりすることができるのです。

実際に、Naomi Mandel氏とEric J. Johnson氏が行った調査では、ウェブサイトの背景を変えることで、消費者の商品選択に影響が出ることが分かっています。この調査では、参加者は1つのカテゴリから2つの商品のどちらかを選択するように指示されます(例えば、トヨタとレクサスのいずれかを選択)。

Psychology Todayによると、「背景が緑色(=米ドル紙幣の色)で1セント硬貨の絵が描かれたサイト、つまり「お金」というプライムを与えられた参加者は、「安全」というプライムを与えられた参加者に比べ、価格情報を見る時間が長いという結果になりました。

同様に、「心地良さ」というプライムを与えられた参加者は、「お金」というプライムを与えられた参加者に比べ、心地良さに関する情報を見る時間が長いという結果が出ています。」

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出典:Journal of Consumer Research

ですから、細かいところに気を配り、プライミングをマーケティングに応用してみてください。ちょっとした違いで、最高価格帯の商品を購入してもらえるか、サイトから直帰されてしまうかの明暗を分けることになるかもしれません。

2)返報性の原理

Robert Cialdini博士の著書『影響力の武器:なぜ、人は動かされるのか』で紹介されている法則に、「返報性の原理」と呼ばれるものがあります。これは、人に何かしてもらったとき、自然とお返ししたい気持ちになる、という心理傾向を指したものです。

レストランで会計伝票と一緒にミントキャンディをもらったことはありませんか。もしあるなら、あなたも知らず知らずのうちに返報性の原理に影響されています。Cialdini博士によると、キャンディなしで会計伝票が渡された場合、食事客は受けたサービスに見合ったチップを払うそうです。

しかしキャンディが1つあれば、チップの額は3.3%も上昇します。ではキャンティが2つなら? なんと、20%上昇します。

マーケティングでは、返報性の原理を活用できる場面は数多くあります。何かをあげるのに、多額のお金は必要ありません。ブランド名の入ったトレーナーや、限定eBook、無料のデスクトップ壁紙、特定の分野に関する専門知識など、お金をかけずに提供できるものはたくさんあります。手書きのメモのようなちょっとしたものでも、相手からの返報を引き出すことが可能です。

ただ気を付けなければならないのは、何か見返りを要求する前に、自分から何かを差し出すようにすることです。

3)ソーシャルプルーフ 

ソーシャルプルーフの重要性については、マーケターの皆さんの多くがすでに認識されていることと思いますが、非常に重要なことですので、今回のリストでも取り上げたいと思います。あまり馴染みがない方のために簡単に説明しますと、ソーシャルプルーフとは「人間は自分が好み信頼している集団の行動や信念を取り入れる傾向がある」という理論を指しています。

別の言い方をすれば、「私も効果」と言えます。分かりやすい例として、思春期の頃のダンスパーティーを思い出してください。最初にダンスフロアに出たがる人はほとんどいませんが、一旦何人かが踊り始めると皆がこぞって踊りたがります。(ちなみにこの同調現象は、大人になって自分のダンスに対する照れが少なくなった後も変わりません。)

ソーシャルプルーフを最も簡単に活用できるのがブログです。まだ実践されていない方は、記事のシェア数やアカウントのフォロワー数が表示されるSNSボタンを是非設置してみてください。こうしたボタンを目立つ位置に設置し、しかもすでに複数の人からシェアされていれば、たまたまその記事にたどりついた人がシェアしてくれる可能性は大きく高まります。

4)おとり効果

これは、よく価格提示の場面で活用されています。最も高価な選択肢を選んでもらうために、あえて「おとり」の役目を果たす価格を提示するというものです。 

Dan Airley氏はTED トーク「我々は本当に自分で決めているのか?」の中で、『エコノミスト誌』の定期購読広告について触れています。広告に記載されていた定期購読のオプションは以下のとおりでした。

  • オンライン版のみの購読:59ドル
  • 紙媒体のみの購読:125ドル
  • オンライン版&紙媒体の購読: 125ドル

おかしいですよね?  紙媒体のみの購読と、オンライン版&紙媒体の購読が同じ値段に設定されています。なぜこのような料金設定にしているのでしょうか?

Airley氏も同じように考え、エコノミスト誌にコンタクトしてその理由を尋ねましたが、はっきりとした答えは得られませんでした。

そこで、マサチューセッツ工科大学の学生100名を対象に実験を行うことにしました。まず上記の料金体系を提示し、自分だったらどれを購入するかを訊ねました。3つの選択肢がある状態では、ほとんどの学生がオンライン版&紙媒体の購読を選びました。それが一番お得に感じられるからです。

しかし、意味のないの選択肢(紙媒体のみの購読 125ドル)を取り除くと、多くの学生がオンライン版のみの購読を選択したのです。

つまり、2番目の選択肢は意味がないわけではありませんでした。比較対象を与えることで、オンライン版&紙媒体の購読を魅力的に見せ、より高い購読オプションを選ばせる効果があったのです。

ですから、皆さんも、ランディングページで2つのコンバージョンオプションを提示している場合は、3つ目を加えることを考えてみると良いかもしれません。そうすることで、最終的にオーディエンスに選んでほしいオプションのコンバージョン率を上げられる可能性があります。

5)希少性

航空券を買おうとして、「この料金は残り3席!」といった表示を見たことはありませんか?これが「希少性」です(この概念もCialdini博士によるものです)。この心理的原則は、需要と供給というシンプルな公式に端を発しています。つまり機会、コンテンツ、商品が希少であればあるほど、その価値は高まるという公式です。

1975年、Worchel氏、Lee氏、Adewole氏は、希少性が人々の認識にどう影響するかという実験を行いました。実験では、参加者はチョコレートチップクッキーを採点するように言われます。HubSpot(ハブスポット)ブログのLanya Olmsteadの記事にその結果が紹介されていますが、「実験では片方の瓶にはクッキーが10枚、もう片方の瓶には同じクッキーが2枚用意されていました。

そして、どちらも全く同じクッキーであるにも関わらず、参加者は2枚しか入っていなかったほうのクッキーに、10枚入っていたクッキーの2倍もの点数を付けたのです。」 

ただ、この原則を使用する際は、言い回しに気を付ける必要があります。「もとはたくさんあったのだけれども、人気があるためにあと少ししか残ってない」というアプローチをとれば、効果が期待できます。

一方で、「もともと数が少ないので今すぐ購入を」というアプローチでは、それほど効果は期待できません。

6)アンカリング

お気に入りのショップがセールをしているとその誘惑に勝つのは難しいですよね。その理由はなぜなのでしょう?

多くの場合、アンカリングに関係があります。人は最初に受け取った情報を基に意思決定を行います。例えば、私のお気に入りのショップでは、通常ジーンズは50ドル程度で販売されているとしましょう。その場合、35ドルに値下げされていれば、私は大喜びするはずです。「このジーンズ、すごいお買い得!」と考えるでしょう。そしておそらく購入に至るはずです。

しかし一方で、普段ジーンズに20ドル程度しかかけない私の友人は、35ドルのジーンズは高すぎると感じるはずです。 

同じ値段でも、基になる情報によって受け止め方が大きく変わるわけです。ですからマーケターにとって、このアンカリングを理解することは非常に重要です。特にセールを開催する場合などはなおさらでしょう。

セールのときには、もともとの値段ははっきりと提示し(これが「アンカリング」です)、そのすぐ隣にセール価格を表示するようにしましょう。また何割引きなのかも表示するのも効果的です。

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画像出典:Express

7)バーダー・マインホフ現象

ある商品を初めて聞いた後、やたらとその商品を見かけることはありませんか? これが、バーダー・マインホフ現象です。始めて何かを知った後、日常生活のあらゆるところでそれに気付く現象のことです。

例えば、新しい商品を知った後、頻繁にその商品のテレビCMが目に入ったり、スーパーの陳列棚にその商品が並べてあるのに気づいたり、友人皆がその商品を持っていることに気づいたりします。

不思議ですよね。これにはちゃんと理由があります。

『Pacific Standard』によると、この現象(「頻度錯誤」とも呼ばれています)は、2つのプロセスにより起こります。「まず、新しい言葉、モノ、概念などに出会うと、選択的注意が発動します。最初の出会いの後、無意識のうちにそれに対して目を光らせているので、驚くほど頻繁にそれに気付くようになります

。次に、確証バイアスにより、それを目にするたびに、「急にあらゆるところに存在するようになった」という思い込みが強化されるのです。」

この現象こそ、マーケティングにおいてナーチャリングが重要な所以です。オーディエンスがあなたのブランドに気づいたら(つまり、クリックでウェブサイトにたどり着いたら)、そのオーディエンスがありとあらゆるところで、あなたのブランドを目にするように仕掛けることが重要です。

ナーチャリングのEメールを送ったり、オーディエンスの行動に基づいてリターゲティング広告を打ったりして、コンバージョンの可能性を高めましょう。

8)要約効果

Poppenk氏、Joanisse氏、Danckert氏、Köhler氏の研究によると、人は話された内容について、詳細よりは要点のほうが記憶に残りやすいそうです。

例えば、ビジネスにおけるブログ活用のセミナーに参加したとしたら、「自分の書いた記事を他の人に校正してもらうこと」ということは記憶に残っても、「Googleドキュメントを3営業日前に同僚に送って校正してもらうこと。その際に編集内容が分かるように変更履歴機能オンにすることを忘れないこと」という詳細は忘れてしまう可能性が高いということです。

これを「要約効果」と言います。そして、これはマーケティングコンテンツの成果に大きく関連しています。

まず背景として、今日、人々がオンラインで実際に「読む」時間は減り続ける一方です。Charbeatのデータによると、ウェブサイト訪問者のうち、半数以上がそのサイトに15秒未満しか滞在していません。コンテンツを読んでもらえず、詳細も覚えてもらえないとしたら、マーケターとしてはどうすれば良いのでしょう?

今よりもさらに多くの時間を、完璧なヘッドライン(見出し)を作ることに費やすことをおすすめします。

ヘッドラインは、検索しやすく、シェアしやすいだけでなく、記事の内容を正確に説明している必要があります。そうすれば、そのベッドラインは人々の記憶に残るので、同じトピックに関してより詳しい情報が欲しくなったときに、その記事のことを思い出し、Googleで検索してくれるはずです。

十分なSEO対策を行っていれば、記事は検索結果に表示されるでしょう。

9)クラスタリング

人間の短期記憶容量には限りがあります。実際、多くの人は、一度に7つの情報(状況によってプラスマイナス2つ)しか覚えられません。

そこで大部分の人は同じ情報をまとめる(クラスタリングする)ことで、日々のさまざまな場面に対処しています。例えば、スーパーで買わなければならないもののリストがあるとしたら、多くの人は頭の中で同じカテゴリ(乳製品、穀類、肉類など)のアイテムをグループ化することで覚えやすくしています。

マーケティングでコンテンツを作る際も、クラスタリングを意識してみてください。人々の記憶に残りやすくするためには、どうようなデザインやレイアウトにすれば良いでしょうか。一つの方法としては、似たようなトピックをグループ化することです。

番号付きの箇条書きでも良いでしょうし、ヘッダーのサイズを変えるのも良いでしょう。そうすればオーディエンスにとっては斜め読みもしやすくなりますし、記憶に残りやすくなり、後から思い出してもらうことができます。多くのコンテンツを作っている場合はなおさら、こうした工夫が必要です。

10)損失回避 

この法則は、読んで字の如くです。人は一度手にしたものは失いたくない、ということです。 

Daniel Kahneman氏がこの概念について実験を行っています。実験では、参加者を3つのグループに分け、最初のグループにはマグを与え、次のグループにはチョコレートを与え、最後のグループには何も与えませんでした。

その後、参加者は2つのオプションのいずれかを選ぶように言われます。 マグまたはチョコレートをもらった人は、それをそのまま保持するか、もう片方の品物と交換するか選びます。何ももらってない人は、マグかチョコレートのいずれか好きな方を選びます。

結果はどうだったでしょう? 始めに何ももらってない人たちが、マグとチョコレートを選んだ割合はほぼ半々でした。しかし、最初にマグをもらった人たちは、86%がそのままマグを保持したのです。

そう、人は、すでに手にしているものを手放したくないのです。

この法則を悪用したマーケティングはいただけませんが、まっとうなマーケティングにおいても、フリーミアムや無料試用からのアップグレードなどの場面で、損失回避の法則が大きな影響力を持っています。例えば、無料版のユーザーに対して一定期間だけ有料版の機能を解除して使用できるようにします。

期間が終了したら、有料版にアップグレードしない限りその機能は使えなくなります。一度その機能を手にしたユーザーは、使い続けたいと考える可能性が高いでしょう。この心理ゲームは慎重に行う必要があるものですが、マーケターとして損失回避の法則を理解しておくことは大切です。

他に皆さんが信頼している心理学の研究や概念はありますか? コメント欄で是非共有してください。 

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編集メモ:この記事は、2015年6月に投稿した内容に加筆・訂正したものです。Ginny Mineoによる元の記事はこちらからご覧いただけます。

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