BtoBは企業が他の企業に対して商品やサービスを提供するビジネスモデルであり、BtoB向けのマーケティングの手法には、さまざまな種類があります。
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BtoBでは購買決定のプロセスや検討期間など、個人向けのBtoCとは異なる特性があるため、BtoB市場に適したマーケティング手法を採用することが重要です。
本記事では、BtoBマーケティングの具体的な手法19選を紹介します。自社に合った手法を選ぶポイントも解説しますので、ぜひご覧ください。
BtoBマーケティングの手法19選
BtoBマーケティングでは、顧客の検討段階を次の3つの段階に区分し、施策を展開していく流れが一般的です。
- リードジェネレーション
- リードナーチャリング
- リードクオリフィケーション
これらのプロセスは、HubSpotが提唱する「インバウンドマーケティング」を実現するために欠かせないものであり、組み合わせることで顧客との良好な関係構築につながると考えられています。
ここでは、BtoBマーケティングの手法を19種類取り上げ、「リードジェネレーション」、「リードナーチャリング」、「リードクオリフィケーション」の3つのカテゴリに分けて解説します。
リードジェネレーションに役立つ手法
リードジェネレーションは、潜在的なニーズを抱えたターゲット層から見込み客(リード)を創出するプロセスです。Webコンテンツやソーシャルメディアなどを利用してターゲット層と接点をもち、企業の存在をアピールし、興味や関心を喚起することを目的とします。
まずは、リードジェネレーションに役立つ手法を、オンラインとオフラインに分けてご紹介します。
【オンライン】
- コンテンツSEO
- Web広告
- SNS運用・SNS広告
- オウンドメディア
- ウェビナー
- ホワイトペーパー
- プレスリリース
- ビジネスマッチングサイト
- Webサイト・LPの改善
【オフライン】
- イベント開催・参加
- マス広告
オンラインの手法
BtoBマーケティングのリードジェネレーションでは、企業やサービスの特性に合わせてオンライン・オフラインの施策を展開する必要があります。
ここでは、リードジェネレーションに役立つオンラインの手法を9種類ピックアップし、各手法の概要やBtoBに適している理由、BtoBでの活用方法について解説します。
1. コンテンツSEO
BtoBマーケティングのリードジェネレーションに役立つ手法の一つとして、コンテンツSEOがあげられます。
コンテンツSEOとは、WebサイトやLPへの訪問者を増やすために、コンテンツや記事の品質向上を通じて、Google やYahoo!などの検索エンジンでの上位表示を図る施策です。SEO(検索エンジン最適化)対策の一つであり、このほかに、Webサイトの内部構造を改善して検索順位を向上させる「テクニカルSEO」があります。
BtoB市場では専門性の高い情報が求められる傾向があるため、専門分野に関する自社の知識を共有することで、見込み客の創出に役立ち、顧客の信頼を得ることが期待できます。
具体的には、自社の業界や製品に関する専門的な知識を共有するブログ記事の作成や、過去の成功事例や顧客のケーススタディをコンテンツとして公開し、信頼性を高めるといった活用方法があります。
2. Web広告
Web広告はインターネット上で商品やサービスを宣伝するための広告手法であり、次のような種類があります。
- リスティング広告
- ディスプレイ広告
- リターゲティング広告
- アフィリエイト広告
- 記事広告
- 動画広告 など
Web広告では特定の産業や職種、地域などに絞って広告を配信できるため、BtoBのターゲット企業の具体的なビジネスニーズに合わせた出稿が可能です。
また、リアルタイムのデータ分析に対応しているWeb広告を利用することで、広告の効果やROI(投資利益率)の評価も容易に行えます。これにより、マーケティング戦略の最適化や、予算の効果的な管理が実現できるのがメリットです。
BtoBマーケティングのリードジェネレーションにおけるWeb広告の活用方法として、特定の製品やサービスに関連するキーワードで広告を出稿するなどの方法があります。なお、BtoB向けにWeb広告を配信する際には、自社のターゲット層にあわせた広告媒体(チャネル)を選定することが重要です。
3. SNS運用・SNS広告
自社のSNSアカウントの運用は、広告費をかけずに実施できるリードジェネレーションの手法の一つです。ユーザーとの直接的なコミュニケーションが可能であり、企業やブランドの認知拡大や、ファンの創出に寄与します。
SNS広告は、Instagram、X(旧:Twitter)、Threads、Facebook、LINE、LinkedInなどのプラットフォームで展開される広告です。SNS広告の場合、ユーザーが登録した詳細な個人情報をもとに配信先を設定できるため、ターゲティング精度が高く、BtoBの特定のターゲットグループへの効果的な広告配信が可能です。
例えば、Xでは新商品の紹介や最新情報を共有し、Instagramでは視覚的なコンテンツを通じて製品やサービスの魅力を伝えてターゲット層に訴求するなどの活用方法があります。また、LinkedInのようなビジネスに特化したSNSであれば、BtoB企業の情報発信とコミュニケーションの場としても活用できるでしょう。
BtoBの場合は、対象となる層がよく利用しているSNSを把握することが重要です。
4. オウンドメディア
オウンドメディアは、企業が自ら所有・運営するメディアチャンネルやプラットフォームです。企業のWebサイト・ブログをはじめ、広義では、ソーシャルメディアアカウントやメール、ニュースレターなども含むこともあります。
BtoB企業がオウンドメディアを活用することで、専門的で価値のある情報発信を行いやすくなります。その結果、権威性が構築され、業界内での知名度が高まるなどの効果が期待できるでしょう。
BtoBマーケティングのリードジェネレーションでの活用例として、専門的な情報や業界トレンドに焦点をあてたブログ記事を定期的に公開するといった方法があります。
5. ウェビナー
ウェビナーは、Web上で行われるセミナーやプレゼンテーションの形式です。参加者がオンラインでリアルタイムに情報を受け取り、質問やディスカッションに参加できます。
特定のテーマに関心を示した参加者に向けて、ウェビナーを通じて企業側から製品やサービスに関わりのある専門的な知識を共有します。それにより、潜在的なニーズのある見込み客との接点が生まれる点がメリットです。
BtoBにおける活用方法として、業界の最新トピックやトレンドに関する情報を発信し、参加者とのディスカッションを活性化する方法があります。また、専門家による講義を行うなど、価値ある情報提供を通じて参加者との信頼を築くことで、リードジェネレーションの効果が期待できます。
6. ホワイトペーパー
ホワイトペーパーは、特定のテーマや課題に関する詳細な情報や解決策を提供する、ダウンロード形式のコンテンツです。ページを閲覧している企業の担当者に役立つ資料を無料で提供することで、見込み客が連絡先などの個人情報を入力する心理的なハードルが下がります。
Web広告の着地先としてホワイトペーパーの紹介ページを設定することで、リード創出につなげることが可能です。
7. プレスリリース
プレスリリースは、報道機関へ向けて情報を提供し、告知や発表を行う手法です。メディアや業界関係者の注目が企業に向けられることで、リードジェネレーションの機会が生まれやすくなります。
BtoBマーケティングでの活用方法は、新商品やサービスの発表や重要なイベントやセミナーの告知などです。
8. ビジネスマッチングサイト
ビジネスマッチングサイトは、企業同士や企業とプロフェッショナルとを結びつけ、ビジネスのパートナーシップや取引機会を創出するためのオンラインプラットフォームです。さまざまな業界や領域に関連する企業が参加しているため、ターゲット層と効率的に接点をもちやすい点がメリットといえます。
リードジェネレーションにつながる活用方法としておすすめなのは、企業プロフィールを充実させ、商品・サービスの特長や強みを明確に伝えることです。それによって、興味を持った企業が自発的にコンタクトを取りやすくなるでしょう。
9. Webサイト・LPの改善
BtoBマーケティングにおけるWebサイトやLPの改善は、リードジェネレーションの手法の一つです。ユーザーにとって使いやすく、情報が分かりやすいWebサイトやLPは、企業の信頼性を高め、BtoB市場での優位性の構築につながると考えられます。
具体的には、デザインやコンテンツの質の改善、適切なコールトゥアクション(CTA)の設置、ページ表示速度(サイトスピード)の最適化などの施策があげられます。
オフラインの手法
自社の商品・サービスの特性やターゲット層によっては、オンライン手法以外にオフラインの手法の導入も検討すると良いでしょう。
ここでは、BtoBマーケティングのリードジェネレーションで役立つオフラインの手法を、2つご紹介します。
10. イベント開催・参加(展示会・セミナー・カンファレンス)
イベントの開催やイベントへの参加は、企業として対面で潜在層や業界関係者と直接対話し、交流するための場となります。主なイベントには、展示会・セミナー・カンファレンスなどがあり、開催・参加することで認知度を高め、リードジェネレーションの機会を生み出しやすくなるでしょう。
カンファレンスやイベントのスポンサーになることで、企業の名前を広く知ってもらう活用方法もあります。
11. マス広告
マス広告は、テレビ・ラジオ・新聞・雑誌の4つの媒体の広告であり、幅広い消費者に向けて展開されるマーケティング手法です。
BtoBのリードジェネレーションでは、BtoB企業がターゲットとする業界向けの専門誌に広告を出稿し、特定の専門家や意思決定者にアプローチするなどの活用が可能です。
リードナーチャリングに役立つ手法
リードナーチャリングは、興味を示したリード(見込み客)に対して適切な情報や価値あるコンテンツを提供し、信頼関係を構築していくプロセスです。
ここでは、BtoBマーケティングのリードナーチャリングに役立つ手法を7つご紹介します。
- メルマガ
- ステップメール
- リマーケティング・リターゲティング広告
- セミナー・イベント
- DM(郵送・FAX)
- テレマーケティング
- マーケティングオートメーション(MA)ツールの導入
12. メルマガ
メルマガ(メールマガジン)は、電子メールを利用して定期的に情報やニュースを配信するマーケティング手法です。登録ユーザーへの定期的なメルマガ配信により、特定のターゲットに向けた長期的かつ持続的なアプローチが可能になります。
BtoBでのおすすめの活用方法は、メルマガを通じてブログ記事やホワイトペーパーなどの専門的なコンテンツを提供し、受け手の知識拡充を促すことです。
13. ステップメール
ステップメールとは、複数のメールをあらかじめ決められた順番で配信する手法です。情報を段階的に提供することで、BtoBの複雑な製品やサービスに関するユーザーの理解促進につながります。
例えば、フォームで企業情報を登録した直後にサンクスメールを送信し、リードに対して徐々に詳細な知識を提供していくなどの活用もできます。
14. リマーケティング・リターゲティング広告
リマーケティング広告やリターゲティング広告は、Webサイトの訪問者に対して再度広告を表示する手法です。
BtoBの取引は複雑で時間がかかるため、一度のサイト訪問でコンバージョンを達成することは難しいケースが多いといえます。リマーケティング・リターゲティング広告は、BtoBの長期化しやすい購買サイクルに効果的です。サイトを訪れたリードに対して再度アプローチすることで想起させ、関心を引いて購買意欲を高める効果が期待できます。
商品・サービスに興味を示したリードに対して、無料トライアルやデモの提案を行う広告を表示することも活用方法の一つです。
15. セミナー・イベント
リードジェネレーションに効果的なセミナー・イベントは、BtoBマーケティングのリードナーチャリングでも役立ちます。セミナー・イベントでの参加者との直接的なコミュニケーションは、信頼関係を築くうえで有効です。
BtoBでの活用方法としては、参加者との対話を通じて企業の信頼性を高めることがあげられます。また、イベント中にネットワーキングセッションを設け、参加者同士の交流を促進する方法もおすすめです。
16. DM(郵送・FAX)
DMは、主に郵送やFAXなどの手段を用いて、個人や企業に直接的に情報を提供するマーケティング手法です。リードナーチャリングにおいては、印刷物や資料を送付することで視覚的・触覚的な印象を与えやすく、行動や反応を喚起しやすいという利点があります。
BtoB市場では専門的な情報が求められるため、DMを通じて業界のトレンドや専門的な知識など役立つ情報を提供し、信頼関係を構築する際に活用すると良いでしょう。
17. テレマーケティング
テレマーケティングは、電話を利用して直接顧客やビジネスを対象に商品やサービスをプロモーションするマーケティング手法です。担当者が電話を通じて企業やリードにアプローチし、製品やサービスに関する情報を提供し、販売促進を行うことが目的です。
具体的には、見込み客のニーズのヒアリングや商品説明、質問への回答、営業担当者のフォローアップなどを実施します。
18. マーケティングオートメーション(MA)ツールの導入
マーケティングオートメーション(MA)は、マーケティング活動を自動化し、業務効率化と収益向上を促進する手法です。MAツールを導入することで、見込み客や顧客の行動データが蓄積され、最適なタイミングでアプローチしやすくなります。
BtoB取引は複雑で長期化する傾向があるため、BtoB特有の購買プロセスに応じて適切な手法を用いたリードナーチャリングを行う必要があります。
BtoBマーケティングでは、自動メールの送信や、リードの属性・行動データに基づく精密なセグメンテーション、パーソナライズされたコンテンツ提供などが効果的です。
リードクオリフィケーションに役立つ手法
リードクオリフィケーションは、特に高い購買意欲があることが見込まれるリードを絞り込む工程です。購買意向や予算、ニーズの合致度などを評価し、優先的に対応すべきリードを抽出します。
リードクオリフィケーションに役立つ手法として、「リードスコアリング」をご紹介します。
19. リードスコアリング
BtoBマーケティングにおけるリードスコアリングは、リードに対してスコア付けを行い、購買可能性を評価する手法です。特定の行動や属性に基づきスコアを割り当て、スコアが高いリードは購買に進む可能性が高いと判断できます。
具体的には、一定のスコアに達したリードを営業担当者へ引き継ぎ、優先順位に応じてアプローチすることで、営業効率の向上が期待できます。
BtoBマーケティングの手法を選ぶ際のポイント
BtoBマーケティングの手法を選定する際には、次の2つのポイントを考慮すると良いでしょう。
自社のマーケティング課題に合わせて選定する
BtoBマーケティングには、さまざまな手法があり、期待できる効果も異なるため、自社のマーケティング課題に合わせて選定するのがポイントです。
まずは、創出できているリードが少ないことや既存顧客とのコミュニケーション不足など、具体的な問題点を明確にすることをおすすめします。一度に複数の施策を実施すると現場に負担がかかるため、課題に優先順位を付けて取り組むことが大切です。
ターゲットとするユーザー像を明確にしたうえで適切な手法を選ぶ
BtoBマーケティングを成功させるためには、ターゲットとなるユーザー像を明確にすることが大切です。それにより、顧客のニーズを深く理解することが可能となり、良好な関係構築へとつながっていきます。
具体的には、ターゲットユーザーの購買行動や、興味・関心があることについて調査を行い、購買決定に影響を与える要因や優先順位を理解します。調査を通じて得たヒントは、コンテンツ制作やキャンペーン施策に役立てることが可能です。
カスタマージャーニーマップを作成することも、顧客のニーズを理解するうえでおすすめの方法です。カスタマージャーニーマップとは、顧客が商品やサービスを認知してから購入に至るまでの行動や思考、感情の変化を可視化したもので、顧客の状況に合わせたコミュニケーションの最適化に活用できます。
BtoBマーケティングにおけるカスタマージャーニーについては、こちらをあわせてご覧ください。
「顧客理解」を軸に、BtoBマーケティングの手法を選定・活用しよう
BtoBマーケティングには、さまざまな手法がありますが、目的や解決したい課題によって採用すべき手法は大きく異なります。ただし、企業視点の一方的な施策は逆効果になる可能性があるので注意が必要です。例えば、企業のホームページに設置されている顧客向けの問い合わせフォームにDMを送るような営業手法は、相手に不快感を与えるかもしれません。
BtoC、BtoBに関わらず、マーケティング活動の基本は顧客のニーズを満たすことです。そのためには、まず顧客を深く理解しなければなりません。ヒアリングやカスタマージャーニーマップの作成などが、顧客理解の助けになるでしょう。
顧客のニーズが明らかになったら、本記事で紹介したBtoBマーケティングの手法のうち、自社の顧客や見込み客へ価値提供する方法として相応しいものを検討してみましょう。顧客と良好な関係を築いた先に、自社の売上拡大やLTV(生涯顧客価値)の改善といった成果が待っています。